2020年8月24日月曜日

今年もオーバーナイト60㎞

なぜか毎年出ている、みちくさウルトラマラソンのオーバーナイト60㎞。ここ最近の急激な増量に危機感を感じていたところに友だちからのお誘いがあったので参加することに。

前夜は近所の整体へ登場。以前から気になっていて比較的お安いので気軽に行ってみたらこれがもう大当たり。開始直後からマラソン後もお願いしようと決意。
うつぶせで施術をうけたためについた妙な寝癖とむくんだ顔のまま「ニューねこ正」で英気を養う。この日は生牡蠣が最高だった。昆布森というところで獲れたらしいが名前からしておいしいことを約束されたものだ。大会前によくいただく軟骨焼きを美人女将がそっとサービスしてくれた。

新型コロナのせいでマラソン大会が次々に中止になる中での開催ということで主催者側も相当気合いが入っていた。例年は深夜にも関わらず沿道の方々が声をかけてくれたものだけれど今年はピリピリしているのかな、と気を引き締めてスタート。ところがピリピリどころか例年より多く感じる声援と私設エイド。とてもありがたくうれしかった。途中小さな声でランナーに向かってなにやら歌っている男性数人。今なにか歌っていたねと友だちに言うと「サライ」だったよ、とのことで吹きだした。
今回はウルトラ経験豊富な鉄人と月間300㎞走っている伸びざかりのふたりに挟まれて走った。今年は減量目的だし練習していないし完走は難しいだろうと思っていたが、まじめで親切なふたりのおかげで例年より早く翌朝5時頃にはゴール。休憩も多すぎず少なすぎず、ペースも早すぎず遅すぎず、気遣いもありがたかった。しかし箱根湯本への坂道にさしかかった残り3㎞あたりで、ゴール前だし少し走りましょうかと言うやいなや走りだした坂道好きなふたりの背中をうらめしく見て付いていったことだけは繰り返し伝えておいた。

途中つまづいて転んでもなんとか完走できたのは、打ち上げにお鮨が待っていたから。
今回一緒に走ったメンバーは練習会後の食事会にかなり重点を置いていて毎回ご相伴にあずかっているのだが、その中の主要メンバーおすすめのお鮨の店が真鶴にあるという。
真鶴は今は亡きフンド氏の友だち家族に誘われて一度だけ訪れたことがあり、とにかくいい思い出しかない。地名も好きだし小説「真鶴」も好きだ。これはぜひ行きたいと、そのために必死で走ったのだ。

痛むあちこちを温泉で休ませたあと、いざ真鶴へ。
タクシーの運転手さんに店名を告げるだけで通じるそのお店は、毎日労働帰りに通るお店だった。飲食店は数あれど、いつ見ても店内はいっぱいだったのにいつのまにか消えていたので不思議に思っていたら真鶴で開業しますます評判の店になっていたのだ。
すてきなつくりの店内にため息の出るお料理の連続。背筋は伸びるが緊張感を強いることはない。聞いたことのなかったスミヤキという地魚や藁焼きの魚、特にキスの昆布〆のお鮨にはどんな言葉を送ってよいかわからないほどだった。
時間の経つにつれてため息をついては眠気が襲ってきている鉄人を見て笑っていたが、帰りの電車では私も睡魔に襲われ何度も失神した。

2020年8月19日水曜日

いつかあなたに

ここしばらくはRHYMESTERに夢中で、以前あんなに好きだった星野源は疎遠になっていた。
夏休みの前に「ニューねこ正」の美人女将が、BSでやっていた星野源のワールドツアー観た?録画したから今度あげるよと言ってくれたときも、正直断れなくて申し訳なく思っていた。
休み明けからの二日酔いやら激太りやらで酒場を避けていたが、この夜ふらっと寄った「ニューねこ正」に入るなり美人女将が挨拶もそこそこに渡してくれたDVD-Rを帰宅後さっそく再生する。ああ、ニューヨークでもこの曲から始めたんだ、へぇこの選曲だったんだ、とうれしくなった。
桜も桜の季節の歌も大嫌いで、いろいろがよみがえってきて泣きそうになったのでスマホを片手に歌って踊ることにした。
この日は歩数が少なかったからということもあり、涙しながらも歩数をチェックする自分は決してキライじゃないぜ。

すみれのゼリーの思いで

小学生のころに見た、コミックに出てきたすみれのゼリー。
薄いむらさき色のゼリーの中に漂うすみれはため息が出るほどはかなげであったが、これが想像の料理だとわかったのはつくったあとだった。熱いゼラチンを注いだとたん萎れたすみれの姿は今でも忘れられない。

やる気に満ち満ちた小学1年生の姪が考えた自由研究は、絵本に出てくる料理をつくること。
近年よく見かける大人用の絵本の料理ではなく、自分がつくってみたいと思った料理だというから恐れ入った。それは楽しみだね、と他人事のように言っていたらそれを手伝うことになった。
なにも予定のない夏休み、あの頃のすみれのゼリーの供養にもなるかもしれない。

小学1年生の姪が選んだのは「まいごのまめのつる」のとろりとおいしい豆のスープ
それと「こまったさんのグラタン」のグラタン
おはなしりょうりきょうしつ(6) こまったさんのグラタン
そして、なにかの冊子に載っていた、星空のゼリーの3つ。
(この、なにかの冊子に載っていた、というところがなんともいい)

この姪はとにかくやる気に満ち満ちているので、飽きることなくまずはスープとグラタンをつくり上げた。その味は掛け値なしにすばらしく、特に私も子どもの頃から美味しそうだと思っていた「まいごののまめのつる」の豆のスープはとんでもなくおいしかった。待ちくたびれて空腹でソファに倒れていた小学4年生の姪もおいしいおいしいと平らげていた。

翌日はゼリーをつくるのみだったので余裕をかましていたら、これが案外思い通りにゆかず、材料が足りなくなったりゼラチンが固まらなかったり。それでもなんとか完成したそれは本当にきれいなゼリーだった。絵の具の要領でかき氷のシロップを調合するのが楽しかった。

後日親子でまとめた研究結果を見せてもらって、これは、これは、かなりすごいのではないかと伯母バカではなく真剣に思った。
これで自分の料理熱も復活するかと思ったがそうはイカの・・・(自粛)

2020年8月18日火曜日

運命の出逢い

窓の外から雨音。そっとカーテンを開けると夜明けなのに外は真っ暗であった。
どこもかしこも晴れて暑いだろうこの時期、着いたその場所は震えるほど寒かった。
街も電車も動いていない早朝4時。昨年の夏初めて訪れた美術館へ再訪する旅の第一歩で時間を誤ったことに気付いた。でもまあ、どうということはない。
始発電車に揺られて次なる駅へ。幼なじみに貸してもらった本がおもしろくてどんどん進むが気づいたら眠っていた。予定がひとつしかない旅だからこそできるゆっくりした時間がうれしい。しかしこのご時世、長居は無用の日帰り旅だ。
乗り換えの駅の去年と同じ蕎麦屋で朝ソバをキメて、去年と同じくホームを間違えてあわてる。車両が新しくなっていたが、何人掛けの座席であっても向かいの椅子に足を投げ出すスタイルは変わらず。去年いのししを見かけた田んぼのあたりでウトウト。あっという間に最寄りの駅へ到着。
変わらない駅舎を見ながら、しばし駅前で一服。ついにまた来たのだと、からだ中の血液まで喜んでいるのがわかった。まずは美術館へ、日傘がいらないほど涼しい中を歩く。開館直後の誰もいない美術館でこころゆくまで作品を観て、去年は寄らなかったお寺を見たり葛の花の匂いの漂う高台の公園でまちを見下ろしたり魚をながめたりお蕎麦を食べたり。なにもなければ温泉にも寄りたいところだったが、それはまたいつか。
電車に揺られてまたウトウトしているうちに乗り換えの駅に到着。以前お世話になったおみやげやさんはお元気かしらと雨の中覗いてみると、果たしてそこには変わらぬおみやげやさんがいた。
そこで出逢った彼とは長い付き合いになりそうだ。

2020年8月7日金曜日

顔ブローチの出稼ぎ

ブローチ展でお世話になっている壁ギャラリー・宵湖舎さん。先日久しぶりに立ち話した際に、この途方もなく長い夏休みの愉しいイベントを教えてもらった。

アサヒビール本社ほど近くのギャラリーアビアントでの蚤の市。本日8月7日から行われるとのこと。アーティストの方々のお宝や、作家さん作品なども販売されるそう。宵湖舎さんの出品される予定の商品がたまたま店頭に置いてあり、作品は何度も目にしているが大切にしているモノを見せてもらったのは初めてだったので、なんだか新鮮で根掘り葉掘り入手経路を聞いた。その翌日に、現在ブローチ展で置いていただいている顔ブローチを出品してもよいかとのメッセージが。もちろん、よろしくお願いしますと答えた。

みなさまもよろしかったらぜひ。きれいになった隅田公園横の東京ミズマチやすみだリバーウォークをゆっくり歩いてみたい方は特にどうぞ。それは私です。

マラソンレッスンは相当サボっているというのに、ある日突然コーチから飲みのお誘い。こんなときだけふたつ返事。誰が来るのか何人なのか知らされずのこのこ行くと、初対面の男女ふたり。違う曜日のレッスンに出ているという。ふたりともとても楽しい人たちだったのだが、でもどうしてこの場に私が、とコーチに尋ねると、ん~なんとなくとのこと。


コーチはもちろん、初対面なのに感じのよい人たちに気が緩んで2軒めの日本酒のスタンドバーで記憶をなくしたのは言うまでもない。

2020年8月6日木曜日

いってらっしゃい

近所の足場職人さんの事務所のビルに、半年に一度会えるかどうかのねこがいる。
子ねこの頃から、ガラスの扉越しに人差し指を差し出すとコロンと倒れる。
今朝もガラス越しに道行く人を眺めているのが見えたので、そっと近づいて人差し指を差し出したらやはりコロンと倒れ、倒れたついでに全身をつっぱって伸びをした。
ミルクティ色のうすい茶とらの子は、足場職人さんの事務所の事務員かもしれない。紅一点で職人さんたちのアイドルで、2階の事務所から脱走して入口で外を眺めるのが好きなのだ。
ふと視線を感じて振りかえると、クルマに乗りこもうとした職人さんたちが不思議そうにこちらを見ている。どうもどうも、と立ち去ったが、そうか、あの子は職人さんたちを見送っていたのか、と今さら気付いた。

2020年8月5日水曜日

誕生日は終了

ふうふう言いながら宅急便のおじさんがやってきた。幼なじみからの大きな箱を開けると、大きなすいかが鎮座。半分に切っても我が家の冷蔵庫にはおさまらないほどだ。そのほか、なすにししとうにピーマン、ムンクの叫びのような色のトマトに枝豆に、まだまだたくさん。なんてすてきな夏の贈りもの!
あわててすいかを半分に切り「ニューねこ正」へ向かう。
よく冷えているうちにすいかをおすそわけ。ついでに幼なじみの友だちのところで採れたというししとうが、どう見てもししとうに見えないのでそれも持参。
短縮営業が再開になったために閉店間際の雰囲気だったが、顔見知りのご夫婦がいて安心。
商売柄、食べものにくわしい「ニューねこ正」の美人女将も大将も板前さんも、この下原(しもっぱら、というらしい)すいかにはびっくり。そしてなぞのししとうについて尋ねると、食べた方が早いとその場で串に刺して焼いてくれた。新種の激辛唐辛子だったりして、と笑いながら口に運ぶと、見た目はつるっとした小ピーマンなのに味は万願寺に似たとてもおいしいししとうであった。
全然味が違うから食べてみて、と大将が枝豆を2種出してくれた。先日耳鼻科へ行ってよかったと心底思いながら食べ比べてみたら、ぜんぜん風味が違う。それもそのはず、だだちゃ豆と茶豆であった。晩酌はすませていたので満腹だったが、小肌を注文したのは調子に乗りすぎか。禁断の最後の客になってしまった。
帰宅後すいかを小さく切って食べると、幼なじみのいうとおり歯ざわりがよくてすっきり甘くておいしい。これが毎日食べられるなんて、と幸せな気分になったが、いつか無くなる日が来ると思うと悲しくなった。

べつの日。
愛用していた義兄作のお皿がまっぷたつに割れてしまい、適当に補修して使っていたのだがまた割れてしまった。どうしても捨てたくなくて義兄に相談すると、数日後にすばらしく豪華なお皿が届いた。しかも名入り。もったいないが使ってこそのお皿。このお皿に見合う料理を作ろうと決心した。まっぷたつのお皿も再度補修して使うのだ。

またべつの日。
晩酌しながら照ノ富士の取組をしつこく見ていたら妹からメッセージ。大好きな長崎の古着屋さんが立ち退きで閉店するそう。目の前が暗くなり久しぶりにホームページを見てみるも気付くと普通に買いものをしていた。翌日店主からメールがあり、次なる野望に燃えているとのことだったのでうれしかった。私と妹がお邪魔したときに教えてくれた、真夜中のスパゲッティならぬ真夜中のハンバーグが人気のお店のあたり一帯がやはり立ち退きで閉店とのこと。ショックだったがこのお店も場所を変えて営業するというのと、数えるほどしか行っていないお客のことを覚えていてくれたことがうれしかった。
後日届いた商品の中に、うれしい手紙とプレゼントが。これだから調子にのって親近感が湧いてファンになってしまう。

そろそろ今年も誕生日が近づいてきた。
特別感は皆無でなんの感情もなかったが、うれしいことばかりあったのでもういいや。