2021年4月26日月曜日

両国のさんぽ道

休日にしては早く起きたので、しばらく行っていなかったお店へ。
前夜は「ニューねこ正」で飲んだくれて、さらにおみやにしてもらったどじょうの唐揚げで家でも飲みあげてぺろんぺろんだったのでなにも食べたくなかったが無理やり胃を起こした。
そこは以前フンド氏が見つけた場所で、おかあさんひとりで切り盛りしているとても古いお店。丸いスツールには洗いざらしの綿の布カバーがかけられている。雑誌やテレビに出ていてもおかしくない味のあるよいお店だが、常連さんのために絶対にメディアには出ないと以前から言っている。
この日はやきそばサラダに決定。出来上がるまでどうぞ、と新聞を手渡されたがすぐに出来上がった。これよかったら、ときんぴらごぼうも付けてくれた。年寄りが多いからね、やわらかめなのよ、あたしも年寄りだけど硬い方が好きなんだ、とおかあさんは言ったが、ほどよい硬さであった。実は早朝から営業しており、ここのじゃないと、と納豆定食を毎朝食べにくるおじいちゃんがいると聞いて、次は朝来ますと頭を下げてごちそうさま。珍しい野球の番付表も見せてもらった。
食事がすんだらコーヒー。
コーヒー豆を買いに行くと必ずご夫婦とマラソン話になる。さっそく先日のトレランの話。
奥さまに、メロンのもらえるオンラインマラソンを教えてもらって、つめたいコーヒーを啜りながら今度は本屋さんへ。
最近だれかれ構わずに少年隊やニッキの話をするのだが、先日こちらでもべらべら話したら後日店主から関連本が入荷したとの連絡をもらって参上。
80年代のサブカル女子のための雑誌「MOGA」は、年代が違うからか田舎に住んでいたからか、サブカル好きだったのにまったく知らなかった。さらに以前ラジオで特集を聞いて読みたかった「Neverland Diner 二度と行けないあの店で」を発見。文庫本もこれは、というのが三冊も。これでゴールデンウィークの読みものはそろった。

こうして近所で一日油を売って歩く休日がなにより好きだ。

2021年4月25日日曜日

切り裂き魔、霧吹き魔、文脈魔

1年以上ぶりのライブに高鳴る胸をおさえて日比谷野外音楽堂へ。
この日はCreepy Nutsのオールナイトニッポンゼロの日本語ラップ紹介ライブ。Creepy NutsのイベントだけれどRHYMESTERの30周年Tシャツを着て、主催はニッポン放送だけれどTBSラジオのアトロクのサコッシュを提げてオラついて出かけた。
野音はかなり久しぶりで、緑のむせかえる匂いが気持ちよかった。
ライブはもう本当に、控えめに言っても最&高でマスクの中でシンガロング。それにしても、こんなに色気と凄味とかわいさのある大人って他にいるだろうかと改めてRHYMESTERに夢中になり、Creepy Nutsの「ONCE AGAIN」での文脈魔ぶりとそれに感激するRHYMESTERに胸がアツくなった。当然、終演後に配信チケットも購入して幼なじみとメッセージのやりとりをしながら夜中まで興奮。途中ビールを買いに出て、気付けば2時半を越えていた。
翌朝も起きるなり復習。何度観ても腰が砕けてじーんときた。海まで走りに出てからもずっと、あんなカッコいい大人に私もなりたい、否、少しだけ近付きたいと考えながらぼんやり。
帰宅後もまた復習し配信期限が終わった。
それにしてもさぁ、と昨晩何度も交わした言葉をまた幼なじみにぶつけたくなったがぐっと堪えてお弁当のおかずをもくもくとつくり続けた。誰が食べるんだこんな量。

2021年4月23日金曜日

どの酒場もどうか無事で

たまにはひとりでしんみり飲もうと、毎度おなじみの「ニューねこ正」。
そこでお久しぶりねの相撲友だちに再会して5月場所の展望を語り合い、美人女将から少年隊関連の貴重なBlu-rayを貸してもらい舞い上がって帰宅。美人女将から、お弁当箱忘れてるよ、とのメッセージが入ったので翌日もてくてく向かう。
「ニューねこ正」には2日連続どころか週6日行っても飽きない。飽きるどころか、あれも食べたかったこれも食べたかったと後悔する。それどころか同じものをまた食べたくて週に6日通ったこともあった。以前はひとり客というと断然男性客だったが、最近では女性のひとり酒もちらほら。おいしいものがたくさんあるのだから当然だ。
お弁当箱、洗っておこうかってうちのが言ってたんだけどさ、と美人女将が笑った。そんなそんな、と言いながら、もし持ち帰ったお弁当箱にここのごちそうが詰まっていたらうれしくてたまらないだろうなと想像してこっそり笑った。
あ、来ちゃったと美人女将がつぶやいたので入口を見ると、こちらもお久しぶりねの未亡人会会長であった。高齢で一人暮らしのため、近所に住むお子さんたちが出歩かないよう心配しているのだが隙を見ては「ニューねこ正」へ来ているらしい。会長は好事家であり、ある相撲部屋の後援会もやっている。よってまたこの夜も相撲話。
次の日は「おいてけ堀」へ登場。今日はひとりでしずしずと飲もうと思っていたら、隣に座った紳士とその隣のゴルチェおじさんがやけに盛り上がっており、いつの間にかその中へ入っていた。生まれも育ちも両国、御年84歳だというその紳士はあの老舗「ちゃんこ えびすこ」の隣で生まれたという。
はっきりとした江戸弁は聞いていてとても気持ちがよい。海釣りの話から陸釣りの話(いわゆるおネーちゃんの話)まで、こんな薄汚い中年をお嬢さんと呼んでくれて一杯ごちそうしてくだすった。今度私が釣った鯛の写真をお見せしましょうと約束してさようなら。
そういえばここのところ、ひとりで飲もうと思ってひとりで飲んでいなかった。人見知りだったはずなのになぁ、と最近お気に入りのスカートとPUNPEEの「ODD TAXI」を聴いてしんみり。それから幼なじみがドはまりしているNulbarichの「Be Alight feat.Mummy-D」を続けて聴く。なんていい曲なんだ、と無限ループで聴いて間に少年隊をはさんでまた聴いて、とちゃんぽんのようなことをしていたら酔いがまわった。

2021年4月21日水曜日

南房総花嫁街道トレイルラン

酔った勢いでエントリーした「南房総花嫁街道トレイルラン」は午前の部・午後の部どちらかを選ぶことができたが、なにしろ酔った勢いだったのでダブルエントリー。14㎞×2で合計28㎞。
花嫁街道なんてかわいらしい名前!標高200mだというし、花嫁さんを迎えに行くのだからきっとピクニック気分で行けるコースなのだろうとタカをくくっていてトレランということを忘れていた。

前日泊まった民宿の女将さんが、あそこはハイキングに行くところよ、へぇえ、走るの、と言っていたとおり、ハイキングを楽しむ人たちと何度もすれ違った。

最初は花婿街道でほうほうのてい、時折見える海に感激しているうちにいつの間にか花嫁街道へ。
こんな険しい道を通らなければいけないのなら実家に帰らせてもらいますと花嫁が逃げ出そうにも、引き返すのも大変だなぁと考えながら時折コースを間違えたりしつつ走る。
ランナー同士はもちろん地元のお年寄りやスタッフたちが気持ちよく応援してくれて、カメラマンまでもが励ましてくれてつい笑ってしまう。彼らもこの山を登ってきたのだ。うぐいすの声とつつじの花、藤の花が目を楽しませてくれて、なんとか午前午後ともに完走。
前夜の民宿の女将さんも、そこで出会ったトレイルランナーさんも、午後の部で、あんたまた走るの、と声を上げた沿道のおばさんも、千葉のマッターホルンの話をしてくれたおじさんも、丸太橋を渡るのを助けてくれたスタッフも、みんなやさしくて愉しかったなぁ。初めての磯そばも民宿のムツの煮つけも、友だちがくれた大福も落花生のソフトクリームもちゃんぽんもおいしかったなぁ。

当日待ち合わせた友だちのクルマがオープンカーで、まぶしく輝く午後の海を存分に見ながら快適に帰路についたが、あれからまだ筋肉痛がおさまらない。
そして体重はビタイチ減っていなかった。

2021年4月16日金曜日

ほめられて・再び

通常以上にダメな1日を終えて「おいてけ堀」へ飛び込んだ夜。
今日はなくてもよい1日だったなと落ち込みつつも酒を飲んでひとごこち。すると憧れの大ママがカウンターに出てきて突然、髪の形がいいわねとにっこりひとこと。いつも厨房にいるのを遠目に見てすてきだなと思っていた大ママが!
ダメな1日がこのひとこと(そもそもこの髪型をつくった『サロン・ド・こけし』のマダムがほめられるべきことなのだけれど)で、最近撮った写真がマンホールのふたばかりで我ながらしけた生活をしているなと思っていたのが急に悪くないと思えた。
トレランの大会が迫っているのにまったく練習していないことに焦り、雨の中干潟へ向かって走り出した休日。この日もマンホールのふたばかり気にして走る。
広い広い市川市からようやく船橋市に入ったことに気付いたが、やんでいた雨がまた降り出し酒場の開店時間が近づいていることに焦って、干潟まであと2㎞のところでグッバイ船橋。
トレランどころか大会自体が久しぶりなのにこんなに練習していなくて大丈夫なのか、と思うが、大会よりも前日泊まる民宿が楽しみでたまらない。しかも初めてひとりで民宿へ泊るのだ。
生ものを大会前夜に食べるのはご法度だが、海のまちへ行くのに食べないテはない。

2021年4月9日金曜日

ほめられて

念願の海のまちへ出かけた、特別な日。
海以外なにもないので、特別な日に行こうと思っていたのだ。

のんびり砂浜を歩いてたまに水平線や遠くの島をながめ、好みの貝殻を探して歩き、ちょうどよい丸太を見つけて腰かけた。日陰で本を読みながらうとうとしたら気持ちよさそうな日。そう思ってこの日のお供に選んだ山口瞳「湖沼学入門」をバッグの上から撫でた。
山に囲まれて育ったから海があるだけでうれしい。

海のまちだけれど、行くのは喫茶店。
春になると登場するここのいちごケーキは自分にとって季節の風物詩であり、甘いものは苦手で、などと言っていられない特別なもの。
ここでしか見たことのない大きなまな板の上で注文の入ったサンドイッチを見事な手さばきで仕上げていくこわもてマスターがよく見える席でじっとその手つきを見る。いちごケーキはいちごがおいしくて、コーヒーをおかわりしてじっくり味わった。
薄暗くてコーヒー豆の香りが木の壁や床にしみこんだ古いお店。ここのブレンドは自宅で飲んでもこのお店の匂いがする。

予定も目的もなくいちごケーキでおなかもふくれて、むかし一度だけ行った森の中の雑貨屋さんがまちなかに越してきたことを思い出して向かう。まちなかといえど3㎞近く離れてはいるが、路上で売る花や野菜をながめたり年季の入ったビルで古書を売っているのを発見したり早くも田んぼに水が張ってありもうつゆ草が咲いていることに驚いたりしているうちに到着。制服姿の女の子とその両親が店主と話しており、店主は入学祝ですとなにかを手渡していた。
小さなそのお店をあちこち見て回っていると、鮮やかな金髪の店主からいい髪色ですね、と言われた。髪をきれいにしてもらっても酒場しか行かない身としてはうれしい。来てよかった。

パン屋さんでフンド氏へのおみやげにホットドックを買って一服しているといつの間にか隣にきれいな顔立ちのおばあさんがにこにこ立っていた。あなた、その赤いスニーカー似合ってるわね、と唐突に言われて、えへへ、ありがとうございますと答えた。新しい靴を履いても酒場しか行かない身としてはうれしい。

ほめられたからではないけれど、やっぱりこのまちが好きだなぁ。
愉しかった、いい一日だったな、とマスクの中でつぶやいた。

2021年4月5日月曜日

夜のラーメン

自堕落な毎日を改めようとつぶやいた舌の根も乾かぬうちに飲んで飲んで飲まれて飲んだこの週末、エリートランナーたちとの皇居ランでどうにか酒が抜けた。
先日サブ3を達成した別のエリートランナーも途中合流して、なんとか皇居4周を走り終えたらやっぱりお疲れビール。これは2日連続の迎え酒ではないかとの思いがちらっと頭をかすめたが飲んでしまえば結局元気になるのだからしょうがない。

金曜の夜は、そのラン仲間の奥さまたちと初の女子会ではしご酒。翌朝まだ酒の残る頭を支えながら洗濯ものを干していると、前日着ていた洋服からうどんが一本出てきた。また夜中になにか食べやがったな自分、と落ち込む。
意識がモウロウとしたまま「サロン・ド・こけし」へ。
ニッキのことを話し始めたら止まらなくなる。むくんだ顔とスポンジのような脳、そしてぼろぼろの内臓でもヘアだけは素敵に仕上げてもらってうれしくなり、ふらふら散歩しながら約束の飲み会へ。この日は「おいてけ堀」で仲良くなった仲間うちの女性のみの秘密の飲み会。
迎え酒だな、とうなだれて酒を啜っているうちに元気になってきた。とはいえ連日のはしご酒はやりすぎた。それでその翌朝の皇居LSDなのだった。
さすがに胃腸に力が入らず、なのに走り始めたら楽しくなって4周。当然のようにランチビールから始まって軽くはしご酒。エリートランナーたちはあまり食べずによく飲む。20km走って酒が抜けたのをいいことに調子づいて私も飲む。楽しく飲んで帰宅しバタッと昼寝していると何かお腹に入れたくなってきた。
こんなときはサッポロ一番塩ラーメンよ、とていねいにつくって啜ると、何度も読んでいる小説の「夜のラーメン」の章を思い出した。シチュエーションは違えど、しみじみよいものだなぁとつるつる食べた。

2021年4月2日金曜日

How's it going?

夜が更けてから唐突に、お弁当のおかずをつくり始めた。
料理は絵を描いたりものをつくることに似ているから楽しい。あれとこれを組み合わせたらどうなるか考えたり、これはちがうと思ったら方向転換したり。この晩は想像だけでつくった麻婆豆腐のようなものがうまくできた。
「ぺろりレストラン」のこわもてシェフに教えてあげようかしらん。

しばし没頭していると、楽しみにしていた志村けんのテレビの時間。
舞台を観に行ったときにけんちゃんが出てきただけでうれし涙と笑いが止まらなくなったのと、テレビにけんちゃんの顔が出ただけで笑っちゃうのは、けんちゃんからにじみ出る悲しみのようなものからだったのだなぁと今さらながら納得。でもひとみばあさんが出てくるとやっぱり笑っちゃう。かわいいんだもの。
好きなものがひとつあればいいんだよ、の最後の言葉がたまらなかった。

先日のトークイベントでの宇多さんといい、考えさせられることが最近ぽつぽつ出てきた。
フンド氏が遠くへ引っ越してからそろそろ6年、また引っ越しもしたくなってきた。
iPodではなく新しく買ったCDラジオで夜音楽を聴いたり、かと思えば徒歩通勤の際に久しぶりにラジオでなくiPodで音楽を聴いたりしているうちに、このぼんやりした自堕落な生活を少し変えたくなってきた。とはいえ、酒場にはいきますけどね。