2021年1月27日水曜日

ただいま

浴槽の塗装のためにユニットバスが使用できないので、以前住んでいたマンションの一室で数日間の寝泊まり生活。
寝袋や身の回りのものを運びに4年ぶりに入ったそこは何もかもが懐かしかった。
間取りは少し違うけれど、お風呂は広いしきれいだしやっぱりここはいいなぁ、と思ったのはそのときだけだった。
カーテンもなく、テーブルも椅子も冷蔵庫もWi-FiもPCもTVもない、持ち込んだ数冊の本だけの部屋はなんとも落ち着かなくて、初日の夜はしたたか酔って眠りについたが夜中に目覚めてしまった。
日が昇るのを待って自宅へ戻ると、いつもの部屋はしっかり養生されており他人の顔。コーヒーを淹れて飲んでも間が持たず、そそくさと家を出た。
こんな日があと2日も続くのかと思ったら目の前が暗くなったので、せめて朝食は「おはよう!商店」で。
そしてランチは「レストラン両国駅」で。
美味しいものを食べている間は全部忘れることができた。
午後はのんびりジョグ。すれ違う犬たちに色目を使ったり花の香りを嗅いだりして隅田川を走るも、しばらく洗濯ができないというのにジョグのせいでまた洗濯物を増やしてしまったことを悔やむ自分のみみっちさにがっかり。
増やした洗濯物をランドリーバッグに押し込んでいると、先日「おいてけ堀」で仲良くなったおじさんとのこの日の約束を思い出した。
長いことひとり飲みのお店としてお邪魔していたこのお店、昨年の暮れから顔馴染みのお客さんがぐっと増えた。この晩おじさんを交えて話した方が、私と同じ徒歩通勤でたまに隅田川沿いを走るという。あれ、そういえば週末に隅田川の向こう側を走っていたでしょうと言われてギクッ。いつも汚い格好でふぅふぅ言いながら走っているので気付かれたくはなかった。
話は盛り上がり、気付けば最後の客のひとり。
おじさんがどんどん飲めとそそのかすたびに隣の方が、おごりでもないのになに言ってんだと言う掛け合いを何度聞いたかわからないほど飲んでさようなら。楽しい夜だったけれど、帰るのはあの部屋かと考えたら酔いもさめた。
二日酔いで目覚めて、もうこんな生活はイヤだとしみじみ思う。ボロくて汚くても自分の好きなものだらけの自宅が恋しい。目と鼻の先なのに遠く感じる。
自宅でコーヒーを淹れながら、今朝はソバだなと思ったらもう頭はソバでいっぱいになり「土俵そば」へ急ぐ。
温かい湯気でいっぱいの店内はほぼ埋まっていて、控えめにソバをすする音だけが響く。ここはやはり紅しょうが天そば。しばらく待って出されたそれは、立ち食いそばのお店を始めようとしていた友だちが奨めてくれただけあってとんでもなく美味しかった。

浴槽の塗装が終わったと業者さんから連絡があり、やっと帰れるとうれしくなったがお風呂はまだあと一日使わないでくださいと言われた。昨夜教えてもらった最高の銭湯へ行こうかとも考えたが、なんでもよいから帰りたくて部屋を引き払って帰宅。
寒くてもボロくても汚くても自宅はいいなぁと、ひっそり家でお祝いしたのは言うまでもない。

2021年1月18日月曜日

ブラチスラバ世界絵本原画展

地元の喫茶店で明るいうちから飲んでしまった翌日は、昨年から楽しみにしていた「ブラチスラバ世界絵本原画展」へ。

寒い中をとぼとぼ歩いて到着した千葉市美術館には、さや堂ホールというすてきな空間があった。さや堂ホールは、古い建物をそのまま新しい建物の中に残したえんどう豆のような状態から名づけられたとのこと。
原画展は絵もさることながら物語がおもしろいものもたくさんあって、特に中国や韓国のものがおもしろかった。同時開催の田中一村の絵も素晴らしく、二日酔いながらうっとり長い時間を過ごすことができた。

帰り道、今宵はお弁当にしようとひらめいた。
お弁当ならば「ぺろり弁当」でしょう。
今晩は酒はそこそこにしてお弁当をつついて旅気分を味わい、温かいお風呂で本を読んで寝ようと心に決めた。

わざと各駅停車の電車に乗って先日から読み始めた本を開いて読み始めると旅気分が高まってきた。これはこれで、よい休日。

2021年1月15日金曜日

石岡瑛子展をはしご

ラジオで熱量の高い感想を聞いてすぐに予約した石岡瑛子展「血が、汗が、涙が、デザインできるか」を観に出かけた。

今年初めての美術館。真っ赤な入口を入るとすぐに展示に引き込まれて気付けば2時間以上経っていた。彼女の手掛けた作品の幅が広いこともあり、たくさんの本と映画を一度に観たようだった。
なぜだか昔の雑誌や広告が好きで、古い雑誌の広告を見てはにっこりうっとりしていた理由が、彼女の誰にも敵わないセンスと妥協を許さない意思の伝わる資生堂の前田美波里の広告やホネケーキの広告の非常に細かい直しから伝わった気がした。ホネケーキで洗顔してみたくなるもの。
それにしても沢田研二の広告、素敵だったなぁ。それと最後に展示されていた学生のときにつくったという「えこの一代記」がほんとうによかった。

朝から何も食べていなかったので「ぺろりレストラン」でランチ。
もう何度も作っているミートソースを先日失敗しちゃったんですよ、とこわもて料理人に言おうと思ったが、あんまりおいしくて言うのを忘れた。あーおいしかった、とわざとらしく大声で言ってごちそうさま。

その翌日、銀座グラフィックギャラリーで開催されている石岡瑛子展「グラフィックデザインはサバイブできるか」へ。
なにかを得ようとかなにかを感じなければなどと気負わずにこの日もふらりと寄ったのだが、クロッキーが数点あったのと改めてPARCOの広告を見られたこと、膨大な数の広告作品を映像で一度に見られる場所もあり、広告に特化した展示だったのがよかった。
もう本は買わないぞ、買わないぞと思っていたが、帰りについに本を手にしてしまった。図録でなく評伝。とても分厚い本だが早く読みたくて、帰り道その重さを何度もうれしく思った。

本は買ってもなかなか手を出さない悪い癖が今回は出ず、適当に晩酌を済ませたあとにそのピンクの本を開いた。

2021年1月14日木曜日

大相撲初場所二日目

寒い朝、ラン友たちと待ち合わせて隅田川沿いをLSD。
この日は相撲観戦ほぼ初心者のラン友たちと4人で国技館へ。でもせっかくだから少し走ろうということになったが一人は品川の向こうの自宅から走ってやってきた。
いつもはひとりで走るこのコースを友だちと話しながらゆるゆる走り、鷲神社でお参りしてからあしたのジョーにご挨拶を、と思っていたのだが道を間違えてジョーには失礼した。ランステで着替えて隅田川沿いを歩いて両国へ向かい、船着場で階段を登ったら一同がおおおと声を上げた。ちょうど幟はためく国技館の正面に出たからだ。実は適当に道を選んだのだが私も感激した。
両国に来てもらったからには「レストラン両国駅」へお連れしたかったがこの日は餃子の気分。餃子にビールとレバニラなどで満足していざ国技館へ。
パンフレットがサイズも価格もリニューアルしていたり国技館カレーに続いて国技館ハヤシが新発売になっていたり2階席にも親方たちのいる売店ができていたりで気分が上がったが、肝心の相撲はというと応援タオルを掲げて応援した関取がことごとく負けてしまった。しかし照ノ富士だけは負けて欲しくないとせめてものゲン担ぎに応援タオルを開かず握り締めて見守ったがまさかの黒星。でも呼出の邦夫と利樹之丞と啓輔、行司の吉之介はチェックしたし、大相撲初観戦の友だちにどうでもいい情報を吹き込んだり一応やることはやったのでヨシとしよう。

緊急事態宣言を受けて飲食店の営業時間が短縮になっているので、はね太鼓に送られながら「ちゃんこ えびすこ」へ急ぐ。
「ちゃんこ えびすこ」は久しぶりだったので味が変わっていたらどうしよう、名物の焼鳥が小さくなっていたらどうしよう、こんな時だしお客さんが誰もいなかったらどうしようと色々不安だったが、お店の方はみなさん感じがいいしよい雰囲気で賑わっており、塩ちゃんこは変わらず美味しくて焼鳥も大きいままで美味しかった。辛口の日本酒でいいココロモチになったところで締めの中華麺で満腹。
企画上手でおいしいものに目がない友だちもこのラン&相撲観戦を喜んでくれてよかった。

みんなを見送って公園で一服してから、とうに暖簾がしまわれた「ニューねこ正」を覗くと飲み友だちを発見。
以前こんなときに引き戸のガラスを小さく叩き手を振って帰ろうとしたら、お兄さんが黙って席をつくってくれたことがあった。思いがけず締めの一杯にありつき、やっぱり両国はいいなぁとしみじみ思った夜だった。

2021年1月7日木曜日

朝のお岩さん

久しぶりにのんびり飲んでなにごともなく眠りについたはずなのに、翌朝鏡に映ったぶちゃむくれの顔にびっくり。
思い出してみると、きっかけは幼なじみからの、運転中にラジオから流れてきた曲で涙が出たという話しから。
では私も、となぜか姪たちに教えてもらったお笑い芸人のコント動画を送りつけ、さらに以前ラジオのスタジオライブで聴いて涙が止まらなくなった曲を送りつけたのだが、その曲を久しぶりに聴いたら酔っていたせいもあってまた涙。ひとしきり泣いて、涙を流すとすっきりするのだな、と納得して寝たのであった。

特に悲しいこともなかったのに泣いてこんな悲惨な顔面になるなんて、とお年頃で回復の遅いむくみ顔をマスクで隠して家を出た。
とはいえラジオを聞いているうちに上機嫌になって、マスクの中で大口を開けて歌を歌いながら歩きふと停車中の車の窓を見たら、そこには髪を振り乱し目が「33」になっている中年女が。思わず二度見してまた俯いて歩いた冬の朝であった。

2021年1月6日水曜日

知ってか知らずかいやんばかん

新年初酒場はいつもの「おいてけ堀」。
縄のれんをくぐると先日2軒目でステーキ屋さんへ行った仲間とそのママ友さん。あいさつをしてしばらく座っていないお花の前のカウンター席に向かおうとするとテーブル席にいつものご夫婦と飲み友だちもいたので、なんだかんだで宴会の始まり。途中、誕生日も年齢も同じの、やはり先日ステーキ屋さんへ行った強者も参加して大宴会に。この方、生まれた時間が私より約2時間早かったらしいので先輩風を吹かせまくって嵐のように帰っていった。
その夜は、その晩飲んだみなさんと大きなお風呂屋さんへ行った夢を見た。
洋服を脱いでいざお風呂へ、のしのし歩いてまずは女風呂を通る。早くみんなのいるお風呂へ行かなければと思ったが思いの外広い女風呂を歩くうちに面倒になって女風呂に落ち着く。と同時に、あれ?私はこれまで友だちと混浴風呂に入っていたのか?とふと疑問に思った。混浴なんてしたこともないのに。

2021年1月5日火曜日

あけまして初午

ストレスなしの楽しい年末年始を横浜で過ごす。
姪たちと料理をつくったりごちそうを食べまくったり喋りたおしたり散歩したり、高齢だがまだまだかわいい盛りのねこと寝たり。早い時間から酒を飲んでいたにも関わらず毎朝すっきり目覚めたということは、これまでいかに深酒をしていたかということだ。

長居をして自宅へ戻った翌日は出しそびれた年賀状といただきものの山芋を送るために東京郵便局までジョグ。ずいぶん警察官が多いなと思ったら箱根駅伝の復路の日であった。そんなことも知らずに背中に山芋を背負って都心を走るへっぽこランナーであった。
用事が済んで、今度はアトロクブックフェアを見に池袋へ向かって走る。寒くても汗は出る。初めて通る道をきょろきょろしながら、フンド氏の母校や護国寺を眺めているうちに到着。
学研の図鑑シリーズの「キン肉マン 超人」をふるえる手でさわって本当にこの本が存在したことに驚いたり、ほかにも気になる本がいっぱいでしばし至福の時を過ごしたのちにさようなら。

帰り道、ジェットコースターに乗っている人たちの叫び声の響く後楽園ゆうえんち(今は、というかとっくに東京ドームシティアトラクションズに改称)を見上げながら通り過ぎると、20年以上前に数回通っただけのなつかしい小道を発見。ここは歌舞伎役者のあの人の自宅だよ、と教えてくれたのはフンド氏だったか。
うっかり、初午祭のための地口行灯風マッチを年賀状にしてしまった。

マッチは甘夏書店さんに置いてもらっています。
今年こそは初午祭に行こう。2ケ所は行こう。できたら帰りに串カツも食べよう。