お気に入りの場所には、連日でも行きたいもの。
それが、おいしいものを出してくれる感じのよい飲み屋さんなら、なおさらである。
かつて、5日連続通ったのが「ニューねこ正」。
それでも飽きずに、定休日をはさんだ翌日にまたのれんをくぐったものだ。
同じひとでも、同じお料理でも、まったく同じということはないのだから、おもしろい。
先日、ついに2日連続登場してしまったのが「おいてけ堀」。
こちらは「ニューねこ正」とはまた違って、お客さん同士がほぼ顔見知り。
たまに友だちを連れていっても、ものの数分でなじんでしまう。
毎朝橋の上ですれちがうおじさまが、マスターのいう「TVの見えない最低の席」をあたためていて「このひと、毎朝すれ違うよ」と私を指さして、なぜかマスターに言う。
ジャン=ポール=ゴルチェに似たこのおじさまが、女性を泣かせていたのを以前目撃したことがある。さすがゴルチェ、やるなぁ、と不謹慎なことを思ったものだ。
(正確には、気付いたら女性が泣きながら席を立ってしまった、という状況であった)
幸いほかにお客さんもいなかったのでもっと話したかったが、そのときTVでは大相撲九州場所を中継しており、ついそちらに釘付けになってしまった。
熱しにくく冷めやすいな、と不名誉な言葉を頂戴したことのある私でも、好きな本は何度も読む。先日のがっかり映画とちがって、昔から好きだった本は、何年かたって再び読んでも新しい発見がある。
お風呂で読む本と眠る前に読む本、長時間乗りものに乗るときに読む本、気持ちが不安定なときに読む本、「両国図書館」には、すべてそろっているから、ありがたい。
くりかえし行くお店と、くりかえし読む本、そしてくりかえし聴く音楽。
変わらないこれらのものをつくるのは、どれだけ辛抱が必要なのだろう。
変わらないけれど進化している大人たちの、30周年の集大成ともいえる展示を観に行って、しみじみ思ったことである。