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2019年10月31日木曜日

秋の気配が消えた夜

うすうす気づいてはいたけれど、もしかして、もしかしたら、秋かもよ。
だるま:またなんか言い出した

少し前からそうなんじゃないかって思ってたのだけど、やっぱり、秋みたい。
青いかに:もしかして・・・

口に出すと本当になるから言わないでいたけれど、カラダがもう秋だとわかってしまった。
だるまちゃん:出た、熱しにくく醒めやすいやつ。

こないだもいつものあれをサボってしまった。
ぶた:めずらしい。あれだけは欠かさず行っていたのにね。

夜をサボっても朝があるさ、と天気も確認して意気込んで帰ったのに。
肉バッグ:朝もサボるんじゃないの、とうすうす気づいていたくせに。


早朝に下見したい場所があるから、それも兼ねてあれをしようと思っていた。
やる気まんまんだった。
なのに、夜あれをさぼった時点で飲み仲間に連絡しており、さらにその日は振られたというのに、のこのこ赤ちょうちんを目指した。
めずらしくお客さんの少ない「ニューねこ正」で本を開く。そういえばこんな時間を最近すごしていなかった。
禁断の熱燗に手を伸ばして、明日は早起きするから熱燗は1本にしておこう、と熱い酒を啜った。

静かだった店内も気付けばほぼ埋まっており、また引き戸を開ける音がした。
あら、今夜はいらっしゃると思ってたわ、と女将が声をかけると、そうですか、と笑う声。どの常連さんかな、と思いながら大事に酒を啜っていると、こんばんは、と隣に座ったのは、たまにここで会って話すスリムランナー。

彼は相当エリートなランナーのはずだが、愉しむために走っているところがいい。
なんだかもうイヤになっちゃって、と打ち明けると少し黙って、島とかどうですか、と唐突に言う。島でハーフとか楽しいですよ、参加賞で泡盛なんかもらえるし、フェリーで移動するのも面白いですよ、との言葉に一気に引き込まれた。
結局熱燗はもう1本追加して、気持ちは既に島へ飛んでいた。
ざるそば:なんて単純なんだろう・・・