その夜は、知らない顔のグループと、またべつのグループがにぎやかに宴をしていた。
最初の客が引けて、マスターもママものんびり一服している。
私は隣の人妻と話しながら、次はなにを飲もうか考える。
「おーいママ、俺のたのんだの、忘れてへんか」
「あ、忘れてた」
「やっぱりなぁ、なんかくつろいでるからおかしいなぁ思て」
「ごめんなさーい、でも伝票には書いてないから安心して」
「当たりまえや、ハハハ」
なんてことのない会話を聞きながら、なにかを感じた。
師走感だ。
それも、いそがしい師走のすきまにある、間延びした時間。
この感じ、好きなんだよなぁ、と熱燗をたのむ。
「それじゃハセガワさんと変わらないじゃない」
「ハセガワさんとこに行ったときにさ」
「やっぱりハセガワさんってもんだよ」
「そこはハセガワさんでないと」
お銚子を受け取った手が止まる。
会話の主は、背後の見知らぬ顔のグループだ。
いや、「見知らぬ」ではなく、いつも背を向けていて気づかなかっただけで、これまでの「ハセガワさん」についての話しも、彼らだったのではないか。
おそるおそる振りかえって、そっと顔ぶれを見てみる。
しかし、やはり見知らぬ顔ばかり。
「ハセガワさん」はどうやら、人望があって頼りにされている人物らしい。
自分でないことは火を見るより明らかだが、それにしても魅力的な人物に思える。
ハセガワさんはこの酒席に加わることはないのだろうか。
もしや、うちのハセガワのことではないだろうな。
遅くなりましたが、「深川福々」最新号は既に配布されております。
大江戸線・清澄白河駅では季節ごとに異なるPOPも。
墨田区内の配布も完了しました。
今回は編集会議の日にちを一日まちがえ、作業にも参加できず、ただ配布だけをした、だめ人間であった。
クリスマスは終わった。
「ものに執着しなくなった」と言った舌の根も乾かぬうちに、急に物欲のカタマリになったため、落ち込むほどに自分に貢いでしまった。
ま、なにに対しても興味のわかなかった期間の分の、穴埋めだと思って・・・