子どものころ、焼肉といえば
タレのついていない肉を焼いて
好きなタレにつけて、食べるものだった。
おさななじみが連れていってくれた焼肉屋さんは
その、タレのついていない肉の焼けるにおいでいっぱい。
なつかしいにおいを嗅いだとたんむかしから好きだったそのまちが
あらたな気持ちでまた、好きになった。
その次に連れていってくれたバーでは
「ザ・両国」のグラスに、マスター独自の黄金比率の
シングルモルトや、スコッチの水割り。
(「ザ・両国」は切らしていたのだ)
おつまみは、すべてマスターお手製で
どれもおいしいウイスキーにぴったりだった。
お話しもたのしくて、おさななじみとふたり、当然飲みすぎた。
留守をまもってくれたにいさんは
聞いたことのない、あかちゃんのような声で
「おかえりなさい」
と、迎えてくれた。
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