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2022年10月18日火曜日

匂いについて再び・ねまちの手ぬぐい

耳鼻科の薬をきちんと飲んでいるせいか秋のせいか、ささいな匂いに敏感になった。
どこかの家でつくっている炒めものの匂いに記憶の蓋が開いて、これは実家を出て寮に住んでいたときの記憶だと思った。日が落ちて家路を急ぐ途中で嗅いだ匂い。炒めものはきっとソーセージにキャベツ。いつも誰かが調理場で料理していた。
カレーかシチューをつくっている途中の匂いもしみじみよいものだ。あとは2度めのきんもくせいの匂い。

年に一度ほど会う友だちと3人で待ち合わせて印旛沼を走った。昨年走ったときはひとりで、そして初夏だった。今年の秋の印旛沼は曇り空で走りやすく、雨上がりのあぜ道の匂い。たくさんのコスモスが咲き乱れていてボートやカヤックに乗る人たちもいてにぎやかだった。とりとめのない話をしながら走り終えてお風呂に入りお昼を食べてまたとりとめのない話。2度めのお風呂に入っているうちに空は晴れていた。この日は会ったとき3人とも弱っていたが、帰る頃には元気になっていた。

私が弱っていたのは単に寝不足だったからで、それは夜なべして手ぬぐいの絵を描いていたから。下絵はなかなか浮かばないけれど描くのは楽しくていつも午前さま。そんな深夜を越えた時間は、わくわくする匂い。今回は、美を追及するこけしグループの手ぬぐい。ヘアスタイルやまつげはもちろんのこと、MODなスタイルならなんでも相談にのってくれる心強いマダムたちにはいつもお世話になっております。
うっすら飛んでいるのは「サロン・ド・こけし」「MOD BARBERこけし」のイメージの花であるブラシの木の花。
納品した翌日にお買い上げくだすったそこのあなた、ありがとうございました。
もう1枚も、明日あたり完成かもね。

2022年8月18日木曜日

ぺろりべんとうの手ぬぐい

ばかあさん、あんなに時間をかけてつくった手ぬぐいのことをもう忘れたの?
あたしがお水をこぼしたり絵の具をつけたまま走り回ったりしてお手伝いしたのに、もう忘れたの?
次の手ぬぐいに取りかかるって息巻いてたのに、連休中は遊びまわっていたわよね。

誕生日までには、と思っていたのに誕生日には海へ行ってうなぎとなすとハガツオという旬の短い魚のおいしいランチを食べて、「喫茶ニャーゴ」で寒天を食べてきたので
さらに数日かけて完成。

「本と手ぬぐい7」は甘夏書店さんで8/27(土)まで。
五十の手習いを見に、ぜひお出かけください。
実は友だちが結構出かけてくれたみたいでとてもうれしい。

夏休みはかこさとし展に感動したり久しぶりの友だちと飲んだり飲まれたり朝の築地でどしゃ降りに見舞われたり台風が来ているからと早いうちから飲んだりちょこっと走ったり「サロン・ド・こけし」できれいにしてもらったり
憂鬱な連休最終日は必ず会おうと約束している友だち夫婦と3人でフンド氏に会いに行ってからあちこち歩き回ったり。幼なじみからの通称おかん便の夏野菜などでぜいたくな毎日。過ぎてしまえばあっという間だけれど、楽しい休暇だった。

2021年11月6日土曜日

秋のさんぽ道

ねまちの具合がよくなかったときに「サロン・ド・こけし」の予約をキャンセルしたのだがねまちが快復して安心したとたん髪がうねりだし色が褪せてきたので頭を抱えていたら、その姿を見ていたかのように女主人から、様子伺いの言葉とともに(本来はお休みの日の)この日はお店にいます、それでは失礼しますとのメッセージが。

うれしい。うれしいがいつもと違うそっけないメッセージに一抹の不安をおぼえながらお店に向かった。一抹の不安をおぼえながらも以前から気になっていた武蔵野うどんは食べて向かった。
いつもの笑顔で迎えてくれた女主人に安堵すると、思っていたとおりねまちの具合が心配で髪どころではないかもしれないと気遣ってくれてのシンプルなメッセージとわかった。わかってはいたがホッとした。

いつものマシンガントークと秋らしいカラーとすてきなカットを施された鏡の中の自分に気分がうきうきして、素晴らしく晴れた空のもと女主人に教えてもらった和菓子屋さんを目指して歩いた。
途中、ひとめぼれした鍋つかみを入手したり通りがかった古民家のお店で珍しいフリーペーパーをもらったりして目的の和菓子屋さんに到着。ふだん甘いものは食べないけれど年に数回だけ食べたくなるときがありこの時がその時だった。感じのよい女の子の店員さんからいちじく大福と黒豆大福を受け取った。
さらに歩いてむかしむかし住んでいたアパートがまだあるかどうかを確かめて、やはりむかしむかし行っていた喫茶店(今年でなんと67年!)で変わらず急な階段をのぼってコーヒーを運ぶおばあさんの姿にうれしくなったり駅前の古書店で目についた本や古くからのお店で酒の肴を手に入れたりして離れがたいなつかしいまちを後にした。

年に何度もない完璧な一日。
選んだはずのグリーンピースのサラダがポテトサラダだったことに小さく落胆したが、シンプルで美味しかったので味の余韻が消えないうちにと猛然とポテトサラダをつくり始めた秋の夜長であった。

2021年6月30日水曜日

お久しぶりね

いつも妙に汗だくになる頭をさっぱりしてもらって髪はもちろん、もやもやしていた気分まで言語化されてすっきりした日。
美容師さんて本当にありがたい。

緊急事態宣言解除後の酒場へごあいさつの日々。懐かしいお店とお客さんの顔を見ることができてしみじみうれしかった。いつも唐突にねこの動画を送ってくれる大将のお店にも顔を出した。さらに別の日には労働先の好きな人たちとも酒場で邂逅。そこはまだ2度めのお店なのに懐かしくて居心地がよくて帰り難かった。
はたまた別の日にはお久しぶりねのランの練習会に誘われて街ランに参加。いつ以来かわからないくらい久しぶりのラン友やコーチが懐かしくて、しかも労働先から近いのに知らなかったステキな場所へ連れていってもらって感激。眠っているヒミコ(遊覧船)といい控えめにライトを施している階段といい、これはデートというより逢い引きにぴったりだねとみんなで言い合う。
それから客船が接岸してロープを張り貨物を下ろすところ、タラップが降りて乗客が船に乗り込むところをひたすら見つめた。時刻表を見ていたらたまらなく島へ行きたくなった。
今年もまた、こっそり旅に出ようかな。

2021年6月25日金曜日

香りについて

学生の頃に夜遊びしていて出逢った香りが、香水に興味を持ったきっかけだった。
香水にはなんの知識もなくいろいろなお店を探して見つけ出したのが最初の香水だったが、香水というのはつけている人によって香りが変わるということを知らず、しばらくしてなんとなく違うかなと気付いた。次はデザイナー自身は好きだけれど洋服は似合わないしお高くてなかなか買えないブランドの香水一筋で20年、でも自分の好きなファッションと香りが合わない気がしてやめた。
すれ違う人の香りに振り向くことがある。これはあの頃のオードトワレだなと気分は急に30代へ。匂いの記憶は消えないというが、よみがえるのは匂いのみの記憶だけ。日々の飲酒で脳みそのシワがなくなったので仕方ない。
我が家のくちなしは日々新しい花を咲かせており、窓を開けると風に乗って香りが漂ってくる。
この季節だけは、お気に入りの寝る前のフレグランスは使わない。

2021年4月5日月曜日

夜のラーメン

自堕落な毎日を改めようとつぶやいた舌の根も乾かぬうちに飲んで飲んで飲まれて飲んだこの週末、エリートランナーたちとの皇居ランでどうにか酒が抜けた。
先日サブ3を達成した別のエリートランナーも途中合流して、なんとか皇居4周を走り終えたらやっぱりお疲れビール。これは2日連続の迎え酒ではないかとの思いがちらっと頭をかすめたが飲んでしまえば結局元気になるのだからしょうがない。

金曜の夜は、そのラン仲間の奥さまたちと初の女子会ではしご酒。翌朝まだ酒の残る頭を支えながら洗濯ものを干していると、前日着ていた洋服からうどんが一本出てきた。また夜中になにか食べやがったな自分、と落ち込む。
意識がモウロウとしたまま「サロン・ド・こけし」へ。
ニッキのことを話し始めたら止まらなくなる。むくんだ顔とスポンジのような脳、そしてぼろぼろの内臓でもヘアだけは素敵に仕上げてもらってうれしくなり、ふらふら散歩しながら約束の飲み会へ。この日は「おいてけ堀」で仲良くなった仲間うちの女性のみの秘密の飲み会。
迎え酒だな、とうなだれて酒を啜っているうちに元気になってきた。とはいえ連日のはしご酒はやりすぎた。それでその翌朝の皇居LSDなのだった。
さすがに胃腸に力が入らず、なのに走り始めたら楽しくなって4周。当然のようにランチビールから始まって軽くはしご酒。エリートランナーたちはあまり食べずによく飲む。20km走って酒が抜けたのをいいことに調子づいて私も飲む。楽しく飲んで帰宅しバタッと昼寝していると何かお腹に入れたくなってきた。
こんなときはサッポロ一番塩ラーメンよ、とていねいにつくって啜ると、何度も読んでいる小説の「夜のラーメン」の章を思い出した。シチュエーションは違えど、しみじみよいものだなぁとつるつる食べた。

2020年7月16日木曜日

ふぞろいの林檎たち

「サロン・ド・こけし」の姉妹店にて髪をさっぱり、カラーもばっちりキメてもらって南青山へ。

B-BOY彫刻家・Taku OBATAさんの作品展「Opposite Effects」が青山のギャラリーで先月から行われており会期前から楽しみにしていたのにいつもの行動範囲外へ出ることに必要以上に緊張して先延ばしにしていた結果、ついにこの日で最終日。以前は仕事に買いものにライブによく訪れていた山手線のあっちがわ。いつからか足が向かなくなりそのうちに足を踏み入れるだけで緊張するようになった。
地階にクロコダイルのチョコレートが鎮座する静かなギャラリーで、入るなり作品に見入る。ポーズはもちろん洋服のしわの表現がすごいなぁと、じっくりいろんな方向から見た。ご本人が在廊しており、お客さんに解説しているのを隣で盗み聞き。
粘土のかたまりのようなこれはなんだろうと思っていたら、粘土をこねてまるめたものを木彫りで表現したとのこと。おもしろい!

よいものを見たおかげか、晴れた翌日は木場公園までちょびっとジョグ。植物園でぶどうやざくろの育ち具合をチェックして公園を2周してさようなら。暑い日の一番暑い時間になぜわざわざ出かけたのか。

これまでで一番たくさん映画やドラマを観ている最近、アトロクで小耳に挟んで気になっていた「ふぞろいの林檎たち」を何日かかけて観終わった。
石原真理子の異常なまでのかわいさと小林薫のとんでもないかっこよさ、それと国広富之のなんともいえない感じとひたすら美しい高橋ひとみに夢中になった。観る人によって共感する人物は違うのだろうが、私は最初から中島唱子に胸が痛かった。それにしてもこの時代のドラマはみんなはっきりモノを言うなぁ。

「サロン・ド・こけし」の姉妹店のオーナーのバイブルである「まゆ子の季節」を読み始めた。「ふぞろい」といい、古すぎない雰囲気が不思議。ハナから専門的だがおもしろくて移動中の車内でも没頭。40巻以上あるらしいのでしばらくは楽しめそう。


旅に出たい。
旅の途中の車内で、たとえば長いトンネルの中で、または長い夜をもてあました旅先の宿で、ゆっくり本を読みたい。

2020年3月30日月曜日

酒と泪と総選挙と「現実」

愉しみにしていたというより心の支えにしていた「R31RHYMESTERクラシックス総選挙」は、興奮と爆笑と涙で夢から覚めたかのように終わった。

スタート時刻ちょうどに届いたずっしり重い箱は、一緒に観る(行く)はずだった幼なじみからだった。
始まったと同時に固まる画面にパニックになったが、この時間のために用意した白ワインを開けつつ箱の中身を確かめると、たくさんのおつまみに野菜に雷電ビール、そして備蓄できる食糧の数々とともにマスクと消毒スプレーが入っていた。ここで涙腺がゆるんだうえに膀胱が破裂しそうになり、早くお礼を言いたいのにあたふた。
終わったあとに怒濤のメッセージを送りつけ、ありがたいという気持ちより迷惑しか与えていないことに気付く。総選挙の夢を見ながらのうたた寝から目覚めて激しく反省。


前夜、わけあって勝どきからえんえん歩いて今週2度めの「おいてけ堀」へ汗だくで登場すると、そこにはようやく会えた仲良し社長・専務コンビ。
既にできあがっていた社長と専務はとにかく仲がよい。
関西出身のこのコンビの話しぶりは田辺聖子の小説に出てくる丼池の繊維会社(もしくは金物会社)のオフィスのよう。しっかりごちそうになってしまい、今度はどこそこへ行こやとお誘いいただいたが、果たして覚えていらっしゃるかどうか。


伸びすぎた髪を「サロン・ド・こけし」の姉妹店でカット&カラー。
髪が伸びすぎたから行ったはずだが、お店に着いてみるとそうでもない気がする。陽当たりのよい席で仕上げてもらいながら鏡を見ると、恐ろしい「現実」が光で飛んで見えず。いつも最後に撮ってもらう写真もステキ加工のため「現実」は写っていないが、帰りに寄ったデパートのお手洗いで「現実」を見ることになる。ヘアはばっちりなんだけど素材がねぇ。

2019年11月26日火曜日

雨の土曜日

思い立って美容院へ。
もう25年以上のお付き合いになる、少し離れた場所のお店。
こちらのオーナーは「サロン・ド・こけし」のマダムとは異なり、おとなしそうな見た目なのにはっきりした人で、その腕前はもちろん、個人的にも信頼している。
今までもなにかと相談したことはあったけれど、そのとき困っていたことを話のついでに相談したら、あれよあれよと解決に導いてくれた。
話に夢中になっているうちにヘアスタイルもきれいに整えてくれて、うれしい気持ちで大雨の中、初めて行く場所へ向かった。
それは年に一度、コーヒー屋さんでの秋の収穫祭でご一緒するアーティストの個展を行っているべつのコーヒー屋さん。
急に連絡したので用事があるとのことで彼女には会えなかった。でもいいのいいの、作品が見れたらいいんです。
お店に入る前にぐるっとまわりを歩くと、外から見える場所に2枚の油絵。彼女の作品だ、と傘をさしたまま見入る。
お店に入って中を見まわすと、カウンター上部の壁に描かれたチョークアートも彼女の手によるものくさい。なるほど、外の作品とこの絵が個展ということなのか。

シックな店内をきょろきょろ、うろうろしていると、○○ちゃんのお友だちのマッチ作家さんですか?とお店の方に声をかけられた。は、はい、と消え入りそうな声で答えると、赤毛のおかっぱのマッチ作家さんが来るから、とだけ彼女から聞いていたので、とお店の方は笑った。そういえばお互い名前を知らなかった。
おいしいコーヒーをいただきながらのんびり過ごし、お勘定をする段になって、奥の扉の向こうにギャラリーを発見。あやうく彼女の作品すべてを見ずに帰るところだった。

キャンバスだけでなく段ボールや茶紙にも描かれた彼女の絵は、たまに会うときに見かけるいたずら描きのようなスケッチを思い出させた。絵にはその人が出るんだなぁ。自由で元気がみなぎる絵を見て、ここへ来てよかったと思った。

このお店のブレンドに横綱ブレンドというのがあったので(稀勢の里の故郷だからだろう)それをおみやげにして次に向かうは明日一緒にマラソン大会を走る姪の待つ家。
「はとエアライン」でピュッと行きたいところだったが、雨の日は運休なんです。
荷物を少なめにして、お気に入りのレインコートとブーツ、傘で歩きましょう。

2019年11月8日金曜日

本と遊ぶ!ブックカバー・しおり展は明日から

本日搬入の「本と遊ぶ!ブックカバー・しおり展2019」に出すブックカバーは、昨夜遅くに完成した。
ねまちの銘店「土俵そば」のブックカバーで、しおりは海苔のついたおそば。
 表紙を開くと、そばをすする生姜。
裏表紙を開くと、やはりそばをすする梅。

このブックカバーに合わせたいのは、池波正太郎著「むかしの味」。(もしくは『散歩のときになにか食べたくなって』)
ちょっといいお蕎麦屋さんで注文したおそばを待ちながら、あるいは旅先で食べる駅ソバを愉しみにしながら、このブックカバーで本を読んでみてはいかがでしょう。
飛び散るおそばが邪魔くさく、梅がやけにかさばるブックカバーではあるけれど、おしゃれは我慢であると「サロン・ド・こけし」のマダムも
「MOD BARBER こけし」の店主も申しております。
久しぶりに、売れませんように!と思えるものができました。



本と遊ぶ!ブックカバー・しおり展2019
日時 11月9日(土)~30日(土) 12~18時 最終日17時まで
※火・水定休

場所 甘夏書店 〒131-0033 東京都墨田区向島3-6-5 一軒家カフェikkA2F


ブックカバー作り最後の追い込みは、イヤホンで音楽を聴きながらおこなった。
静かな場所で聴くと新しい発見がある曲がいくつもあり、集中しながらも時には目を潤ませ、歌ったりヘッドバンキングしたりして完成のときを迎えた。

完成と音楽で気分が昂揚してフラゲしたワインを開けた。
フンド氏に見せたら褒めてもらえただろうなぁ、そうだ、誰かに写真を送り付けたろかと思ったが、既に日付が変わっていたので我慢。我慢してなぜか掃除を始めた夜更けに聴くCreepy Nutsの「よふかしのうた」は、ナニモノにも代えがたい。

2019年10月18日金曜日

それとこれとは話が別

どうしても渡したいものがある、という友だちとなつかしい店で飲んだ台風上陸の前日。
雨は降り始めていた。
席につくなり友だちが袋を差しだした。賢くて優しい友だちならではのプレゼントにうれしくなった。

この日は「深川福々」発行日でもあり、最新号を100部ほどわけてもらった。
そのお店では焼酎ハイボールと決めている。
いくら飲んでも酔わない不思議な酒だ、というのは初めて「深川福々」で記事を書かせてもらったときのこと。

台風上陸当日は水道水や風呂水を溜めて、おにぎりや常備菜をつくって冷蔵庫の整理。
本棚の整理を始めたのは、調べたいことがあったから。なのに気付けば模様替えまで始めており、ついでに衣替えもアイロンがけも終えていた。
ひと息つくと、酒を飲んでもよい時間。

これから調べものをするから酒はいかん、でも小腹が減ったな、常備菜つくりすぎたから食べちゃおうか、水分代わりに薄いビールを飲もうか、ああ薄いビール飲んじゃったな、と白ワインを開けたら同じようなことをしている近所の友だちからメッセージが来たのでスマホ越しに励まし合い、余っていた焼酎にも手をつけて、でも調べものについては忘れていないものだから焦りは募るばかりで、じゃあ早くやれば、と思うのだがそれは今ではない、と杯を重ねるうちに外の様子が気になってベランダで一服していると近所の未亡人友だちや幼なじみからメッセージが来て、音楽でも聴きながらいよいよ調べものを始めますか、とRHYMESTERのライブDVDを再生したら、そうだ、RHYMESTERのライブは釘づけになるから「ながら」には向かないんだった、と気付いたが時既に遅し、外の暴風雨の音に負けじと歌って踊っていたら遠方の友だちや同級生からメッセージが来てありがたいな、と日本酒を片手に外を見るといつの間にか静かになっており、急に酔いが回った。
で、調べものは?


台風一過の翌日は借りていた本をものすごいスピードで読みながら「サロン・ド・こけし」の女主人の盟友のもとへ向かう。
秋らしくばっさり髪を切ってもらって、さて今夜はどこへ飲みに行こうかなと歩いていると、台風が怖いと昨晩メッセージを送ってきた未亡人から飲みませんかのお誘い。
珍しく日曜日に営業している、私好みのお店に案内してくれた梯子酒癖のある未亡人。開店から閉店まで飲んだ上に隣町へ移動して真夜中まで営業しているお店でまた飲む。


台風一過のそのまた翌日。
今日こそ走るぞ、と久しぶりのランウェアに着替えて外へ出るも雨。怖気づいて踵を返し、なぜかカレーをつくり始める。
「深川福々」を墨田区内のお店に配布する予定だったので、せめて徒歩で行こうと張り切ったがたいした距離ではなかった。この夜はマラソン友だちと久々に会う予定だった。敵も梯子酒癖があるが今夜は一軒で帰ろう、と思っていたのに。
〽飲ませてよ もう少しだけ、でこの晩も午前様。
翌日約束していたランニングが、仲間のひとりが体調不良となり中止になったのは不幸中の幸いだったのか、不幸だったのか。

2019年5月16日木曜日

わからないことばかり

毎朝歩くコースのとある場所に、定期的に落ちているモノがある。
なぜいつもここに、これが落ちているのだろう、と思う。

それは、ヘアピース。
ほんのぽっちりの、ヘアピースなのだ。

「サロン・ド・こけし」のマダムに伝えたら、なんと言うだろう。
身だしなみアイテムのひとつだから、さぞかし困っているでしょうね、とか?
 「MOD BARBERこけし」の店主には、間違っても言えないな。
だってヘアピースなんて、MODじゃないもの。多分。
そもそも、男性のものなのか女性のものなのかも不明だ。
もっというと、使い方も不明。



毎朝歩くコースのとある場所に今年もそろそろ開きそうな、アーティチョークに似たつぼみの花。
あざみを5倍くらいに拡大したようなこの花の名前も、不明だ。

2019年4月2日火曜日

おしゃれをしよう、自分のために

憂鬱の象徴でしかなかった桜が珍しく美しく見えたある夜のこと。
友が、急に語りだした。

「実は、話していて全然楽しくなかった」
「実は、少しずつ、すーっとイヤになった」
「実は、正直1ミリも尊敬できなかった」
「実は、ばかだなぁってずっと思ってた」
「実は、どうしても好きになれなかった」

付き合っているような、いないような男への、ずっと我慢していた本音。
まださよならしていないのに、すべて過去形であることから、友にその男への気持ちが無いことがわかった。

たしかに・・・
あなたには、あの男は違うと思ってた、ひどくださいし、やさしくないし、と、こちらまでうっかり本音がこぼれ落ちた。友は大きく頷いた。



いらない男のことはさっぱり忘れて、新しい洋服を見に行こう。
おしゃれは自分のためにするもの。おしゃれはスタイルだから。


なんてことを教えてくれたのは、
いつも控えめな「スナック女将」のママだったか、それとも
美と人生のプロフェッショナル「サロン・ド・こけし」のマダムだったか。



好きな洋服と好きなヘアメイク、こんなに心弾むものはないのに隣にいるのがアレじゃあねぇ、と友は歯を見せて笑った。
ちげぇねぇ ちげぇねぇ

2019年3月7日木曜日

おんな稼業を張るということ

そろそろ「サロン・ド・こけし」へ行かねばならない。
女主人に話したいこともあるからね。
しかし最近のこのていたらくでは、叱られるだろう。
こんなまつげではドレスコードにひっかかるし、髪はくるくるうねっている。



「MOD BAR BERこけし」にも行かねばならない。
店主に相談したいこともあるからね。
しかし最近のこのMODとはかけ離れたスタイルでは、叱られるだろう。
ぶくぶく肥えてきたし、ファッションも適当。

叱られない生活とスタイルを確立したいものだ。




先日ひといきに読了した本の主人公るみ子は、魅力的な女性だった。
最初はたよりない子だったのに、内面がだんだんたくましくなってゆくさま。
るみ子のセンスもとても好きだし、いい女発見!と思わせるこの作家の腕にうなった。


るみ子のように、せめて手の込んだ料理でもつくろうか。
なんて言った舌の根も乾かぬうちに「レストラン両国駅」にふらっと寄ってしまうのが関の山。
正統派のお料理は最強だもの。

2018年10月31日水曜日

匂いを嗅ぐ

近所のお寺でもらった、かりんのおしりの匂いを嗅ぐ。
かりんのおしりは、きりっとした晩秋の匂い。


椅子には、あの古道具屋さんの匂いがまだしみついている。
甘さのない、枯草のような匂い。


朝は一杯のコーヒーを淹れる。
コーヒーは朝の匂い。


寝る前には、部屋を好きな匂いで満たす。
旅に出るときの、浮足立った匂い。
寝るのも、旅に出るようなものだから。


「サロン・ド・こけし」の女主人のオードトワレの香りが好きだ。
あまくてスキャンダラスな、背筋が伸びる匂い。
女主人にとても似合っていて、時間とともに変化するどの香りも好きだ。


寝るときに身にまとうのはシャネルの5番を数滴よ、とマリリン・モンローのように言ってみたいものだけれど、そんなことをほざいたら通報ものだなぁ。
「きせかえブティック メンキー&ノンキー」には、似合う洋服だけでなく、そのときに必要な香りや花なんかも、あるんです。