2019年10月4日金曜日

転んでもタダでは起きない

遅刻魔の友人を一時間ほど待つことになり、どうしたものかとあまり知らない街を歩いていると、数ある中でも特に魅力的な赤ちょうちんのひとつの前で足が止まった。
遅刻魔の友人は下戸だし、軽く飲もうかな、と店内を覗くとそこは立ち飲みのお店で、にぎやかだけれどうるさくなく、店内のおじさん客は仲よしで楽しそうだし、さっと飲むにはよさそうだ。
せわしく働くお姉さまは一見の私にもとても親切で居心地もまずまず。さて飲みものをなににしようか、と店内の短冊を見まわして驚愕。とにかく安価だ。増税後の令和のご時世に、本物のせんべろのお店が実在していたなんて。中島らもの時代にせんべろは無くなったと思っていた。
ただし定食にビールなんてのはせんべろとして認めない。ビール1杯でべろべろになるかっての。などと興奮しながら3杯めのホッピーに口をつける。
隣りのテーブルの紳士はこのお店の顔らしく、はい差し入れ、と近くの顔見知りのおじさんにアジフライの皿を渡していた。
最後のしいたけをくわえてホッピーを飲み干したらいい時間。遅刻魔の友人をほろ酔いで迎えると、顔赤いねと言われた。

ただし
もともとこの日行こうと約束していたお店の料理が、おいしいのに苦しくて入らなかったのが誤算であった。

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