2022年12月31日土曜日

よいお年を

今年最後の、という言葉がなんとも好きだ。今年最初の、よりしみじみよいものだ。
銀座で待ち合わせていた友だち夫婦と会う前に人形町をぶらぶら、今年最後のスタンドそばはここかなと、この日最初の食事はお気に入りのそば。揚げたての紅生姜天が美味しかった。
それから築地でもみくちゃにされて銀座をぶらぶら。over the sunの本はどこも売り切れていた。
友だち夫婦と会って日本一美味しいハイボールを飲んで、楽しみにしていたおせちを受け取ってさようなら。年が明けて労働の始まる前日にも会う予定だから気持ちが明るい。
帰りもぶらぶら歩いてまた人形町を覗いて、築地では売っていなかった普通のお刺身を買って帰宅。もう出掛けたくはなかったけれど、追加のワインとお風呂のために心を鬼にして家を出た。
昨日も行った銭湯はさほど混んでいなくて、サウナと東京の山吹のお風呂を楽しんで、いつものドリンクを一息に飲んでさようなら。今年最後のよいお年を、は番台さんから。北島三郎の「まつり」を聴きながら本当の帰宅。
大晦日の晩酌は一昨日買った厚揚げと友だちお手製のおいなりさんなどを幼なじみの送ってくれた「夜明け前」のにごり酒で。
今年もねまちと静かに過ごす大晦日。なんでもない月末だけれど、特別な一日。なんでもない日ほどありがたいものはないとわかったのは年を重ねたからだ。
ばあさんどうしになるまで、よろしくね。

2022年12月30日金曜日

怒濤の師走

労働納めは慌ただしく、飲み会にも行く気になれずにおとなしく帰宅。
冷蔵庫のしなびた野菜でおつまみをつくってひと息ついたら飲み友だちから電話がきてしばし喋る。電話を切ってふと画面を見たら何件かメッセージが来ていた。どれも衝撃的なもので、しばらく返事を返せずに酒を飲んだ。
どんな場合も、お別れはつらい。

連休1日めはいつもよりていねいに掃除をしたので大掃除をしたことにして満足、買い物に出掛けると友だちからお酒をくれるとの連絡があり、いつものようにあれこれ喋りながら歩いて喋り納め。よいお年を、というあいさつは少しさみしくて、でもしみじみよいものだ。
お豆腐屋さんでどっさり買いものをしてフンド氏の父上が行きつけだった「おいてけ堀」へ。

後からお豆腐屋さんがやってきてまたおもしろい話を聞かせてもらった。大晦日は余ったお豆腐やがんもなどを、やはり商売をしている親類などと交換してごちそうにするとのこと。おせち料理などというかしこまったものはつくらず、交換したお肉やハム、魚を料理して、手打ちうどんで大晦日。昔からそうなのだという。
フンド氏の父上もこんな風にご近所さんと話しながら一杯やって晩ごはんを呼びにくる少年フンド氏を待っていたのかな。
年末年始のために買ったワイン、もうないわよ!

2022年12月20日火曜日

いってきます

この季節になると近所のお寺の玄関先に、ご自由にお持ちくださいとの貼り紙とともに花梨が置かれている。
食用ではなく香りを楽しむもので、ひとつ頂戴して靴箱に置いた。
朝は忙しい。
忙しいのにねまちとの儀式があり、それを終えるとふっと香る。

心配ごとのない朝は、仕込みをするお店の匂いに敏感になる。ご飯の炊ける匂いと野菜を炒める匂いが澄んだ冬の空気に乗ってやってくる。

そういえば、そろそろクリスマス。
今年のイブはマザー牧場でトレイルランだ。昨年はうっかり1日間違えて無念の不参加だったが今年こそは。
なに、この子!

2022年12月19日月曜日

うさぎと冬の贈りもの展とスカジャン展

甘夏書店さんで開催中の「うさぎと冬の贈りもの展」に年賀状を納品しに出かけた冬のある日。
既に展示していただいているうさぎの手ぬぐいとともに冬のマッチと年賀状も展示していただいた。
春夏秋冬のうさぎの手ぬぐい。うさぎと聞いて浮かぶ姿を手ぬぐいにしました。うさぎといえばまつ毛なのです。
そして年賀状。

行司さんの軍配に控えめに「謹賀新年」。

懸賞旗に宛名を書く。
なんだか控えめすぎる年賀状になってしまった。

甘夏さんにおもしろそうな本や来年行きたい場所などをたくさん紹介してもらって、次は市川のギャラリーへ。小ぢんまりとしたギャラリーでたくさんの素敵な作品に出逢った。スタッフさんのおばあちゃまが、毎朝コーヒーとパンとヨーグルトを食べたのちに作っているいう美人さんが本当に素敵。

その翌日は落ち着いたら行こうと思っていた展覧会のひとつ、スカジャン展へ。
若い頃から欲しくてたまらなかったスカジャン。
でも気に入ったものはお値段がなかなかだし安いものは物足りないしでせめて展示を見たかった。
圧巻だったヴィンテージの数々もよかったし、当時の軍人たちが見えないおしゃれとしてカフスやセーラーに隠れた部分に刺繍してもらった制服がとてもよかった。家族へのおみやげに刺繍してもらったクッションカバーやテーブルクロスも素敵で、しばし往時の横須賀にいる気分になった。
横須賀美術館は海が目の前にあって気持ちがよく、その海を横目にバスに揺られてどぶ板へ。
売りものではないけれど、かわいいスカジャンも発見。
なのにあちこち調子が悪くて、かあさんかわいそう。

2022年12月1日木曜日

季節はずれの「微笑み返し」と「うさぎと冬の贈り物展」

労働に疲れはてた冬の帰り道、お惣菜屋さんを覗くと、あじフライとエビフライと豆腐のフライがひとつずつ残っていた。ありがたや、とそれらを包んでもらっていると、どこからかキャンディーズの「微笑み返し」。冷たい夜の空気になぜかぴったり合っていてしばし耳を澄ましていたら、お惣菜屋さんが10円おまけしてくれた。ささいなことでひとつ疲れが消えた。

別の日、やはりどうにも疲れて帰宅し晩酌していると、帰り道の公園で買った小松菜と香菜が気にかかった。本当はやらねばならないことがあるけれど、小松菜と香菜をどうにかしたくて久しぶりに料理を始めた。やらねばならないことがあるのに小松菜に合わせる油揚げはちゃっかり買って帰っていた。ついでに水菜もどうにかしようとあれこれつくったら楽しくなった。ささいなことで疲れはごまかすことができるが、やらねばならないことが進むわけではない。

12月になってしまった。
来週末から甘夏書店さんで始まる「うさぎと冬の贈り物展」に参加するつもりでグリーティングカードをつくるとお伝えしたけれど、頭の中で一転二転三転して実際はなにも進んでいない。はたして何ができるのか。かあさん、もう寝たら?
わたしはできるって言い聞かせて寝たらいいわよ。湯たんぽは忘れないでよね。

2022年11月16日水曜日

傘の職人さん

朝目覚めて、今日はさぼるぞと決心した。
ずっと行きたかった傘屋さんへ傘の修理に行こう。

いつもよりすばやく準備して家を飛び出し、電車に乗って下り立った駅には、以前から気になっていたお蕎麦屋さん。迷わず飛び込んで食べた紅しょうが天そばはとてもおいしくて、お天気がよくて駅前の花屋さんの花がきれいで、ああ今日という日はさぼるためにあったんだと確信。

お目当ての傘屋さんに到着して、しばし外からディスプレイされた傘を眺めてからこんにちは。ほどなくして出てこられたおじさんは職人然とした方で話していてなつかしくなった。
この傘屋さんはフンド氏と長く付き合いのあった、数年前に急逝された方の傘の師匠と聞いていた。思い切ってそれを伝えると、なんだ親戚みたいなもんじゃねえか、と少しくだけた口調になった。
修理してほしい傘は、以前私が柄を描いたもの。

骨が1本ぶらぶらになってしまって町の修理屋さんではお手上げだったと伝えると、これはうちにしかできねえよ、とおじさん。上がってテレビでも見てなよと声をかけられたが、こんなお宝ばかりのところはそうそう見ることができないのでずっとお店を見ていた。
作業自体は15分もあれば終わるとのことだったが、傘の生地に合う骨や持ち手、石突きがなかなか見つからず、膨大なパーツの数々と骨の微妙な違い(骨を見ただけでどこで作られたかわかるのだ!)に驚き、試作したという見たことのない日傘に驚き、気づけば何時間か経っていた。その間飽かずにずっと傘を見ていて11月も半ばだというのに日傘を3本も買った。包装紙まで素敵で、おじさんお手製の傘袋もなんともよかった。

浮かれて通りに出るとバスがやってきたので飛び乗った。行先は西新井駅。
お詣りでもしようかと西新井大師前で下車して参道を歩くと、平日なのにまずまずの人込み。池の鯉や萩の花を見てぶらぶらしていると、あと数十分後にここでテレビの生中継があるとのポスターを発見。
さぼって傘を3本背負って西新井大師をうろうろしている姿がテレビに映ってはいけないので早々に引き上げて西新井駅へ。西新井駅へ行くからには駅のホームのラーメンを食べなければなるまい。なるまい、というよりそれがお目当て。
汗ばむほどの陽気の中を歩いて駅のホームでいつものワンタンメンを食べて、今度は修理が終わった大切なバッグを取りに行き、コーヒー屋さんで数年ぶりにマラソン大会に出場する店主を励まして帰宅。
でも休日はこれで終わりではなく、この夜は翌日に控えたRHYMESTERのライブのために幼なじみとその恋人とで痛飲したのであった。
帰りに寄った酒屋さんで酒を買わなかったからえらいわ!

2022年11月7日月曜日

秋のさんぽ道

妹のところでにぎやかに過ごした翌日、この日もお天気がよかったので走りに出た。

今が見頃のばらを見に向かう途中で東大の門をくぐって銀杏の葉の乾いた匂いを吸い込んだ。学生時代によその大学に忍び込んで学食を食べた記憶がよみがえった。何を食べたかは定かではないけれど。古くて立派な校舎もじきに取り壊されて新しい校舎に生まれ変わるようだ。弥生門を出て住宅街を抜けると魅力的な古書店に出会った。気になる本ばかりなのでお店に入ってあれこれ見ていると、そこは以前虎屋の方のトークイベントで来たお店であったことを思い出した。
掘出し物を見つけて坂を下り、ついでに根津神社で今月の花御札を入手。七五三の写真撮影をする親子を写真撮影する外国人たちがいて長閑だ。知らない道を走るのは楽しくて、あっという間に旧古河庭園に到着。
ばらを撮影する人たちの間をすり抜けてみずみずしい香りを嗅いでさようなら。
ばらのアイスのにおいがする!