2022年1月31日月曜日

涙がパラリパラリと

大相撲初場所を千秋楽に観戦した友だちから彼女が大ファンの押尾川親方とのツーショット写真が送られてきた。
私は中日に観戦して照ノ富士のハリボテとのツーショット写真を友だちに撮ってもらったのが精いっぱいだったので、次回どなたかに遭遇したらきっと写真をお願いしようと決心したその舌の根も乾かないうちに豊昇龍関と遭遇。
たまたまチケットを譲ってもらった豪栄道の断髪式へ向かう途中、紋付き袴姿の関取が駅前を何人か歩いており、ひときわカッコいい関取をすれ違いざまにじっと見たら豊昇龍関だった。千秋楽のときも痛々しかったおでこから右目の傷はすっかりかさぶたになっており、TVで見るより大きくて壁のよう。しかし叔父さんと似た威圧感のようなオーラに声など掛けられるわけもなく、何度も振り返っては後ろ姿を見送った。
国技館に入るなりいつも以上に関取衆や親方衆があちこちにいることに舞い上がりつつ、いただいたチケットの席が狭すぎたのでゆったり観ることのできる席を求めて右往左往。

幕下選抜トーナメントはとても豪華なメンバー。そして断髪式・引退相撲といえば大好きな初切。このご時世なので口に含んだ力水をぶっかける代わりに塩を顔にかけていた。そして楽しみにしていた甚句で巧みな言葉あそびと美声に酔いしれ、決して聞き逃してはならない

〽せっかくなじんだ皆さまと
今日はお別れせにゃならぬ
いつまたどこで会えるやら
それともこのまま会えぬやら
思えば涙がパラリパラリと

このフレーズをしっかり聞いて満足。
さらに呼出の太助による太鼓の叩きわけ。太助がこんなに立派になって、と近所のおばちゃんフィーリング丸出しで感慨深く見入った。横綱の綱締め実演も照ノ富士のものはもちろん見たことがなかったので真剣に見た。これだけでも来た甲斐があったというもの。めったにお目にもお耳にもかかれないから。
肝心の断髪式は400名という大人数だったので途中抜け出してはお土産屋さんを覗く。まったくお腹は空いていなかったが晩御飯にと豪栄道弁当を買った。
豪栄道は違和感のないオールバックにタキシード姿で登場して、私が果たせなかった横綱を育てたいという言葉を残した。私までふんどしを締めなおしたい気分であった。
豪栄道弁当を買ったのを忘れて飲みに行ったくせに!

2022年1月28日金曜日

なんらかの血

医者通い最終日を終えて、朝食をとりながら窓の向こうの駅のホームに入ってくる電車と出ていく電車を眺める。

ずいぶん昔に、隣のビルのバーでこの景色を見た。ソウルミュージックと夜のホームに入ってくる電車にうっとりして酔いがまわったことを思い出した。
そういえばバーにもスナックにもしばらく行っていないなぁ。

あまった時間にねまちの爪切りへ。
ねまちのかかりつけの病院の先生はクールでべたべたした付き合いを好まないように見えるので必要最小限のことしか話さないよう心がけているが、たかが爪切りのためにと恐縮しているとさっさと終えてからねまちを抱いて揉んでは、手触り最高!とか、かわいいねぇとか、名残惜しそうに見えるのはモンスターペアレント、もとい親バカのせいかと思っていたら、実はドストライクなのよね、この子の顔、と言われた。この体にこの顔、本当にかわいいですよねと仰るので思わずそうなんですよねぇと目尻を下げた。
今日は体重を測りましょうと測定したら2ヶ月前から1㎏近く増えており、まだまだ大きくなりますねと言うので楽しみだなぁとますます目尻を下げたら、この子、なんらかの血が混じってるから結構大きくなりますよ、なんらかのね、と言う。
確か初めてねまちを連れて行ったときはメインクーンですかと訊かれ、いいえ野良だったのでわかりませんと答えた。その次に行ったときはサイベリアンですねと言われて、いいえ野良だったのでと答えながらも初耳だったので何度も聞き返して帰宅後すぐに調べると確かに似ていた。それ以降は何度もメインクーンですかと訊かれたが、次はなんと言われるだろうかと思ったら「なんらかの血」であった。
なんらかって、なに?

2022年1月27日木曜日

1月27日

いつものごとく、ねまちと攻防戦を繰り広げて家を出るときに思い出した。今日はぼっちゃんの命日。
最後に撮った写真は病院の先生に見せるためのおしっこの写真だったなぁ。不安でたまらなかった数日間といろいろを思い出しながら歩く。

フンド氏とぼっちゃんを続けて亡くして、今はねまちと生きている。
ねまちは晩酌を始めるとすぐ横でじっと見ているし、私がなんとなく見ているドラマを隣の椅子で真剣な顔で見ている。これは君の嫌いなおかずだよと言うと皿に砂をかけるしぐさをして、このドラマは君にはまだ早いでしょうと言うとばかにしないでと噛みつく。
毎朝ふたりでフンド氏とぼっちゃんにあいさつをして、チーンと鳴らす代わりに窓際の風鈴を叩かせる。健康でよく喋るいい子に育ったがまだまだ大きくなりそう。

「over the sun」を聞きながらしみじみ歩いていると例の親子に遭遇。
この親子のお世話をしている方のセンスと愛情に大きな拍手を贈りたい。

2022年1月22日土曜日

続・医者通い

今回は話を聞くだけだし、なんなら余った時間に国技館でも行っちゃおうかなぁなんて気楽に構えていた医者通いの金曜日。
念のため、と受けた検査が辛くて痛くて完全にテンションが下がった。一刻も早く帰ってねまちと遊びたいと気持ちは急いたが朝ソバだけはキメたくて

空腹でもなかったが近所のお蕎麦屋さんへイン。美味しかったはずだが心ここにあらず、家でねまちに絡んで嫌われてテレビ桟敷で大相撲観戦。宇良の奮闘と阿炎が負けたのに声を上げたらねまちが驚いて飛び起きた。
照ノ富士が勝ったのを見届けて「ニューねこ正」へ急ぎ、美人女将にまた愚痴を聞いてもらい慰めてもらってあじのつみれを食べてさようなら。
医者通いはあと1回増えてしまったが、痛くてツラいのはもう終わった。

2022年1月20日木曜日

医者通い

医者通いの日々。
先日は人生初の大腸の内視鏡検査であまりにも辛い、うまいこと表現できない気持ち悪さと途中の痛みに唸り声をあげていたら看護師さんに、鼻から息を吸って口から吐いてね、もうすぐ終わるからね、と優しい声で言われて涙が出た。検査前日の食事制限にばかり気を取られて検査のことなど忘れていたが本当に辛かった。検査が終わったら何を食べようかと楽しみにしていたのに何も食べられそうになくトボトボ帰宅。
病院からの通り道の国技館では十両土俵入りの時間。

若元春に豊昇龍、照強に霧馬山に北勝富士に若隆景、そして照ノ富士。みんなみんながんばって、と心の中でつぶやいて帰宅し、ねまちとテレビ桟敷で観戦。
腸の動きを止める注射が切れてきたとみえてお腹がぐうぐう鳴り始めた。お腹は空いていないが晩酌のために何か食べておこうとたぬきうどんを作った。前日はネギも揚げ玉も無しの素うどんだったので七味もどっさりかけてやった。
その勢いのまま「ニューねこ正」へ乗り込み

案外きれいだった我が大腸を思い出しながら、そこに熱燗が染み込む様を想像してわかさぎの天ぷらをかじった。

もちろん美人女将にはさんざん泣き言を聞いてもらったし別の日には「おいてけ堀」のママやチーママにも話した。

その検査ってあれだろ、音ががんがんうるさいやつ、とマスターが言うので、それはMRIですと答えながら、ああ、あの検査もイヤだったなぁと思い出した。
医者通いは、まだあと2回残ってるわよ!

2022年1月13日木曜日

ねまちからのメッセージ

さあ寝ましょう、とスタンドの灯りを消すとねまちが切ない声で鳴いている。
どうしたの、と起き上がると小さな手足をそろえてこちらを見ている。また布団にもぐり込むと切ない声で鳴く。これを繰り返して眠りに落ちそうになったとき何かを転がしてドタバタしている音に目覚めて枕元に来た途端にガバッと起き上がるとそれはホットカーラーであった。なぜこんなものを、と取り上げて布団に隠した。
翌朝目覚めると、りんごの芯が枕元に置いてあった。床には玉子の殻が散らばっていた。
まったく食べもしないものをなぜ、とぶつくさ言いながら適当に片付けて洗顔後、化粧水を顔にのばしていると戸の向こうから半身でねまちがこちらを見ていた。さらに手のひらを顔に当ててふと見ると片足を出してかたまるねまち。もしや、だるまさんがころんだをしているのかともう一度顔に手のひらを当てて横目で見ると反対側の足を出してかたまっている。これを繰り返してパッと横を向いたらどんぐり眼で隣に座っていた。
気を取り直してメイク用のブラシを探すと、ない。どこにもない。使わないブラシはあるのになぜ、とぶつくさ言いながら散らばった綿棒を適当に片付けて仕方なくその日は絵筆で代用してごまかしたが、後日窓のサンにブラシが挟まっているのを見付けた。

2022年1月11日火曜日

新年のさようなら

ねまちと過ごしたこと以外なんの感慨もなかった年末年始とそれからの三連休。
オミクロンのせいで予定していたイベントも不参加、その翌日友だちに誘われたLSDだけが楽しみで、それなのに突然の腹痛で不参加を覚悟してがっくりうなだれたが、少しだけでもと仲間に言われたので参加してみたら、なんのことはない、最後まで走ることができた。
LSDの後のお楽しみ、飲み会は止めておきますと言ったら、少しだけでもと仲間に言われたので参加してみたら、なんのことはない、普通に飲んでしまった。

しかもその後の「おいてけ堀」のマスターとの飲み会でさえも普通にがばがば飲んでしまった。
ソロ活動も再開。いつものお店にあいさつ回りして新年の石鹸と手拭いもいただいた。
なんだかんだで元気じゃないかとオノレの丈夫っぷりに感心したが、大相撲2日目をテレビ桟敷で鑑賞した後に行った「ニューねこ正」で美人女将に、冷たいものはやめときなと言われて背筋がのびた。
しばらく行っていなかったお蕎麦やさんへ小銭を数えながら向かうといつものように口が勝手に、紅しょうが天そばくださいと言った。いつものように私以外のお客さんはみなゲソ天そばを注文し、おかあさんはのんびり返事しながらもサッとおそばを出してくれた。

しばらく行っていなかったおにぎり屋さんへ小銭を数えながら向かうと閉店のお知らせが貼ってあった。
おじさん対おばさんふたりがいつも喧嘩しており、そのせいかおにぎりがしょっぱいこともたまにあったが、おばさんひとりがいなくなってから喧嘩もしょっぱいおにぎりもなくなった。
黄身がどす黒いほどに固く茹でてちょっとヒビを入れたゆで玉子も、ゆるいラップで巻いたサンドイッチも、これでしょ、と注文する前から包んでくれたおにぎりも、もうないのだなぁ。