以前やはり本局へ行った帰りに寄った親戚の家のような小さな飲み屋さんは赤ちょうちんに灯りが灯っていてホッとした。
あいさつだけでもしたかったが、これから入手しなければならないモノがある。また必ず来ますからね、と心の中でつぶやいて雨の中を急ぐも目当てのお店は閉店しており、酒場のパトロールに予定変更。その道すがらにスローモーションで宙を舞ったのだ。幸いあたりに人はほとんどおらず、すぐに立ち上がって歩き出すと両方のこめかみに激しい痛みが走る。ぶつけたのはおしりなのだが、ずっとこっていた肩までなぜか痛み出した。
人間のカラダって不思議、なんて思いながら、夜なのに完全に目が覚めた。
フンド氏の父上行きつけのお店はがらんとしていた。
びっしょり濡れたコート(特におしり)を脱ぎながらお品書きを見ると、穴子が登場していたのですかさず注文。穴子ありますよって言おうと思ってたんですよ、と美人女将が笑った。
帰り道に入手したフリーペーパーを読みながらこの春初めての穴子を大事にいただいていると、まだ早い時間なのに自分以外にあとひとりしかお客さんがいないことに気付いた。テーブル席にも小上がりにも普段のような気配はあるのだが、誰もいない。あとひとりのお客さんを目の端にとらえてマイペースで飲むもフンド氏に口を酸っぱくして言われていた禁断の最後の客になってしまった。
暗い話はしたくない。美味しかった穴子を褒めたたえて帰ろうと思っていたのに、しっとり濡れたコートをはおったとたんに口をついて出たのはさっき転んだ話。おしりが割れました、と言わなかっただけえらいぞ自分。
人間のカラダって不思議、なんて思いながら、夜なのに完全に目が覚めた。
フンド氏の父上行きつけのお店はがらんとしていた。
びっしょり濡れたコート(特におしり)を脱ぎながらお品書きを見ると、穴子が登場していたのですかさず注文。穴子ありますよって言おうと思ってたんですよ、と美人女将が笑った。
帰り道に入手したフリーペーパーを読みながらこの春初めての穴子を大事にいただいていると、まだ早い時間なのに自分以外にあとひとりしかお客さんがいないことに気付いた。テーブル席にも小上がりにも普段のような気配はあるのだが、誰もいない。あとひとりのお客さんを目の端にとらえてマイペースで飲むもフンド氏に口を酸っぱくして言われていた禁断の最後の客になってしまった。
暗い話はしたくない。美味しかった穴子を褒めたたえて帰ろうと思っていたのに、しっとり濡れたコートをはおったとたんに口をついて出たのはさっき転んだ話。おしりが割れました、と言わなかっただけえらいぞ自分。
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