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2023年8月2日水曜日

そうめんの手ぬぐい

しばらく会っていなくても忘れないでいてくれた忙しい友だちと久しぶりに皇居を一周。
コロナ禍もちょくちょく会っては走っていたけれど、走るだけの仲・薄い仲だと思っていた。しかしどうしても話さなければならないことがあり走った後に焼肉を食べながら話していると、それほど薄い仲でもないのかなと思った。ありがたい。

ぼんやりしているうちに8月に入っていた。
今年の夏は「土俵そば」からそうめんの手ぬぐいが登場。
拡大してみても見えにくい。
よく見ると、そうめんにぴったりの薬味たちが流しそうめんを楽しんでいて
でもきゅうりやなすやピーマンがなぜ?とお思いのあなた。お目が高い。
大阪の友だちの家でそうめんをごちそうになったとき、きゅうりの千切りや錦糸玉子まで出てきてそれはおいしかったんですよ、と「土俵そば」で話したことがきっかけで、なすとピーマンの炒めたものもそうめんのお供に加わったのだ。
途中で飽きてしまいがちのそうめんも最後までおいしくいただくことができる「土俵そば」のそうめん、おすすめです。

手ぬぐい展は絶賛開催中。お休みの日をチェックして、暑い日差しを避けて、向島の一軒家カフェikkAさんとその2階の甘夏書店さんへどうぞ。
わたしはお留守番してるわ。

2023年7月14日金曜日

本と手ぬぐい8はじまります

夜な夜な、または快晴の休日に引きこもってつくった手ぬぐいがようやく完成。
7/15(土)から甘夏書店さんで今年もおこなわれる「本と手ぬぐい8」でどうぞ。
すみだクリエイターズクラブのTシャツ展は一度覗きに行っただけでなんのお手伝いもできずに終わった。
Tシャツ展にお越しくだすったみなさま、お買い上げくだすったみなさま、ありがとうございました!次回は8/12(土)の東京ミズマチの夜市で販売していただきます。
手ぬぐいもお楽しみに。たったの4枚ですが。

楽しかったお絵かきの毎日、RHYMESTERのニューアルバムを聴きながら、「深夜特急オン・ザ・ロード」のマレーシア編を聞きながら、つけっぱなしのテレビを聞きながら、休日または真夜中の時間を楽しんだ。途中、若い友だちとの飲み会とRHYMESTERのライブだけはめいっぱい楽しんだ。
眠る前に少しずつ読んでいた「もう一度行きたい私の旅」を読み終えた。今は変わってしまったかもうないであろう場所がくっきりと目の前に見えるようでとてもおもしろかった。

ブラッシングがすんだらおもちゃで遊ぶのよ。
それまで次の本はおあずけよ。

2022年5月30日月曜日

休日の特別なランチと「森の時間」

もしかしたら走る気になるかもしれないとランの格好で家を出るも、あっという間にお蕎麦屋さんにインした休日。
九条葱を山盛りにした冷やしたぬきそばのおいしかったことよ。それから「喫茶ニャーゴ」で豆をひいてもらいながら先日行った霞ヶ浦の話をすると、茨城県は多くの野菜が生産量日本一であることを教えてもらった。
誰も宣伝しないから知られていないけれど、ブランドかぼちゃなんかもあるんですとのこと。そういえば秋田の友だちも同じことを言っていた。実は納豆の発祥地は茨城ではなく秋田だが県民性なのか誰も主張しないので茨城に譲っていると。しかしこの話は議論を呼びそうなのでこの日は黙っておいた。

甘夏書店さんで開催されていた「手描きのブックカバー展」が終わり、搬出に向かった。久しぶりの甘夏書店さん、ブックカバーは引き続きネット販売してくださるとのことでありがたい。そして来月の楽しそうなイベントや川の向こうのパン屋さんの手拭いがかわいいらしいこと、さらに畏れ多くも今回のブックカバー展でご一緒したあるイラストレーターの方の、もう終了したかもしれない展示の話をしたら、その展示が明日までということを教えてもらった。しかもその展示をしているブックカフェの店主さんの話や美味しいチーズのこと、駅前にある湧水が実に美味しいことなどを聞くうちに、これも何かの縁と、ちょうど何も予定のなかった翌日に行くことを決めた。
弾みがついて川の向こうのパン屋さんへ走って手拭いを買い、コーヒー屋さんに教えてもらったハワイアンなイベントで竜眼ジュースを飲んで帰宅。
夜は「ニューねこ正」で年に数回、東京場所の際に顔を合わせる大阪のママちゃんと遭遇。とてもかわいらしい白鵬の大ファンのマダムとはこの日初めてゆっくり話してその行動力に驚いた。先日美人女将に熱海はいいですよと言われた翌日に一泊でひとり旅をしてきたそうで、ねえ写真見てと言われて覗き込んだスマホにはこの日断髪式だった豊ノ島のマスコットが揺れていた。
それから隣の席のおじさんとも盛り上がり、二軒隣のバーで3人で乾杯。途中、なんだろうこの3人、とおかしくなった。

翌日は予定通り千葉県は久留里のブックカフェへ。
のんびりしていたら行きの電車に乗り遅れ、乗り換えた高速バスでは珍しく車酔いして昼過ぎに到着。商店街の中で下車してしばし呆然と立ち尽くす。楽しそうなお店がたくさんある!
少し歩いてお目当ての「TIDE LAND BOOKS」の扉を開けると、いろんな食べものの濃い匂いで満たされていた。入口近くのカウンターでひとり静かに本を読んでいる男性のほか、ほどよくにぎやかな店内と本の数々。絵画展「森の時間」はちょうど案内されたテーブルの壁から展示されていた。この方の絵は初めて見たときからいいなぁと思っていたが、先日友だち夫婦に連れていってもらった松山庭園美術館でのこの方の作品との偶然の出会いから、もっと好きにになった。それにしても美味しかった地元の玉子とチーズだけを使ったカルボナーラ。あっという間に食べ終えてしまった。食べ終えてからもまた改めて作品を見て歩きポストカードを選んでいると、今日はご本人が在廊しているのでサインもしてもらえますよ、と店主がにっこり。はたしてひとり静かに本を読んでいたのがご本人であった。
急な展開にしどろもどろになって結局伝えたいことの1/10も話すことができず、それでも親切に話しかけてくだすったカイズケンさんは絵の雰囲気とぴったりの方だった。
後ろ髪を引かれながら駅へ向かうと先ほど気になったお店の数々。しかし満腹と満足でもうおなかがいっぱい。また次回にしよう。
駅前の湧水を汲んで飲むと、本当だ、本当に美味しい。ボトルに詰めた水は帰りの久留里線の中でちびちび飲んだが、前日カフェikkAさんで手に入れたケニアの紅茶を淹れたら美味しいだろうと思いついてあわててふたをしめた。
「森のパフェ」って絵だったかしら、あれいいわよね。あとわたしにそっくりな子の絵もよかった。

2022年5月17日火曜日

傘も差さずに弁当

先月からお昼は外で食べることにしている。
普段はお弁当を公園で
雨の日はお蕎麦屋さんなど。
今日は曇りで午後からぱらぱら雨が降るとラジオで言っていたが、お昼に外に出るともう降っていた。雨を凌げそうな場所を思い出して向かうと、やはりその場所は濡れていなかった。鬱蒼としげる木々の下でお弁当を開いて箸をつけると顔のまわりがうるさい。やぶ蚊だ。移動したいがこの場所以外は濡れているので続行。食べ終えて気付くと少し離れたところにやはりお弁当を広げている女性がいた。心の中で会釈してさようなら。
いつものあの公園でお弁当を食べている人たちはこんな日はどうしているのだろうと考えていたら、そのいつもの公園が見えてきた。雨は一向に止まないが、多くの人たちが傘を差してお弁当を食べていた。
そこまでして公園で・・・食べたいですよね!と心の中でみなさんに会釈した。今度はこの先輩方を見習って雨の公園弁当をやってみよう。
やめてちょうだい!

2022年1月22日土曜日

続・医者通い

今回は話を聞くだけだし、なんなら余った時間に国技館でも行っちゃおうかなぁなんて気楽に構えていた医者通いの金曜日。
念のため、と受けた検査が辛くて痛くて完全にテンションが下がった。一刻も早く帰ってねまちと遊びたいと気持ちは急いたが朝ソバだけはキメたくて

空腹でもなかったが近所のお蕎麦屋さんへイン。美味しかったはずだが心ここにあらず、家でねまちに絡んで嫌われてテレビ桟敷で大相撲観戦。宇良の奮闘と阿炎が負けたのに声を上げたらねまちが驚いて飛び起きた。
照ノ富士が勝ったのを見届けて「ニューねこ正」へ急ぎ、美人女将にまた愚痴を聞いてもらい慰めてもらってあじのつみれを食べてさようなら。
医者通いはあと1回増えてしまったが、痛くてツラいのはもう終わった。

2022年1月11日火曜日

新年のさようなら

ねまちと過ごしたこと以外なんの感慨もなかった年末年始とそれからの三連休。
オミクロンのせいで予定していたイベントも不参加、その翌日友だちに誘われたLSDだけが楽しみで、それなのに突然の腹痛で不参加を覚悟してがっくりうなだれたが、少しだけでもと仲間に言われたので参加してみたら、なんのことはない、最後まで走ることができた。
LSDの後のお楽しみ、飲み会は止めておきますと言ったら、少しだけでもと仲間に言われたので参加してみたら、なんのことはない、普通に飲んでしまった。

しかもその後の「おいてけ堀」のマスターとの飲み会でさえも普通にがばがば飲んでしまった。
ソロ活動も再開。いつものお店にあいさつ回りして新年の石鹸と手拭いもいただいた。
なんだかんだで元気じゃないかとオノレの丈夫っぷりに感心したが、大相撲2日目をテレビ桟敷で鑑賞した後に行った「ニューねこ正」で美人女将に、冷たいものはやめときなと言われて背筋がのびた。
しばらく行っていなかったお蕎麦やさんへ小銭を数えながら向かうといつものように口が勝手に、紅しょうが天そばくださいと言った。いつものように私以外のお客さんはみなゲソ天そばを注文し、おかあさんはのんびり返事しながらもサッとおそばを出してくれた。

しばらく行っていなかったおにぎり屋さんへ小銭を数えながら向かうと閉店のお知らせが貼ってあった。
おじさん対おばさんふたりがいつも喧嘩しており、そのせいかおにぎりがしょっぱいこともたまにあったが、おばさんひとりがいなくなってから喧嘩もしょっぱいおにぎりもなくなった。
黄身がどす黒いほどに固く茹でてちょっとヒビを入れたゆで玉子も、ゆるいラップで巻いたサンドイッチも、これでしょ、と注文する前から包んでくれたおにぎりも、もうないのだなぁ。

2021年10月11日月曜日

年に一度のこんにちは

つらい健康診断を終えると必ずうどんを食べる。

(ご存じでしたか、「土俵そば」にはうどんも、丼ものもあるんです)
いつも朝はおそば一択だけれど、ひと仕事終えたあとは必ずうどんと決めている。
古い小さなお店のやさしい味のそのうどんを啜ると秋だなぁとしみじみ思う。うどんは秋の枕詞。

しばらく後に、なかなか効かなかった下剤が効いて突然の腹痛で冷や汗を流すことも知らず、のんびり一服していた朝の自分が憎らしい。

2021年10月10日日曜日

近くの他人はありがたい

深夜の地震は久しぶりに大きかった。
友だちと電話中で気が紛れてよかったけれど、生まれて初めての地震を経験したねまちはあちこちへ走り回っていた。あたし疲れたわ。

棚から貝殻が落ちたくらいで済んだし飲むものがなくなってハブ酒を啜っていたおかげで泥酔もしていなくてよかった。幼なじみや友だちや妹が心配してメッセージをくれたのがありがたかった。落ちた貝殻ってビキニの?と訊いてきた友だち、ずいぶん会っていないけれど変わっていなくて吹き出した。
震度がもっとも大きかった場所に住む友だちの顔が浮かんでメッセージを送る。無事だよとの返信に安心して寝ることにした。

翌朝は、なんとしても朝ソバをキメなければとなぜか強く決心してずんずん歩いた。

先日久しぶりに暖簾をくぐったとき、ずいぶん久しぶりじゃない、とおかあさんに言われた。ここんとこ朝起きれなくて、とソバを啜りながら答えたがその日は昨日のあれ、大丈夫だった?と訊かれたので、あの時間はお店に?と訊ねると、家よぅ、あたしいつも2時に来んのよとおかあさんは薄く笑った。そうだった、このお店は2時からやっているのだった。

お弁当をつくりそこねたのでお昼は顔馴染みの中国人のおねえさんのお店へ。昨日大丈夫だった?と訊かれたので、お店は大丈夫でしたかと訊くとお店は大丈夫よ、ワタシは電車止まって大変だったよ、と顔をしかめた。やっと夜の営業を始めたばかりなのにね、とお互い苦笑いしてさようなら。

実は名前も知らない、でもいつも顔を合わせる人たちとのこんな会話がなにより安心する。
世間話といえばそれまで、でもしみじみ心強い。

2021年9月26日日曜日

同じ名前

ぐずぐず走りに出たある日、おじさんの顔の看板が目を引くパン屋さんがあった。

普段パンは食べないのだけれど、なぜか気になって引き返した。まちのパン屋さんといった風情だが中を覗くと意外にも大人のパンが多く見受けられる。先ほどまで外で待つお客さんもいたが運良く空いていたのでイン。あんパンが人気のようだけれど売り切れたとみて見当たらない。
さんざん悩んで酒のアテにぴったりなパンを3つ選んだが、どれも見た目以上に美味しくて止まらなかった。

別の日、やはりいやいや走りに出かけて見つけたお蕎麦屋さん。

ちょうどお昼時だったのでまだビタイチ走っていなかったが迷わずイン。座って食べるソバは天せいろと決めている。お蕎麦も天ぷらも昨日耳鼻科に行ったおかげもありとても美味しくてうっとり食べた。
愛読している「低み」に出てくる、美味しいものを食べたあとの自分のげっぷも好きだという人にまったく同意できなかったのに、この日ばかりは激しく同意。干潟のカニや野鳥を見て走りながら余韻を楽しんだ。

近所のお花屋さんも大好きなまちのパン屋さんも、このパン屋さんとお蕎麦屋さんと同じ名前。
うれしい偶然と、途中で手に入れた揚げたての厚揚げに浮かれて前のめりで走ったそのタイムがその日のベストタイムであった。

2021年8月27日金曜日

紅しょうが天そばに焦がれる

しばらくなりをひそめていたソバ熱が静かに高まってきた。
晩酌とおつまみを厳選して堪能しているせいで朝ソバをする食欲がわかない毎日。猛暑日で体に堪える暑さになるでしょうと天気予報で言っていたある日、決心して隅田川を走って(歩いて)からお久しぶりねのお蕎麦屋さんに登場。

お昼はとうに過ぎた時間で静かな店内。いったいいつ以来か忘れたくらい久しぶりの紅しょうが天そばを待つ。暑いさなかを走って(歩いて)脚が疲れているが紅しょうが天そばのためならば気にならない。
待ちに待った愛しい紅しょうが天そばはとても美味しかったが、普段食べなれたあの数秒で供される真っ黒なつゆのそばがなぜか恋しくなった。

2021年2月12日金曜日

少年隊はへっぽこランナーをも動かす

急行電車に乗っても1時間以上かかるフンド氏の両親のお墓参りに向かい、そこから走って帰ってくるという酔狂をやってのけた休日。

フンド氏が元気だった頃のお墓参りの愉しみは、駅の近くのラーメン屋さんだった。
そこがいつの間にか閉店しており、すっかり足が遠のいた。
キリスト教式のお墓は線香もたてないしいつ行っても枯葉ひとつ落ちておらずとてもきれいなので、持参したお花を活けるだけでお墓参りは終わり。めったに行くことのない遠方のご両親のいる地にせめて少しでも長くいるために、そのラーメン屋さんは必要だったのだ。
時間をかけて選んだお花を活けて少しお墓の前に佇んだのちに、いつもは気にも留めていなかったがその日にかぎって妙に気になる駅のお蕎麦屋さんへ早足で向かう。
果たしてそこは、都心の駅ソバともまったく違うすばらしくおいしいお店であった。(都心にもあるかもしれないけれど)お墓参りの後、これからはここに来ようと決めた。
舞茸天そばをゆっくり味わって、食後によく寄った喫茶店を横目に、強風の中いよいよスタート。とはいえ食後なので即歩く。野菜の無人販売所がところどころにありとても気になったが、がまんがまん。先日ラン友達が写真を送ってくれた茅葺の屋根の家にもすぐに着いたがまだ先が長いので無念の通過。
そこから先は、街が変わるたびに各党のポスターの顔ぶれが変わるのを見ながら特になにも考えず進むのみ。23区内に入ると少し気が楽になった。住居表示を見て、ここには昔好きだった人が住んでいて遊びに来たことがある気がする、とかここにも昔、妹の受験する学校の見学で来たはずなどといろいろ思い出す。
いい加減に休憩しようと東京ドームへ。いつもは飲まない甘い缶コーヒーを飲んで一服し、ジェットコースターで両手を上げて叫ぶ人たちを見上げる。両国まではあと少し。塩を吹いてざらざらした顔から再度汗を流してラストスパートだ。

結局32㎞も走ったり歩いたりして、シャワーを浴びて酒場に行くにはちょうどよい時間に帰宅。音楽もラジオも一切聞かずに進んだ約4時間、頭の中ではずっと少年隊の「ABC」や「湾岸スキーヤー」が流れていたのであった。

2021年1月29日金曜日

蝋梅の香り

思い立って葛西臨海公園までよろめきながらジョグしたある日。
もやがかかった中川の向こう側に東京ゲートブリッジが見えた。中川と海の境目辺りがきれいでまぶしかった。久しぶりの海。なぎさ公園の海岸で貝殻を探すもめぼしいものはなかった。家には厳選されためぼしい貝殻があるからもういらないのだけど、時おり海を眺めては貝殻を探すのが好きなのだ。
この日は元気があったので公園を半周しているとマスク越しに甘い香りが漂っていることに気付いた。冬枯れのこの公園のどこにこんな香りがあるのかと探してみると、それは蝋梅だった。
今まで香りを嗅いだことがなかったが、つぼみはおもちゃみたいで薄いロウを重ねたような花びらは甘くて爽やかな香りだった。
蝋梅はいつも都立公園で眺めていたことを思い出して、また行こうと思い立った。

あの公園の近くには必ず行くお蕎麦屋さんがある。
いつもは食べようとも思わない味噌田楽で一杯やって、お行儀悪くおちょこの酒にそばをつけて啜ろう。
などと考えながらにやにや走っていたら、殺人現場のようになぜかチョークで囲まれた犬のうんちを踏みそうになった。

2021年1月27日水曜日

ただいま

浴槽の塗装のためにユニットバスが使用できないので、以前住んでいたマンションの一室で数日間の寝泊まり生活。
寝袋や身の回りのものを運びに4年ぶりに入ったそこは何もかもが懐かしかった。
間取りは少し違うけれど、お風呂は広いしきれいだしやっぱりここはいいなぁ、と思ったのはそのときだけだった。
カーテンもなく、テーブルも椅子も冷蔵庫もWi-FiもPCもTVもない、持ち込んだ数冊の本だけの部屋はなんとも落ち着かなくて、初日の夜はしたたか酔って眠りについたが夜中に目覚めてしまった。
日が昇るのを待って自宅へ戻ると、いつもの部屋はしっかり養生されており他人の顔。コーヒーを淹れて飲んでも間が持たず、そそくさと家を出た。
こんな日があと2日も続くのかと思ったら目の前が暗くなったので、せめて朝食は「おはよう!商店」で。
そしてランチは「レストラン両国駅」で。
美味しいものを食べている間は全部忘れることができた。
午後はのんびりジョグ。すれ違う犬たちに色目を使ったり花の香りを嗅いだりして隅田川を走るも、しばらく洗濯ができないというのにジョグのせいでまた洗濯物を増やしてしまったことを悔やむ自分のみみっちさにがっかり。
増やした洗濯物をランドリーバッグに押し込んでいると、先日「おいてけ堀」で仲良くなったおじさんとのこの日の約束を思い出した。
長いことひとり飲みのお店としてお邪魔していたこのお店、昨年の暮れから顔馴染みのお客さんがぐっと増えた。この晩おじさんを交えて話した方が、私と同じ徒歩通勤でたまに隅田川沿いを走るという。あれ、そういえば週末に隅田川の向こう側を走っていたでしょうと言われてギクッ。いつも汚い格好でふぅふぅ言いながら走っているので気付かれたくはなかった。
話は盛り上がり、気付けば最後の客のひとり。
おじさんがどんどん飲めとそそのかすたびに隣の方が、おごりでもないのになに言ってんだと言う掛け合いを何度聞いたかわからないほど飲んでさようなら。楽しい夜だったけれど、帰るのはあの部屋かと考えたら酔いもさめた。
二日酔いで目覚めて、もうこんな生活はイヤだとしみじみ思う。ボロくて汚くても自分の好きなものだらけの自宅が恋しい。目と鼻の先なのに遠く感じる。
自宅でコーヒーを淹れながら、今朝はソバだなと思ったらもう頭はソバでいっぱいになり「土俵そば」へ急ぐ。
温かい湯気でいっぱいの店内はほぼ埋まっていて、控えめにソバをすする音だけが響く。ここはやはり紅しょうが天そば。しばらく待って出されたそれは、立ち食いそばのお店を始めようとしていた友だちが奨めてくれただけあってとんでもなく美味しかった。

浴槽の塗装が終わったと業者さんから連絡があり、やっと帰れるとうれしくなったがお風呂はまだあと一日使わないでくださいと言われた。昨夜教えてもらった最高の銭湯へ行こうかとも考えたが、なんでもよいから帰りたくて部屋を引き払って帰宅。
寒くてもボロくても汚くても自宅はいいなぁと、ひっそり家でお祝いしたのは言うまでもない。

2020年12月18日金曜日

きっとクリスマスも二日酔い

久しぶりの早朝そばをキメたこの日は二日酔い。
紅しょうが天そばください、と酒臭い息で言うといつもは無愛想なそば屋さんが、あたしとおそろいだ、と自分のまかないの丼を指差した。頭が濁っていてほんとだ、としか言えずにいると、こういうのって家では作れないでしょう特に紅しょうがはさ、これからどんどんそばのおいしい季節になるよねぇとにこやかに話す姿にも、えへへとしか返せなかった。ここの紅しょうが天そばが一番好きです、と言いたかったのに。

前夜「おいてけ堀」で改めて読み返した「それぞれのそれぞれ」がとてもよくて思わず熱燗に切り替えそうになったのをぐっとこらえた。
えらい。
帰宅後にご近所の飲み友だちからの誘いに応じてまた酒場へ出かけたのもまあヨシとして、ここまで飲んでおいて家でまた飲んでしまうというのはいったいどういうことか。それで二日酔い。
そういえばクリスマスが近づいているのだった。
クリスマスの贈りものは、甘夏書店さんの「縁起もの贈りものフェア」でどうぞ。

2020年7月26日日曜日

江戸前のドレスコード

開催の決定前から気になっていた「ドレス・コード?」展へ。
最近ではファッションなんてビタイチ考えていないが、憧れのCOMME des GARCONSの洋服が見られるだけでも行かずにはいられず。着るなんて畏れ多い、見られるだけでよいのです。それでも少しはおしゃれしたほうがよいかなと、とっておきのキジ柄のスカートで乗り込むも己の姿など忘れてじっくり観た。考えさせられる展示だった。
同じ都市で、同じダウンジャケットを着ていたり同じショップの紙袋を持っているさまざまな年代の人たちのスナップが興味深くて、エアコンに凍えながらいつの間にか2時間が過ぎていた。
このまま帰るのはナニだなと、前日飲み友だちに無理矢理勧めたくせに行っていなかった「おいしい浮世絵展」を予約、初台から六本木まで闊歩。勝負スカートをはいてはいたが途中で立ちソバもキメた。空腹でもあったが、こんな展示を観たらおなかが空くだろうと思って。しかしこの気遣いも裏切られ、浮世絵の中のおいしそうなものにまたもやうなぎ欲が首をもたげる。さっき立ちソバもキメたのに今度は盛りそばが、そして刺身が私を誘う。
うなぎとの再会は叶わなかったが、そば焼酎のそば湯割でキメて盛りそばで落ち着いたのはいうまでもない。

2020年7月20日月曜日

透明人間と まぼろしじゃなかったおそば屋さん

待ちに待った週末、ぱっちり目が覚めたので傘を差して家を出た。
前日アトロクで映画評を聞いた「透明人間」は早朝から観るのに向くだろうか。早朝というほど早い時間でもないけれど朝から映画を観るのは初めてで楽しい。映画はとてもとてもおもしろかった。こんな「透明人間」になっていたとは!
朝からなにも食べていなかったので、さてどうしようかと考え、コロナのニュースが出始めた頃に行ったきりの不思議なおそば屋さんへ向かうことにした。思いきって引き戸に手を掛けてから始まった不思議なあの夜の宴。あの人々は本当にいるのだろうか、と角を曲がる。はたしてそこにあの提灯はあった。暖簾も「営業中」の札も出ている。こんにちは、と声をかけると「いらっしゃ~い」の声。ひょいと顔を出したのは、あのママ。昼間見てもお肌がきれいだ。
どうぞどうぞ、と通されたのはなつかしい座敷。厨房のママさんと話しながら寛いでいると、常連らしき近所の奥さまたちが次々にやってきた。とりあえず目の前のポットの湯でお茶をいれてみなさんに差し出す。どこの誰だか知らない私にも、今日は寒いわねぇとか旦那が薬ばっかり飲んでるけどそんなに薬が好きかねぇとか隣のお風呂屋さんの工事の音がうるさいったらありゃしないのよとか次々に話しかけてくる。なぜか全員うどんを注文しているのがおかしい。力うどんに生姜焼きなんてツワモノもいた。
私が注文した天ざるセットには、天ぷらとざるそばの他にこまごまと小鉢がついており、あの晩の記憶がよみがえった。お勘定を、と立ち上がると、ダメよコーヒー飲んでいかなきゃ、とご近所さんに止められてカップにコーヒーの粉を入れたものとお菓子をつけてハイどうぞ。しばし考えて、目の前のポットの湯を入れた。
あなたのこと思い出したわ、また来てね、とママさんにドーナッツの入った袋を渡された。
夢じゃなかった!

それから何年ぶりかで行ったアンティーク屋さんでステキなテーブルマットやオリジナルのジャケットを見つけて、今日はいい日だと確信。こうなったら完璧な日にしてやるぞと帰宅してからちょびジョグに出かけ、お久しぶりねの「ニューねこ正」に登場。
玉露割りを飲んでいたが、最高の生牡蠣やしめさばなどにがまんならずに枡酒を解禁。
あら枡酒にしたんだ、と美人女将に笑われた。

2020年6月5日金曜日

傘を忘れたことを忘れた

満を持して「ストレイト・アウタ・コンプトン」を観て、思いがけずタイムリーな映画をチョイスした自分に驚いた。引き込まれずにいられなかった。明日はきっとお久しぶりねの朝ソバをキメることになるだろうと思ったがその通りだった翌朝。
紅しょうが天そば一点勝負!と店内に入ると、入れ替わりに店を出る客あり。それはハトだった。
なにかいるの、とおばさんに言われたのでハトが、と答えるとハトはゆっくり歩いて出て行った。そういえばあなた、傘忘れていかなかった?とおばさんが指さす方をみると、たしかに先日行方不明になった自分の傘。あれからかなり日にちが経っているのに覚えていてくれたとは。
この朝の紅しょうが天そばはいつにも増しておいしかった。

2020年5月14日木曜日

朝の匂い

お弁当をつくらなくなったのとマスクのせいでメイクがおろそかになったために朝家を出るのが早くなり毎朝少し違うルートで徒歩出勤。
洋食屋さんを通りすぎると濃いナポリタンの匂い。
路地を抜けるとパンのたねの匂い。
マスク越しでもわかる朝の匂いを楽しみながら、マスクをしているおかげで声を出さずに歌っていると出汁のいい匂いが漂ってきた。お気に入りの朝ソバのお店だ。
外に貼り出されたメニューを見て腕組みをする若きサラリーマンに、ここはアタリだからさっさと入って紅しょうが天そばを頼みなさいよ、と声に出さずにつぶやきこっそり親指を上げて通りすぎた。
晩酌を控えめにすると体調がいいなぁとあたりまえのことに感心しながら歩く朝のこの時間が気に入っている。

2020年4月2日木曜日

すべってころんでまた明日

郵便物を受け取りに本局へ向かうもこのご時世で受付時間が変更になっておりむだ足をふんだ帰り道、こんなに派手に転ぶ中年をみたことがあるだろうか(いや、ない)と通行人に問いかけたくなるほど実にド派手にすべって転んだ。
以前やはり本局へ行った帰りに寄った親戚の家のような小さな飲み屋さんは赤ちょうちんに灯りが灯っていてホッとした。
 あいさつだけでもしたかったが、これから入手しなければならないモノがある。また必ず来ますからね、と心の中でつぶやいて雨の中を急ぐも目当てのお店は閉店しており、酒場のパトロールに予定変更。その道すがらにスローモーションで宙を舞ったのだ。幸いあたりに人はほとんどおらず、すぐに立ち上がって歩き出すと両方のこめかみに激しい痛みが走る。ぶつけたのはおしりなのだが、ずっとこっていた肩までなぜか痛み出した。
人間のカラダって不思議、なんて思いながら、夜なのに完全に目が覚めた。

フンド氏の父上行きつけのお店はがらんとしていた。
びっしょり濡れたコート(特におしり)を脱ぎながらお品書きを見ると、穴子が登場していたのですかさず注文。穴子ありますよって言おうと思ってたんですよ、と美人女将が笑った。
帰り道に入手したフリーペーパーを読みながらこの春初めての穴子を大事にいただいていると、まだ早い時間なのに自分以外にあとひとりしかお客さんがいないことに気付いた。テーブル席にも小上がりにも普段のような気配はあるのだが、誰もいない。あとひとりのお客さんを目の端にとらえてマイペースで飲むもフンド氏に口を酸っぱくして言われていた禁断の最後の客になってしまった。
暗い話はしたくない。美味しかった穴子を褒めたたえて帰ろうと思っていたのに、しっとり濡れたコートをはおったとたんに口をついて出たのはさっき転んだ話。おしりが割れました、と言わなかっただけえらいぞ自分。

2020年3月31日火曜日

まだイケる まだまだイケる

うつうつとした気分に追い打ちをかける知らせを食らって、なにかがぷつっと切れた。
どうにもやりきれない気持ちを少しだけ落ち着かせてくれるのは、いつものラジオ。楽しかった週末の生配信を思い出すうちにライトアップされていない桜が一瞬きれいに見えた。
少しだけ時間に余裕のある朝、ふとこの道を行ってみようと思い立って適当に信号を渡る。ここを行けばあの道に出る、ということは今朝は、ずっと気になっていたあの小さなお店の立ちそばをキメてやるぜと意気込んで歩く。
果たしてそこは外観どおりの店内で食券はなく、注文するとのんびりした声のおばさんが光の早さでハイおまたせ、とおそばを差し出す。お祭りで食べるようななつかしいおそばをすすると最後に太いうどんが一本出てきた。


ようやくとりかかった作品は出来がひどくて、焦りを通り越してがっかり。
なにかがぷつっと切れそうだけれど、まだ始まっちゃいねぇよ、って思いたい。