連日の飲酒に疲れたある日。
誰とも話したくないけれど、散らかった家に帰るのもいやで
「ぺろりレストラン」へ。
むかしから変わらない、落ち着く店内でカウンターのはしっこに腰かける。
健康診断やマラソン大会が迫っており
アルコールはもちろん、食もひかえめにするべきなのだが
(そうでなくても年齢的に・・・)
軽くワインなど飲んでいるうちに、気分がのってきた。
ずっと欲しかった本を入手したので
それをていねいにめくりながら、ワインを啜る。
しばらくして本から顔をあげると
後ろのテーブルの、愉しげな声が聞こえた。
「ハセガワさんだよ、それは」
「そうそう、ハセガワさん、ハセガワさん」
「あの黒にんにくだって、ハセガワさんだったよ」
このお店でも「ハセガワさん」の噂をしているひとたちが!
しかし黒にんにくについては、身に覚えがない。
本を閉じて、耳をすましたが
それ以降「ハセガワさん」の話は出てこなかった。
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