今までに二度ほどお会いしただけの間柄で、その作品や送ってくださるDMにかなりの熱量を感じていた、かえるとこけしのイラストの方。
いただいた手描きの新聞を改めて読んだら個展が翌日までとのこと。これは行くしかないと朝早く起きて向かった先は初めてのつくばであった。
茨城県には縁もゆかりもなく、とはいえいつも行くコーヒー屋さんからつくばや茨城空港周辺のランニングコースを教えてもらったり、そこでのイベントで親しくなったアーティストさんの個展を観に牛久まで行ったこともあり、じわじわと茨城への道すじができたように感じていた。
早めに到着して、手描きの新聞におすすめと書いてあった駅前のコーヒー屋さんでおしゃれに朝食をキメた。
運ばれてきた枝豆とゴルゴンゾーラのキッシュを食い入るように見ると、キッシュの味が濃いのでサラダにはドレッシングをかけていませんがそのままで召し上がってくださいと店員さん。ほうほう、と背筋を伸ばしてナイフとフォークを使う。
他の席では親子連れや仲睦まじいカップル(もしくは若夫婦)がのんびりコーヒーを啜っていた。いただいたキッシュもコーヒーも、そしてサラダまでもおいしかった。
焦げつきそうな炎天下を歩き出すといきなりロケットが現れた。
しばらく進むと駐輪場の脇にロボット実験用道路と書いてある看板がありあたりを見回したがロボットも休日なのだろう、誰もいなかった。暑すぎて白く見える道を進んでコンクリートのなにかがそびえ立つ不思議な公園でひと休み。汗がぽろぽろ落ちてくる。
あまりの暑さと不思議な景色の連続に白昼夢を見ているような気がして、ふと気づけばギャラリーに到着していた。
クルマは何台も停まっているがひと気のない建物の階段を上がると、はたしてそこにはたくさんの人たちとDMをくれたかえるの人がいた。
あ、マッチの人と言われてうれしくなった。
壁面には今までの新聞がずらり圧巻。たまにある造形物もかえるの人の味がある。新聞を端からじっくり見ると、かえるの人の地元、土浦愛がいっぱいで次回は土浦に行こうと決心した。
かえるの人に、あなたのおすすめのお店で朝食をとってきたがとてもよいお店だった、ついてはもうひとつのおすすめのコーヒー屋さんにも行きたいがどこを行けばよいかと訊ねると、少し待ってくださいと外へ出ていった。
どなたか道のわかる賢い方、東京からわざわざ来てくれたこの方をあのお店に連れてってもらえませんかね、とかえるの人が言うとふたりの女性が立ち上がった。いいんですかと言うと、どうぞどうぞと仰るのでご好意に甘えてもうひとつのコーヒー屋さんへ。車内では初対面のこのおふたりの案内してくれるつくばのまちがとてもおもしろくてGoogleマップも知らない道やおすすめのお店を教えてもらった。
この人、東京からわざわざかえるの展示を観に来たのよ、とあちこちで紹介してもらいたいへん恐縮しながらもうひとつのコーヒー屋さんへ。ほどよきところでギャラリーへ戻るおふたりに、もし今日お店に行けなくてもきっとまた来るよね、と言われてハイもちろんと胸を張ったが、そういえば名前知らなかったと言われてあわてて自己紹介した。
普段は食べないのにおいしくて感激したキーマカレーのサンドイッチとコーヒー、そして親切なお店の方に満足して外へ出るとすべてを忘れそうなほどの炎天下。とても街歩きなどできず、さっき教えてもらったGoogle先生も知らない小径を歩いてバス停にたどり着いた。
今度来るときは絶対に迎えに行くからね、と言ってくれたふたりといい、かえるとこけしの人といい、つくばっていいところだなぁ。