2021年7月5日月曜日

あきらめのミキサーとフライパン

飲み友だちに誘われて、坂東玉三郎のお話と素踊りを観に行く。
自慢じゃないが歌舞伎には三度行って三度寝たほどのダメ人間だ。今回は大丈夫だろうかと不安だったが、満員御礼のホールに現れた玉さまは性別どころか人類を超えた圧倒的な存在感であった。明るいグレーのスーツをお召しになった玉さまはその佇まいからして美しく、ふと振り返った背中さえ儚げで、一挙手一投足を見逃すまいとガン見。それにしても「お話」とはなんぞやと疑問に思ったが、お話はお話なのであった。和やかに進むお話は、たまにハッとさせる強い目と言葉に釘付けになっているうちに終わった。
そのあとの早口言葉のようなラップのような地唄に驚いているうちに、衣裳などをつけずに紋服で踊る素踊りというものが始まった。微かでしなやかな動きに、こりゃ体幹がしっかりしていないとできないなと思った。(なんてつまらない感想!)
先ほど玉さまが仰っていた毎朝のルーティーンを真似ようと決意し、飲み友だちと「おいてけ堀」へ急いだ。

別の日、友だちとの待ち合わせ場所であるホームセンターに到着すると同時にスマホを忘れたことに気付いた。背に腹は変えられずタクシーで往復。運転手さんがいい人でよかった。友だちとは無事に会えて井戸端会議。生そうめんの話ばかりしていたのでお昼は徳島出身の友だちにもらった半田そうめんにした。

玉さまは小松菜と果物のスムージーを毎朝必ず飲むらしい。小松菜は好きだがスムージーよりは油揚げとの煮びたしの方が好きだなぁ、といくつもお店を回ったのにミキサーの購入は断念。ついでに大好きなピーマンの天ぷらをつくるため、ずいぶん前から探していた小さめのフライパンも、どうせ作らないなと気づいて断念。

2021年6月30日水曜日

お久しぶりね

いつも妙に汗だくになる頭をさっぱりしてもらって髪はもちろん、もやもやしていた気分まで言語化されてすっきりした日。
美容師さんて本当にありがたい。

緊急事態宣言解除後の酒場へごあいさつの日々。懐かしいお店とお客さんの顔を見ることができてしみじみうれしかった。いつも唐突にねこの動画を送ってくれる大将のお店にも顔を出した。さらに別の日には労働先の好きな人たちとも酒場で邂逅。そこはまだ2度めのお店なのに懐かしくて居心地がよくて帰り難かった。
はたまた別の日にはお久しぶりねのランの練習会に誘われて街ランに参加。いつ以来かわからないくらい久しぶりのラン友やコーチが懐かしくて、しかも労働先から近いのに知らなかったステキな場所へ連れていってもらって感激。眠っているヒミコ(遊覧船)といい控えめにライトを施している階段といい、これはデートというより逢い引きにぴったりだねとみんなで言い合う。
それから客船が接岸してロープを張り貨物を下ろすところ、タラップが降りて乗客が船に乗り込むところをひたすら見つめた。時刻表を見ていたらたまらなく島へ行きたくなった。
今年もまた、こっそり旅に出ようかな。

2021年6月26日土曜日

忘れた弁当

ようやっとやる気を出しておかずをたくさん作った次の朝。
いつものお弁当箱にあれこれ詰めて保冷剤も入れて準備万端だったのに、家を出てしばらくしてからお弁当を忘れたことに気付いた。
ああ、せっかくのお弁当が食べられないなんて、と落ち込みつつ労働へ向かった。
そうだ、あれは晩酌のアテにすればいいのではと思いついていそいそ帰宅、お弁当箱を前にして酒を飲むのは新鮮だったが、足りなくて余ったおかずまで食べる始末。そうか、やはり酒を飲むと食べる量が増えるのだなと改めて理解して反省。反省ついでにそうめんを食べてシメとした。

2021年6月25日金曜日

香りについて

学生の頃に夜遊びしていて出逢った香りが、香水に興味を持ったきっかけだった。
香水にはなんの知識もなくいろいろなお店を探して見つけ出したのが最初の香水だったが、香水というのはつけている人によって香りが変わるということを知らず、しばらくしてなんとなく違うかなと気付いた。次はデザイナー自身は好きだけれど洋服は似合わないしお高くてなかなか買えないブランドの香水一筋で20年、でも自分の好きなファッションと香りが合わない気がしてやめた。
すれ違う人の香りに振り向くことがある。これはあの頃のオードトワレだなと気分は急に30代へ。匂いの記憶は消えないというが、よみがえるのは匂いのみの記憶だけ。日々の飲酒で脳みそのシワがなくなったので仕方ない。
我が家のくちなしは日々新しい花を咲かせており、窓を開けると風に乗って香りが漂ってくる。
この季節だけは、お気に入りの寝る前のフレグランスは使わない。

2021年6月20日日曜日

「ニューねこ正」が帰ってくる

初めて降り立った青梅線 羽村駅から多摩川の取水堰まで移動して、羽田空港まで約53kmのLSDを経て羽根つき餃子で締める羽羽羽ランを終えて心身ともに弱った休日。
仲間と楽しく走るなどもはや無理なのかと痛むカラダをさすりながら近所のパトロールを開始すると「ニューねこ正」の灯りがついており目隠し布が取り払われていた。
中を覗こうとすると入り口のガラス戸を磨く大将と目が合った。
もしかして明日から、と訊ねると、どうなるかわかんないけど一応ね、と招き入れてくれた。上に女将もいるよと言うので2階へ上がらせてもらい、懐かしい美人女将と再会。コロナで肥っちゃったよと笑う美人女将はノーメイクでも美人であった。

いつまでこんな日々が続くのか、「ニューねこ正」にいつまでも行けなかったらどうしよう、と暗い気持ちになるのは決まって晩酌タイム。やる気の失せたお弁当作りも相まって最近では夜が来るのが憂鬱だった。大量の廃車が屋上にひしめいているのを上から眺める夢など、もはや夢占いでも調べようのない夢ばかり見て眠る楽しみさえ半減していた。
予約していた整体を受けながら、今日が最後の夜になるなら打ち上げをしようと心に決めた。
整体院を出ると、いつの間にか右腕を蚊に食われていた。くちなしは5つも咲いた。夏はすぐそこだ。

2021年6月12日土曜日

早起きは千本ノック

早起きして予約していた「イサム・ノグチ 発見への道」を観に出かけた休日。
上野駅の公園口がきれいに変身していたことに驚き、この日から再開の上野動物園に行列ができていたことに驚き、素晴らしい展示に見入った。
思えばフンド氏と観に行った現代美術館での彼の作品エナジーヴォイドに不思議なほど魅かれたことを忘れられなかったから行ったのだが、時間と場所と展示が変わるとまた違ったよさがあって弾む気持ちで外へ出たらすっかりまぶしい昼間になっていた。
別の日、ひとりLSDをしようと深大寺へ出発。暑くてくらくらしたがドリンク2本、アイス1本でたどり着いて日帰り温泉の黒いお湯を堪能した。
深大寺は先代のアヨちゃんとぼっちゃんを見送った場所でフンド氏と来るといつも行くお蕎麦屋さんで天ざると熱燗をたのんだものだ。こっそりお猪口の酒にそばをつけて食べるのが常でひとりで来てもそうしていたが今はコロナ禍でお酒の提供はなし。しばらく来ないうちに食券機ができていて外の席で池を眺めながらそばを啜って出逢ったねこを撫でて植物園のバラの香りを嗅いでさようなら。
ブラックティーという名のバラの色と、すみません入れ忘れてましたと後からやってきたしいたけの天ぷらの味をしみじみ思い返して、やはり早起きはするものだと納得したものの翌日はまた寝坊。

2021年6月7日月曜日

大根は罪

妹が泊まりにきた週末、ひとりでは面倒で行かないお店に寄るなどのんびり過ごして久々の楽しい時間を過ごした。
妹を見送って家に戻りいつもの晩酌をしながら日常に戻ってゆく。適当な映画を選んで観ていたら、主人公のあまりの大根ぶりにストーリーが頭に入ってこなくなった。
風景や小物、脇役は素晴らしいのに主人公のこの大根ぶりはいかがなものかと投書したくなるほどの大根ぶり。ストレスなしで好きなように過ごした週末の締めくくりに落胆。
まあこんな夜もあるさと週末の戦利品に目を遣ると、あのひととおそろいのハンカチに釘付けになった。勢いで手に入れてしまったが、やっぱりいい。買ってよかった。
口直しに観た別の映画はおもしろくて、焼いたサバに大根おろしをたっぷりかけて食べてやった。