2021年12月15日水曜日

ナポリタンのブックカバー

子どもの頃から好きな、薄暗くて壁や柱にコーヒーの香りの染み付いた、音を絞ったジャズが流れる喫茶店。

昼どきには焦げたケチャップやチーズの匂いが漂ってきて腹の虫が騒ぐ。読んでいた本を伏せると今日のランチはナポリタンしかない気がしてくる。
こんなブックカバーをかけていたら気が散って読書どころではないでしょうが、このブックカバーをかけた本をかばんに入れた時点で、この日の過ごし方が見える。
マッシュルームがたくさん入っているとうれしい。マッシュルームもうれしい。

2021年12月13日月曜日

入院にっき

なにか変、と体に違和感を感じたのを気付かないふりしていたらどうにもツラくなり医者へ。
十中八九これだと思う症状があるから、今からD病院の救急へ行って入院することを勧めると言われたが、急に言われてもねまちのことがあるので痛み止め等を処方してもらって帰宅。
夜も痛みでほとんど眠れず朝一番で医者へ行くも痛みがひどく泣き出す始末。1時間以上待って紹介状をもらい、よろめきながらD病院へ行き、発熱のため受けた生まれて初めてのPCR検査の痛さに打ちのめされ、ベッドに横たわったまま処置室へイン。生まれて初めての車椅子に乗り換えて点滴したままあちこちへ検査に向かい最後のCT検査を終えて仰向けのままため息をつくといつの間にか現れた先生から1週間の入院ね、との言葉。
困る、困ります、と言うと、少しでも放置したら手術だし大ごとになるよ、今なら1週間~2週間の入院で済むからと言われた。昨日の医者の予想が的中したのが憎らしい。懸念だったフリーペーパーの作業のデータについては発行人に、ねまちについては頼りにしている妹とご近所さんにそれぞれ前夜のうちに連絡した。でもねまちには何も伝えていないので帰らなければ。
少しでも外出するとまたPCR検査を受けて結果を待たなければいけないし点滴も一旦外さないといけないので、採血もしたしご負担ではと気遣ってくださる看護師さんに何度も頭を下げてふらふら帰宅。ねまちにはきちんと説明した。前夜に準備した入院グッズはRHYMESTERトートに入れてしばしのさよなら。
そこからはあまり覚えていないけれど高熱を出したり痛くて唸ったりしているうちに生まれて初めての入院初日は始まった。初日は妹がはるばる来てくれてねまちの世話をしてくれた。翌日はご近所さんが甘やかしてくれた。ふたりとも、ねまちゃん元気に遊んでるよと言ってくれてありがたかった。
入院3日目にしてようやく熱が下がり痛みもなくなり、絶食生活が苦になってきた。食欲はないが味のあるものを口に入れたい。
今回の入院の原因はストレスだと先生方や看護師さんたちが口を揃えて言うのをストレスなんてないのにと思っていたが、入院してすぐに痛みを堪えてあちこち根回ししたというのに朝から労働関係で下らない問合せが来て労働モードのシャッターを完全に下ろした。ストレスとは対人と思い込んでいたが労働そのものだったと気付いた。他にもストレスと思っていなかったことが実は大きなストレスだったと気付き、ますます味のあるものを口に入れたくなったが経口補水液でがまん。
この日最後の経口補水液をうやうやしく受け取ると、明日からお粥ですねと看護師さん。
ホントですか、実はたまに胃が鳴るようになったんです、うれしい、と大人げなく大喜び。
明日は犬も舐めるところがないほどきれいに食べてやるのだ。

2021年12月10日金曜日

助六のブックカバー

その友だちが秋田にいた頃は毎月のように会っていたのに、ご主人の転勤で都内に越してきてからは近くにいながらコロナ禍で顔を見ることもできず、たまに長電話してはあのおいなりさんが食べたいとしつこく言っていたら約2年ぶりに再会したとき何年越しかでつくって持ってきてくれた。

このおいなりさんにはゴマときゅうりとクリームチーズが入っており、以前秋田からの帰りの道中にと持たせてもらって以来、大好物になった。おいなりさんがそれほど好きでない私や彼女の息子までもが熱望する、おふくろの味。
久しぶりに食べたこのおいなりさんはしみじみおいしくて、大事に食べようと思っていたのにあっという間に完食してしまった。
食べ終えてから悲しくなり、猛然と作り始めたのが助六弁当のブックカバー。切れずにつながっているたくあんがしおりで、きゅうりのお新香もある。
幼なじみに見せたら、読書の邪魔をするブックカバーだね、とありがたいのかそうでないのかわからないキャッチコピーをもらった。
勢いでつくったこのブックカバー、きっと売れないと思うので自分で使おうと思う。

2021年12月8日水曜日

センセイのブックカバー

ブックカバーをつくるにあたってまず最初に頭に浮かんだのは暖かい風景。冬ですから。
冬の暖かい風景といえば、おでんの湯気と熱燗。
おでんは出てきていなかったと思うけれど、なんとなく「センセイの鞄」のお店が浮かんだ。センセイとツキコさんふたり並んでそれぞれの選んだ肴で静かに飲む姿を想像すると、しみじみよかった。

外の冷気をはらんだコートを丸めて席につき、ほどほどににぎやかなお店で酒を啜っておでんを選び、ひと息ついて本を開くのは冬の醍醐味だろう。
そんなとき手にしている本にこんなカバーがかかっていたら、まわりに見せびらかしたくなるかもしれない。
(それにしてもなんてひどい写真なんだ)


などと想像しながらも、実際はおでんがあってもそれ以外のものをたのむんですけどね。
焼き鳥屋さんでも焼き鳥はめったに食べないし、でもいいのいいの、雰囲気。

しおりはお銚子とお猪口、それとなぜか、しらたき。
墨田区向島の甘夏書店さんにて現在開催中の「本と遊ぶ ブックカバーとしおり展2021」に置いています。
おでんの季節が終わるころには、おでんの汁のシミがついているかもしれない。
本日6ヶ月を迎えたねまちは、辛子のついた厚揚げの匂いを嗅いでいる。

2021年12月7日火曜日

ミートソースのブックカバー

お気に入りの喫茶店「喫茶ニャーゴ」でコーヒーを飲みながら本を開くときほどよい時間はない。
コーヒーの匂いの染み付いた太い柱にもたれてコチコチと古時計の音を聞きながら穴ぐらのようなそこにいると、本を読みながらもぼんやりしてしまう。
・・・などということはなく、実際はあたりを見回したりせっかちにコーヒーを啜ったりして気づけばさっきから同じところを繰り返し読んでいるというのが常だけれど、大切なのは気分よ気分。
そんなとき手にしている本のカバーが素敵だと、なおよい。
墨田区向島の甘夏書店さんにて現在開催中の「本と遊ぶ ブックカバーとしおり展2021」に置いています。

スパゲッティミートソースが食べたくなってそわそわしたら「ぺろりレストラン」へ。
ハンバーグに目玉焼きまで乗っていてうれしくなりますよ。

そういえば私が子どものころに食べたスパゲッティハンバーグは、田舎のデパート(といっても三階建てほどのビル)の中の食堂だったが、今の東京でいうとこんな感じかな、というお店を先日通りかかった。特別食堂というその名前がイメージにぴったりであった。

2021年11月30日火曜日

悲しいオムライス

今日のランチはスパゲッティミートソースと心に決めてお店の前で仁王立ちしたある日。

あれほど強く決心していたのに、メニューの写真を見ていたらオムライスが目に入って離れない。注文を聞かれると口が勝手にオムライスくださいと言っていた。
まぁこれも食べたかったしね、と自分を納得させるも、やってきたそれはもう記憶にないほど美味しくなかった。熱々なのに冷めているような、薄焼き玉子でごはんを包んだ昔ながらの大好きなものなのになぜ、と悲しくなったことだけは覚えている。

もちろん「ぺろりレストラン」でも

「レストラン両国駅」でもありませんよ。


お店に入って席に着いたとたんに思っていたものと違うものを注文する癖、直さないとと決心しながら「ニューねこ正」のまかないの通称・貧乏オムライスのことを思い出した。具はほとんどネギのみで香ばしくておいしかったなぁ。
「レストラン両国駅」のオムライスは正統派で、チキンライスではなくてケチャップライスを薄焼き玉子で包んだもので玉子の厚みがでこぼこしていて端の少し焦げたところもたまらない。

あんなやつが食べたかった。それよりなによりミートソースはどうなるのだ、とうなだれていたら幼なじみが絶妙のタイミングで私の大好きなミートソースをおみやげにくれた。そして悲しいオムライスはいつの間にか胃から消えていた。

本と遊ぶ ブックカバーとしおり展2021

ねまちの避妊手術を無事に終えて、エリザベスカラー生活もあと数日。
モンペと言われようとも術後は4日間ずっと付きっきりでいようと、手術中はご近所さんに自転車を借りてねまちのフードや自分の食料や酒を買い込んで日がな一日じっとり観察していたけれど、2日後に久しぶりの友だちと再会するべく後ろ髪を引かれながらランチに出かけて帰ると、私が在宅していたときには残していたごはんをきれいに平らげており私がいないほうがよかったのではと反省。

久しぶりに会った友だちとはお互いなぜかじろじろ見合ってしまった。
変わっていなくてよかったと言うと、あんたは白くなったねと言われた。引きこもり生活のおかげか。ずっと食べたかった友だちお手製のおいなりさんはその晩大切に食べた。またつくるよ、の言葉がうれしかったが私をモンペ呼ばわりしたことは忘れないぞ。

別の日、会いたかった幼なじみとやはり2年ぶりくらいに「ニューねこ正」で再会。

変わっていなくてよかったと言おうとすると、身長が180㎝超えくらいになっていたらどうしようと思ったけど変わっていなくてよかったと言われた。幼なじみの恋人とともに生牡蠣で痛飲してどっさりおみやげをもらって、またね。

いつもばったり会う常連さんと「おいてけ堀」でひと月ぶりに再会して千秋楽前日の照ノ富士・阿炎戦を観戦。

続けて日本シリーズまで観戦。ひとりで観るより楽しくてまた痛飲。

会いたかった友だち全員の顔を見ることができてうれしかった数日間。
しかし喜んでばかりはいられないのだ。かなり久しぶりにお誘いを受けたイベントが始まる。

「本と遊ぶ ブックカバーとしおり展2021」
2021年12月5日(日)~12月25日(土)
12時~18時(最終日は~17時)
定休日 火曜日・水曜日
一軒家カフェikkA 2階 甘夏書店さんにて
https://amanatsu-shoten.hatenablog.com/

ちびちび作っては失敗、作っては失敗を繰り返しながらも、何点か出品できそう。
他の方の作品も楽しみだなぁ。

2021年11月18日木曜日

モンスターペアレント

ねまちの避妊手術の日が迫ってきて、心配でソロ活動する気分にもなれず家で晩酌の毎日であったが、ご近所さんに誘われて「おいてけ堀」に登場。

ご近所さんは高齢犬のピピくんを非常にかわいがっており同じ動物病院に通っていることもあって話は尽きない。そこでねまちの術後のケアのために休みをとって4日間引きこもること、エリザベスカラーを購入したことなどを話すと、4日間も引きこもるの、それにエリザベスカラーなんて病院でもらえるじゃないの、と驚かれて私も驚いた。
帰宅して締めの一杯を飲んでいたら友だちから電話でランチのお誘い。
本当は飲みたいけれどまだコロナが怖いから酒抜きでと言う友だちに、2年近く会っていないしとても会いたいがねまちの手術が、と言うと、あんた大袈裟だよ、私も昔犬の避妊手術を経験したけどそこまでしなかったよと言われ、でも心配で、と反論すると、あんたアレだよ、ほら、モンスターペアレントになるよと言われてハッとした。

そういえば、LSD後の飲み会を途中退席するようになって、この生活いつまで続けるの、とラン友たちに聞かれることが多くなったし、あれほどピピくんの世話をきめ細やかにしているご近所さんにさえ、そこまでするの、とドン引きされた気がする。
そうやってモンスターペアレントになっていくんだよ、だから会おうぜと説得されて、上り始めたモンスターペアレントへの階段を一段下りたのであった。
あたしに恥かかさないで!

2021年11月11日木曜日

うれしい言葉ふたつ

やらなきゃダメなのよ、なことの一部がほぼできたこともあり、今夜は飲みに行くぞと意気込んで出かけた「おいてけ堀」。

とんでもなくお腹がペコペコで、いつもの1.5倍のおつまみをむさぼり食って一服したら禁断の最後の客になっていた。いつもにこにこしているマスターがにこにこしながら珍しく客席に出てきてずいぶん遅いねと言うので、ねこにごはんをあげてて、と答えると、今度連れてきなよと言われてその光景を想像したら急に酔いがまわった。
未成年ですから、あわてて答えながらも、なぜかうれしい言葉だなぁと思った。
今夜はもう貸し切りよ、とママが言うので、じゃがいもとブロッコリーのカレー味のお通しが美味しかったことをチーママに伝えてそのつくり方について訊ねたり、ねまちの初めての体調不良と回復、そして彼女がいかにささみを愛しているかをママに激白して互いの家のねこや小鳥の写真を見せあったりしてごちそうさま。

先日、南伊豆食い倒れ合宿の主催者とその際に同室だった人とで肉を食べたときのこと。
このふたりと会うときは大人数のことが多いので珍しいなと思っていたら、ふたりで肉を食べようと話していて他に誰を誘うかと訊ねたらあなたを指名されたと主催者から言われてびっくり。
それほど親しくもないのになぜ、と思ったら、いつも楽しそうだからとさらりと言われた。
そうか、楽しそうに見えるのか、とうれしくなった。
めったに褒められることないもんねぇ。

2021年11月6日土曜日

秋のさんぽ道

ねまちの具合がよくなかったときに「サロン・ド・こけし」の予約をキャンセルしたのだがねまちが快復して安心したとたん髪がうねりだし色が褪せてきたので頭を抱えていたら、その姿を見ていたかのように女主人から、様子伺いの言葉とともに(本来はお休みの日の)この日はお店にいます、それでは失礼しますとのメッセージが。

うれしい。うれしいがいつもと違うそっけないメッセージに一抹の不安をおぼえながらお店に向かった。一抹の不安をおぼえながらも以前から気になっていた武蔵野うどんは食べて向かった。
いつもの笑顔で迎えてくれた女主人に安堵すると、思っていたとおりねまちの具合が心配で髪どころではないかもしれないと気遣ってくれてのシンプルなメッセージとわかった。わかってはいたがホッとした。

いつものマシンガントークと秋らしいカラーとすてきなカットを施された鏡の中の自分に気分がうきうきして、素晴らしく晴れた空のもと女主人に教えてもらった和菓子屋さんを目指して歩いた。
途中、ひとめぼれした鍋つかみを入手したり通りがかった古民家のお店で珍しいフリーペーパーをもらったりして目的の和菓子屋さんに到着。ふだん甘いものは食べないけれど年に数回だけ食べたくなるときがありこの時がその時だった。感じのよい女の子の店員さんからいちじく大福と黒豆大福を受け取った。
さらに歩いてむかしむかし住んでいたアパートがまだあるかどうかを確かめて、やはりむかしむかし行っていた喫茶店(今年でなんと67年!)で変わらず急な階段をのぼってコーヒーを運ぶおばあさんの姿にうれしくなったり駅前の古書店で目についた本や古くからのお店で酒の肴を手に入れたりして離れがたいなつかしいまちを後にした。

年に何度もない完璧な一日。
選んだはずのグリーンピースのサラダがポテトサラダだったことに小さく落胆したが、シンプルで美味しかったので味の余韻が消えないうちにと猛然とポテトサラダをつくり始めた秋の夜長であった。

2021年11月3日水曜日

進水式

天気のよい朝、最近完成した公園を横切ると、できたばかりの新しい公園なのにすっかり落ち着いている方々がいることに気付き、きっと昼の常連さんも夜の常連さんもいるのだろうと想像した。まわりを見渡すと、真新しかった苗木もいつの間にか成長してなじんでおりなによりその公園が辺りにぴったりはまっていた。

状況も気持ちも変わっても、聴くとまた違った文脈を感じて聴き入ってしまう曲がある。この朝はKIRINJIの「進水式」。
大切な曲なのでRHYMESTER「K.U.F.U.」とともに滅多なときには聴かないリストに追加。

やらなきゃダメなのよ、なことが遅々として進まない。今回は〆切まで余裕もあるのになぜ、と思ったら、まさにその悩みを相談しているのをラジオで聞いた。
追い詰められた状況で満足のいくものを作ることができたという成功体験がクセになっているのだという回答に、何度も膝を打ちすぎてみみず腫れになった。(うそ)
ハズレもいくつかあるんですけどね。
それ言っちゃダメなのよ。

おしゃれはがまん

ねまちが最近かっこいいえりまきをしている。

しかも素敵なブーツ(裏がふさふさ)まで履いており、生まれて初めての冬に向けておしゃれしているようだ。
ついこの間まで具合が悪くてなにも食べることができなかったねまちとは別人のように最高級の毛皮で着飾っている姿がうれしい。
秋には重ね着のおしゃれ、冬にはコートだけでなく手袋やブーツ、えりまきのおしゃれがある。近年は真冬でもそれほど寒くなく、分厚いコートや暖かいマフラーなどはあまり身につけないことが多いが、おしゃれはがまんなのであった。

ねまちがそれを思い出させてくれたので、来る冬に向けて「きせかえブティック メンキー&ノンキー」で素敵なコートを仕立てようと思う。

2021年10月27日水曜日

両国のさんぽ道

出かける途中で以前のマンションでのお向かいさんとばったり。

この方も引っ越されたがやはりご近所さんで犬のピピくんと暮らしている。立ち話をして、また飲みに行きましょうと約束した数日後、酒場へ行くか行かないか悩んで結局家で飲むことにしてアテを求めてうろうろしているとこの方から電話があり道端で洋服をどっさりもらった。

そのまた数日後に飲みに行く約束をしてたくさんの洋服を抱えて歩いていると後ろから名前を呼ばれて振り向いた。しばらく行っていない酒場の大将だった。この日は大将のお店の定休日で、飲みに行かない?と言われたが酒のアテを買い込んだ帰りなので残念ながらまた今度。
そうそう、うちのねこの動画見てくれた?と言われて首を傾げると、メッセージ送ったのにと言うので帰宅して確認するとそのアプリがおかしなことになっており右往左往してようやくアプリを開くことができた。元野良だったねこが階上の家から脱走して階下のお店の裏に再び住みついたらしい。なにそれ!
他にも懐かしい面々からのメッセージが数件。とっくに過ぎている日のお誘いもあり、悶えながら返信をした。

この晩飲みに出かけなかったのは、やらねばならないことがあるから。頭の中では壮大なモノがいくつも完成しているのに技術が追い付かず、ついに初めて動画で学ぶことにしたが、初心者でもできるという動画についていけず、こんなのできないよと投げ出してRHYMESTERの「After 6」を聴きながら歌って踊っていると、ねまちが驚いて逃げていった。
何時だと思ってるのよ!

2021年10月23日土曜日

モテています

満席の「ニューねこ正」でむりやり席をつくってもらい

今年2度めのさんまと素晴らしく美味しい白子を熱燗で飲り、さらにまかないの通称・貧乏チャーハン(ねぎが多いから、らしいがちっとも貧乏ではない)までいただいて機嫌よく帰った夜。酒場が再開してから会っていない飲み友だちからメッセージがきた。
仕事が忙しくてねこ正に行けず、悲しいのでねまさんの最新の写真を送ってくださいとのこと。お安いご用とカメラを構えるも写真を撮るのがへたくそなために、ねまちが荒ぶっている写真しか撮れず。
こんな写真でも喜んでくれた。

独身の頃から長く一緒に暮らしたねこたちを亡くして、またねこと暮らしたくなった妹が泊まりに来たいという。それではどこに行こうかと聞くと、ねまちに会いたいだけだから別にいいとのこと。

週に5日は真夜中の大運動会で寝させてくれない暴れ太鼓なねまちは実にモテている。
久しぶりに会ったこの牛もマスクや帽子をつけており、裏通りなのに人気者。


2021年10月19日火曜日

家さがし

新婚の友だち夫婦の新居を探しに、その地元民のみなさんと待ち合わせ。
新婚のご主人は仕事なので奥さまとその仲間たちと。いつもは酒場で顔を合わせるので朝から会うのは照れくさい。

新居についてはまだ具体的に考えているわけではないとのことで、梨畑を更地にしているところや更地、建設予定地や新築工事中の家に新築の家や中古の空き家、さらには案内してくれた友だちの家からその娘さんたちの家まで見てまわった。
ここは昔大きな運動場だったんだよ、ここはサッカー場だった、などと地元民の昔話を聞きながら歩くのは楽しい。コンクリの塀から立派な木の切り株がはみ出ている古い家がいくつもあった。素敵な花屋さんやカフェ、古くからの商店の看板に庭に咲き乱れるバラなど、初めて歩く住宅街はどこを見てもおもしろかった。

途中お蕎麦屋さんで休憩したときは、飲みたい気持ちを一同ぐっと堪えた。
おいしそうなおつまみがたくさんあったのと、天ざるの芝えびの数がとても多かったこともあり、ああこれで「清酒 綱取り」をちびちびやったら、といじましく想像した。

食後はじゅんさい池の主というねこたちにごあいさつしたのちに、新婚の友だち一番のお気に入りの豪邸(もちろん知らないひとの邸宅)に案内してもらい全員ため息がとまらず。春になったら昼は広いベランダで、夜は広いサンルームでお花見できるね、でも掃除が大変だよ、ルンバ何台いるかな、と妄想もとまらず。

たくさんの家を見た一日だったが、結局途中で寄った友だちのひとりのマンションの豪華さに一番衝撃を受けたのであった。

2021年10月14日木曜日

やっぱり愛されている秋の親子

昨日まで朝から松茸を焼いていた親子だったが
今朝はハロウィン仕様になっていた。

しかも去年と同じではない。
思っていた以上に愛されている親子に思わず立ち止まって見入っているとお掃除の方が、いつもいろいろ着せられてるんですよ、と笑った。愛されていますね、と頷きあって労働へと急いだ。

久しぶりにおとなしく寝ていたねまちだったが、翌朝、台所には歯ブラシが落ちていた。そしてごはんの皿にはお気に入りの通称ポンポンボールが。
ぼっちゃんもよくしていたこれは何のメッセージだろうか。今夜は飲みに行かないからと言い聞かせたが、家を出るときには恨めしい目で扉が閉まるまでこちらを見ていた。

2021年10月13日水曜日

ソロ活動開始とぜいたくな昼ごはん

緊急事態宣言が解除されて通常の時間まで労働しながら、この晩はソロで酒場へ行こうと考えていた。いそいそ帰宅してねまちにごはんを与え、ミルクを平らげたのを見届けていざ、とかばんを持ち上げるとこの日に限ってねまちが絡んでくる。すぐ帰るから、と言い聞かせるも玄関で平べったくなってケケケケと文句を言われて根負けした。
期待はずれの映画を観ながらねまちの耳掃除をして、余震が来たら心配だしこれでよかったと深酒。真夜中の大運動会で眠れず。

翌日もいそいそ帰宅してねまちのごはんの用意をする。私のスプーンと片方の箸がない。これは飲みに出かけてよしというメッセージと解釈し、すぐ帰るからと説き伏せて家を出た。今度は靴箱に隠れてにらんでいた。ここまで反対されても酒場へ行く必要はあるのか、と途中ふと思ったが振り向いたら負けよ。

酒場の暖簾から中を覗くとお豆腐屋さんがサッカーを見ていた。
こんばんは、と腰を下ろすと、どうも、毎度ありがとうございますと言われてあの出来立てのお豆腐と揚げたての厚揚げの味がよみがえった。
いつもはあまり表に出てこない大女将がにこにこしながら、こないだの湯葉とてもおいしかったわ、とお豆腐屋さんに言いに来た。最後の最後の湯葉が好きなお客さんがいるので大女将にもおすそわけしたのだそう。豆乳も湯葉もとろとろでシチューのようなんですよと聞いて、いてもたってもいられなくなった。
近所で工事などがあると昼食にお豆腐を買いに来る作業員さんもいるらしい。お弁当だけではもの足りないのでお豆腐を一丁買って、醤油たらしてくんない、と言って隣の公園で食べるのだそう。それいいですね、と感心していると、昔は商売やってるところは昼どきになると肉屋でコロッケ、魚屋で魚、豆腐屋で豆腐や厚揚げを買って、でかい釜で炊いたごはんでみんなで昼めしにしたもんです、とのこと。なんともぜいたくな昼ごはんだなぁ。
しばらくして常連さんのきれいな女性が現れて、この日はいなかった常連さんの話からお豆腐屋さんの初めての海外旅行の話になり、あんまりおもしろくて酒がすすんだ。
ふと気づけばいい時間。ねまちの顔が浮かんだのでお先にさようなら。

今夜は早めに寝ようと床についたが、この夜も大運動会で眠れなかったのであった。

2021年10月11日月曜日

年に一度のこんにちは

つらい健康診断を終えると必ずうどんを食べる。

(ご存じでしたか、「土俵そば」にはうどんも、丼ものもあるんです)
いつも朝はおそば一択だけれど、ひと仕事終えたあとは必ずうどんと決めている。
古い小さなお店のやさしい味のそのうどんを啜ると秋だなぁとしみじみ思う。うどんは秋の枕詞。

しばらく後に、なかなか効かなかった下剤が効いて突然の腹痛で冷や汗を流すことも知らず、のんびり一服していた朝の自分が憎らしい。

2021年10月10日日曜日

近くの他人はありがたい

深夜の地震は久しぶりに大きかった。
友だちと電話中で気が紛れてよかったけれど、生まれて初めての地震を経験したねまちはあちこちへ走り回っていた。あたし疲れたわ。

棚から貝殻が落ちたくらいで済んだし飲むものがなくなってハブ酒を啜っていたおかげで泥酔もしていなくてよかった。幼なじみや友だちや妹が心配してメッセージをくれたのがありがたかった。落ちた貝殻ってビキニの?と訊いてきた友だち、ずいぶん会っていないけれど変わっていなくて吹き出した。
震度がもっとも大きかった場所に住む友だちの顔が浮かんでメッセージを送る。無事だよとの返信に安心して寝ることにした。

翌朝は、なんとしても朝ソバをキメなければとなぜか強く決心してずんずん歩いた。

先日久しぶりに暖簾をくぐったとき、ずいぶん久しぶりじゃない、とおかあさんに言われた。ここんとこ朝起きれなくて、とソバを啜りながら答えたがその日は昨日のあれ、大丈夫だった?と訊かれたので、あの時間はお店に?と訊ねると、家よぅ、あたしいつも2時に来んのよとおかあさんは薄く笑った。そうだった、このお店は2時からやっているのだった。

お弁当をつくりそこねたのでお昼は顔馴染みの中国人のおねえさんのお店へ。昨日大丈夫だった?と訊かれたので、お店は大丈夫でしたかと訊くとお店は大丈夫よ、ワタシは電車止まって大変だったよ、と顔をしかめた。やっと夜の営業を始めたばかりなのにね、とお互い苦笑いしてさようなら。

実は名前も知らない、でもいつも顔を合わせる人たちとのこんな会話がなにより安心する。
世間話といえばそれまで、でもしみじみ心強い。

2021年10月5日火曜日

ふしぎなまち・土浦

なんとも魅力的、などという言葉ではおさまりきれない熱量の高さのかえるかわる子さんの展示を観に初めての土浦へ。
今年の夏はつくばで、先日は近所で怒濤の個展を見たが、今回はご本人念願のご実家での記念すべき個展。そのご実家は県の指定重要文化財になっている酒屋さんと聞いて、そしてDMに描かれた土浦のまちのお店にも行きたくて楽しみにしていた。

空腹で土浦駅にたどりついてまずはお蕎麦屋さん。気になる喫茶店や天ぷら屋さんがあったので、軽めのたぬきそばにした。醤油の味が我が東東京より濃くて新鮮だった。
あちこち寄り道してようやくたどり着いた会場は思った以上に重厚で彼女の作品にぴったりだった。
活けられていたお花まで、季節にも作品にも気分にもぴったり。
近所のお年寄りやたくさんのお友だちでほどよくいっぱいの古い建物の中で、しばし友だちの実家にお邪魔した気分で作品だけでなく飾られた手拭いや梁などにも見入った。階段が梯子のようで緊張した。
地元愛の大きさと、自分を変えようとして変えた姿にまた圧倒された。行ってよかった。

この日は結局、スマホをまったく見ずにDMの手描きの地図のみを見て歩いた。久しぶりのこの感じ、わくわくして楽しかったなぁ。間違いないだろうと思ったお店はやはり間違いなくて、それでも寄ることができたのは蓮根カレーパイのお店と古書センターと天ぷら屋さんまで。また来月のこちらでの個展にも来ようと思った。

そういえば私もフリーペーパーやかわら版が好きで「深川福々」のお手伝いをしたり、自分でも一度作ったこともあったのだった。
その名も「ねまち新聞」。
このときは広告が好きで広告のためにお店をつくって新聞で宣伝したのだけれど、かわる子さんの新聞をたくさん見るうちにまちの新聞をつくってみたくなった。

酒場巡礼の日々

緊急事態宣言が解除になり、近所の飲み友だちに誘われてあちこちこんばんは。
とはいえ心から安心はできないのだが、一軒一軒訪ねるたびに以前の感覚がよみがえる。最初に行ったのは「おいてけ堀」。
水茎の跡うるわしきメニューを見ずともすらすら注文。お馴染みのメンバーとも会えたし、しみじみ美味しかった。
次の日は別の「おいてけ堀」。(実はいくつもあるのだ)ここでも美人女将や大将たちの元気そうな顔を見ながら、ありがたく美味しく飲んだ。
また別の日は自家製チーズが特に美味しいお店。翌日から緊急事態宣言でしばらく来ることができないと目を皿のようにしてメニューを探したときそのチーズを発見した。食べたらおいしくて、たしか6皿も食べた。それでも嫌いになるどころかもっと好きになった。今回は3皿食べた。

どのお店の風景も味もそのままでうれしかったが、以前と違うのは家にねまちがいること。あまり泥酔する気にはなれず優等生的にごちそうさま。酒もいいがねまちが気になる。それにしてもみなさんお元気でよかった。
落ち着いたらソロ活動も始めようと帰宅すると、ねまちの顔を見てやっぱり我があばら家が一番かもしれないとも思った。
いいのよ、帰ってこなくても。ごちそうさえ用意してくれればね。

2021年9月30日木曜日

都内屈指の鈍感

この頃、労働を終えて帰宅すると必ずラジオがついている。朝、家を出るとき必ず消しているので、ねまちがつけているのは明白だ。自分でラジオをつけて「荻上チキ session」を聞いていたのかと思うと、日に日に巧妙になるいたずらにも納得。

妹と姪たちとで「ひびのこづえ展」を楽しんだあと、こっくりこっくり遠くのホームセンターへ。せっかく久しぶりに横浜駅へ行ったのに、ぶらぶらしていてもねまちのごはんやミルクが気になって仕方がない。洋服はしばらく買っていないし毎朝のメイクも雑になった。それでも「ひびのこづえ展」のすごさは忘れずにいたい。

急に思い立って都市農業公園を目指して走ったある日。隅田川と荒川がくっつきそうなほど近い。ラジオの交通情報でよく耳にする扇大橋から河川敷を見下ろして、この草むらを整備したら死体が最低2つは出てきそうだなと思い、そういえばとその近くに住む友だちにメッセージを送った。
お目当ての公園は都内とは思えないほど静かでのどか。田舎にいる気分になりしばらく園内を見てまわったが、あなたがくぐったあの橋は都内屈指の心霊スポットだよと先ほどメッセージを送った友だちから言われたのが気になり早々にさようなら。行きに通った河川敷ではなく整備された堤防の上の五色桜の道を走った。霊感は皆無だが例の橋の下は見ないようにして扇大橋にたどり着いたときはホッとした。
暗くなり始めた街なかを走り買い物をすませて帰宅すると、ねまちが熱烈に迎えてくれた。ねまちにも霊感がないことがわかった。

2021年9月26日日曜日

同じ名前

ぐずぐず走りに出たある日、おじさんの顔の看板が目を引くパン屋さんがあった。

普段パンは食べないのだけれど、なぜか気になって引き返した。まちのパン屋さんといった風情だが中を覗くと意外にも大人のパンが多く見受けられる。先ほどまで外で待つお客さんもいたが運良く空いていたのでイン。あんパンが人気のようだけれど売り切れたとみて見当たらない。
さんざん悩んで酒のアテにぴったりなパンを3つ選んだが、どれも見た目以上に美味しくて止まらなかった。

別の日、やはりいやいや走りに出かけて見つけたお蕎麦屋さん。

ちょうどお昼時だったのでまだビタイチ走っていなかったが迷わずイン。座って食べるソバは天せいろと決めている。お蕎麦も天ぷらも昨日耳鼻科に行ったおかげもありとても美味しくてうっとり食べた。
愛読している「低み」に出てくる、美味しいものを食べたあとの自分のげっぷも好きだという人にまったく同意できなかったのに、この日ばかりは激しく同意。干潟のカニや野鳥を見て走りながら余韻を楽しんだ。

近所のお花屋さんも大好きなまちのパン屋さんも、このパン屋さんとお蕎麦屋さんと同じ名前。
うれしい偶然と、途中で手に入れた揚げたての厚揚げに浮かれて前のめりで走ったそのタイムがその日のベストタイムであった。