2022年5月10日火曜日

長い10連休の長い日記

暇だ暇だとあちこちで訴えたおかげで連日違う友だちと会って遊んだ10連休初日は中野純さんの「闇で味わう日本文学」出版記念ヤミツキトーク+闇歩きツアーに参加してどしゃ降りの夜の平井の街を知らない人たちと歩いた。
先日読み終えた「東京サイハテ観光」がおもしろかったのでその勢いで申し込んだのだけれど、初めて知った「暗順応」の言葉とその過程を味わったこと、家にあるもので作る行灯、夜だからこそ見えるなんでもない建物の壁に映る影、もう富士山は見えない富士塚、狭い狭い路地を抜けて出た京葉道路、そしてどしゃ降りの河川敷の大きな水たまりなど、雨と寒さに震えながら歩いたのは楽しかった。途中、風で傘が壊れた方が続出。冷たい雨と風の中、素足にサンダルやスカートにパンプスで泥だらけのご婦人など、なぜこんな荒行をしているのか誰も疑問に思わず必死で中野さんに付いていった。
闇歩きツアーの終盤の公園で、すぐそこのビル(明かりもなく真っ暗)で警察の手入れがあって外国人が一斉に摘発されたのを父が目撃したんです、これもまた闇ですね、と主催者の方がぽつりと話したのがなんともいいサゲになった。

翌日は友だちと大福山というかわいい名前の山を走った。途中寄り道した出世観音への坂道が経験したことのないほど急勾配で今思い出しても胸がきゅっとなる。山つつじと八重桜がきれいだった。
表示がいろいろ間違っていたらしい展望台でうぐいすの声を聞きながらしばしのんびりして、復路は沢伝いに下る。前日の大雨にも関わらず澄んだ小川と森の中を進むと、抜きつ抜かれつだったご夫婦からヒルに気を付けてと言われて縮み上がった。むかしむかしこの辺りを歩いていて、フンド氏の靴下の色が薄いグレーだったはずなのに片方だけ黒いことに気付いて確認するとヒルに噛まれて血まみれになっていて震え上がったことを思い出した。幸い今回は遭遇しなかったが、何度か沢に落ちてイノシシらしき足跡を発見した。走り終えて駅に戻るとなんとも好みの食堂が営業しており、迷わずそこで山菜そばを注文。フキの香りがとてもよかった。
お天気が最高によくて、連れていってもらった温泉では露天風呂でだらしなくずっと伸びており、山の中のかき氷屋さんでは地元・千葉の甘夏のかき氷で歯が冷たくなったのに追加でまたかき氷を頼んだ友だちに触発されてソフトクリームを続けて食べてしまった。食後に滝を見に行くと以前フンド氏がヒルに噛まれた現場辺りのはずが整備されていて面影もなし。ここでは毛虫に遭ってしまった。

その翌日は友だち夫婦と美術館へ。以前、銚子さんまマラソンの後に友だちのご主人の運転で連れていってもらった谷あいにある松山庭園美術館。ひとりで行くつもりだったがわざわざ送り迎えをしてくれた上にクーラーボックスを指差して、よかったら開けてと言われた。たしかさんまマラソンの後も同じことを言われて遠慮なく冷えたビールをいただいたがこの時はまだ朝の8時。さすがに朝からビールは飲めませんよ、と言うと、いやいやそれほどの人だと思ってますからとご主人。いったいどれだけの酒飲みだと思われているのか。
途中少し迷ったおかげで成田空港に入ったのも愉しく、山を上ったり下ったりして懐かしい美術館に到着。以前は紅葉の時期でどこもかしこも真っ赤なもみじでいっぱいだったがこの時期は目が覚めるような緑。春もいいねとゆっくり門をくぐった。
送られてきたハガキの写真が気になっていたのだが実際の作品はずっとおもしろくて広いお屋敷のような美術館をゆっくり見て回り、コーヒーをいただいているとねこたちがやって来た。さらにどこからともなくやってきた男性。見たことのある方だと思ったらここを作った張本人であった。いつもは作品を見るだけで質問などできないのに、この日は夫婦に背中を押されて声をかけたが、感動したことの1/3も伝えられず。
それから行ってみたかった甘味処で地元民のソウルフードだというじまん焼きを食べ、道の駅で玉子巻のお寿司やはちく(細いたけのこ)などを血眼になってかごに入れ、植木のまちというだけありたくさんある木や花をゆっくり眺めて歩いていると道の駅なのに獣が出るとの看板に一同震えつつ今度は九十九里の海に連れていってもらって寒さに震えた。帰りの車内は、五月場所の展望と沖縄出身のこの友だちとご主人のなれそめを聞いていたらあっという間であった。仲のよい、本当に大好きな夫婦。家の前まで送ってもらい、飲めなかったビールまで全部もらってさようなら。

そのまた翌日は友だちと夜の皇居ラン。ゲリラ豪雨のような土砂降りでランステの顔なじみのスタッフさんから心配されたほどだったのに皇居に向かう道すがら、ほら見てと言われて空を見たら青空。なんという晴れ男。故障中だけれど少し走りたいという友だちのペースは今の自分にぴったりであった。それから予約してもらったジンギスカンのお店で肉を食べては感動。不安になるほど見た目がチャラかった店員さんがとても親切でまた感動。酒は控えめにしておいた。

翌日、お休みに入ったはずの「ニューねこ正」の大将から電話があり、わざわざ新玉ねぎを届けてもらう。先日この新玉ねぎの産地の九十九里に行った話をして、たくさんの新玉ねぎといわしのごましょうが和えにしょうがの甘酢漬けまでもらった。
午後から走りに出るも全行程を徒歩。まったく汗もかかず疲れてもいなかったが銭湯へイン。手作りのアロマスプレーの香りが好きなここのサウナに入りたくて。丁寧に「整う」方法を書いてくれていたのでそれに従って3度ほど水風呂と往復、これが「整う」ことなのかと納得、すっきりして帰宅。九十九里のおいしいものをつまみに、やはり九十九里の落花生の焼酎。

そのまた翌日は、この連休で必ず行きたかった館山へ久しぶりに出かけた。
とはいえ目当ては海以外に何もなく、電車でゆっくり行こうと菜の花弁当をつつきながらうとうとしているうちに到着。海が見える瞬間を見逃してしまった。なんとなく海と反対方向へ歩いていくと小さな看板に、矢印となにやら気になる文言が。矢印に従って進むと、パッチワークのような建物。思い切って中に入ると古道具屋さんのようで、友だちの使っていたボトルと同じようなものがあったのでそれを取り上げるととても重かった。ごめんなさい、それ私の私物なんですとお店の方に言われて大笑い。ここは手作りでつくったスペースでこの日はたまたま古道具を売っているとのことで、ここをつくったお兄さんも交えてしばしお喋りしていると、これからどちらへ?と訊かれたので海以外に特に考えていないんですと応えると、おいしいレストランがありますよとのこと。ここを出てすぐ目の前なんですけど、ランチは団扇アジのフライがおすすめだけど大きすぎるかなぁ、オムライスもおいしいですよと教えてもらって頭が完全にオムライスになった。お礼を言って早速そのお店へ。まだお腹は空いていなかったがこういう話には乗るに限るのだ。地元の方々に勧められただけあってとても感じのよい店主とアルバイトさん、そして最高においしいサラダにオムライスであった。それからようやく海岸へ出てぶらぶら。駅前で見たジャズフェスのポスターを思い出して城山公園に向かった。
何度も来た館山だけれど普通の住宅街を歩くのは初めてで楽しく、他所さまの家の庭の花を眺めているうちにあっという間に到着。しばらく演奏を聴いて今度は昔山奥にあった雑貨屋さんへ向かって歩き出した。途中大行列のおみやげ屋さんを冷やかしながらようやく到着。いい香りのせっけんを手に入れた。またぶらぶら歩いて海を見て、トライアスロンの練習をしている子どもたちを見てさようなら。

そのまた翌日は西新井駅のホームのラーメン屋さんにまた行きたくて仕方なく、走る格好で家を出るもなぜか電車に乗ってしまった。お目当てのワンタンメンを堪能していたら隣に来た人が注文したカレーラーメンが気になって凝視。次回はこれにしよう、とひとまず改札を出て西新井大師へ。露店が楽しくて三周もして、さて帰りますかと出発したがやはり走る気がせずウォーキング。今後はウォーキングに転向しようかと考えながら少しも走らずに帰宅。

そのまた翌日はLSDのお誘いを断ってコーチ主催のリレーランの応援とBBQのためだけに初めての和光市へ。もうランなどできる気がしない。
晴れ男のコーチのおかげで雨の予報が外れてとてもいいお天気の中リレーランは終わりBBQ。コーチが前日から用意してくれて肉のプロが来てくれただけあって何の手伝いも出来ず。子どもの頃からそういうところがある。帰り道、友だちがかしわ餅を買ってくれてみんなで食べながら駅へ向かうとコーチが待っていて二次会へ。久しぶりにジャックダニエルのソーダ割りをおいしくいただいた。酒は控えめにしたので失態はなし。

連休最終日は友だち夫婦と原宿で待ち合わせ。
以前はいつも疲れていた友だちのテンションが高く、つられて声を張り上げて喋りながら歩く。青山や表参道にいながらなぜ野菜や食べ物ばかり買ってしまうのか、それはね、私が食べるために生きてるからだよ、と強引なパンチラインをかまされて納得。それでも当初の目的の傘も見つかった。流れで池袋まで移動して更に食べ物は増えていく。連休最終日に会えてよかったねとご主人に言われて本当にそう思いありがたかった。

充実の10連休の充電はまだ切れそうにない。
よく言うわ!

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