2022年3月8日火曜日

沈丁花とゲラン

たいした手をかけなくても毎年きちんと咲く沈丁花が今年は青いつぼみのままなかなかふくらまず、心配になって一段高いところに置いて数日。
咲いても咲かなくてもそれがあなたの物語、と「over the sun」で言っていたのを反芻しながら毎朝毎晩見張っていたらついにつぼみが赤らんでひとつふたつ花を咲かせた。この沈丁花はぼっちゃんを見送った帰りに買ったこともあり喜びもひとしお。もう少ししたら一輪取ってねまちにも香りをかがせよう。

労働帰りに寄ったデパートに濃く漂っていた匂いに立ち止まった。ゲランの香水だった。
ゲランの香りは空港の香り。旅立つ前と帰国する前の気持ちがよみがえる。しばらく海外に行く予定はないし行くことさえできないだろうが、この香りがあれば満足できそう。

匂いの記憶はおもしろい。
イメージそのものから他のイメージを生むことはできない(と、なにかの小説で言っていた)が、匂いは記憶と空気を呼ぶ。せつなかったりわくわくしたり。なにより季節を思い出させる。

沈丁花が咲いたらもう春。ねまちには初めての春。
春ってなあに?

2022年3月7日月曜日

羊と矢切ねぎと東京マラソン

ラン友がひとり大阪へ転勤になったため、有志で壮行会。とはいえ今年初めて顔を合わせるメンバーだったので、3月なのに今年もよろしくお願いしますからスタートして限られた時間で羊料理をむさぼりワインを飲んだ。
帰宅後も全身から羊の匂いが消えず、ねまちは近寄ってこなかった。
ああ、やだやだ!

翌日はお花見の下見のつもりで久しぶりに里美公園までLSD。寄り道しておもしろそうな本を手に入れたり古道具屋さんのウインドウを覗いたりしてほとんど歩いて到着。満開の梅の香りを胸いっぱいに吸って河津桜をながめて公園を1周歩き、売店をひやかして小さな階段を下りると大蛇に遭遇。
この辺りでは辻斬りという風習が残っていて、悪いものが入らないように地域の入り口にこのような大蛇をまつるらしい。
おもしろいものを見たついでに矢切の渡しまで歩くとねぎ畑が多いことに気づいた。しばらく地図を眺めて売店のようなものがあったので覗いてみると立派なねぎが売っていた。矢切ねぎといってこの辺りの名産らしい。とても欲しかったがこれほど太くて長いねぎを担いで帰るのは大変なので断念してようやく新葛飾橋を渡る。このままのらりくらりと行けば約30㎞になるけれど、やらねばならないことがあることを思い出してバスにゆられてさようなら。
酒場に行きたい気持ちを堪えてちびちび晩酌しつつ、はさみや鉛筆をねまちに隠されたりしながら翌日の東京マラソンの応援グッズが完成した。まるで保育園の子どもの作品のようだったがまあヨシとしよう。

翌日は友だちとの待ち合わせ場所まで歩く道すがら、交通規制でしんとしたいつもの道路と警察車両や警察官たち、黄色や青の服のボランティアさんたちの姿に気持ちが盛り上がってきた。
2年ぶりに開催の東京マラソン、本当は沿道での応援は禁止だけれどラン友たちが何人も出場することもあって初めて応援のために沿道に立った。最初に通過した車いすの選手の姿に数年前は悪天候で目の前でリタイアする選手が続出したことを思い出して、お天気がよくてよかったね、と友だちと話した。キプチョゲをはじめとするトップ集団は往路も復路も早すぎて、たとえ100m、いや50m全力疾走でもかなわないだろうなぁと思った。(お散歩LSDしかしていないのだから当たりまえ)
子どもがつくったような応援グッズでも少々目立ったようで、通り過ぎるランナーたちがよく見てくれたので応援にも力が入った。エリートランナーの友だちもランステ仲間の友だちもなんとか見つけて復路側に移動したらお久しぶりねのラン友に遭遇。しばし一緒に応援してから東京駅まで歩いて、朝から飲まず食わずで立ちっぱなしだったのでゴール近くで友だちが給食に持ってきたおまんじゅうを頂戴してからちょっと飲んで帰ろうかとワインで乾杯。ちょっとだけね、という約束が守られたことのない私たちは話が尽きずに何杯飲んだのか。息子のような店員さんに親切にしてもらって上機嫌でさよなら。
応援した友だちは全員無事にゴールしてPB更新した人もいた。

それにしても、ゴキブリのコスプレのランナーさんが迫ってくる様はしばらく忘れられそうにない。

2022年2月25日金曜日

RHYMESTER飲みーティング2022

今の生活に慣れたせいで久しぶりの「RHYMESTER飲みーティング」が本当に行われるのかどうか、開始日時が正しいのかどうか疑いつつも、おつまみは粛々と用意した休日。少々作りすぎたが、お気に入りの皿にちょこちょこ盛ってPCも立ち上げた。
始まる数分前に、やはりこの日を楽しみにしていた幼なじみから素晴らしいおつまみの写真が送られてきてやっとテンションが上がってきたら始まった。
この日はMCふたりがスツールに、DJがセンターでソファに座っての珍しいスタイルで、宇多さんからDJ JINへの今日は珍しく下も履いてるんですねのひと言にヤムウンセンを吹き出した。途中のライブも通常のライブでは聴くことのできないレアな選曲。一般人タイムも富裕層タイムも楽しくて幼なじみとのLINEが止まらず、あっという間に終わってしまった。我が家の風景もいつもの風景に戻り、もう一度配信を観るのはまだもったいなくてライブ映像を観ようとBlu-rayを立ち上げようとするもねまちがソケットを抜いたらしくウンともスンともいわないのでおやすみなさい。
4月のCLUB CITTA'、なにがなんでも行くわ!
(ねまちは1歳にも満たないから入場できないけどね)

2022年2月21日月曜日

お昼をはしご

先日見かけた駅のホームのラーメン屋さんがどうにも気になり、歯医者さんの後に猛然と向かった休日。
電車に揺られてあっという間に到着。マスクをしていてよかったと思えるほどにやにやしながら注文して細長い厨房を観察。隣の方はラーメンにご飯を頼んでおり後から来た方はカレーライスの大盛りにゆで玉子2個。どれも気になってじろじろ見ているうちにワンタン麺登場。マッチ棒の先ほどの肉の入った大きなワンタンがどうにも好みで厨房のママたちを観察しながら懐かしい味のラーメンを美味しくいただいた。
ここまで来たのにお詣りもせずに帰るのもナニよねと、ちょうど来た電車に乗って西新井大師へ。なんともいい雰囲気の参道を何度も歩いてからバスに乗った。以前、まじめにランをしていた頃に通りかかって気になっていた喫茶店で2度めのお昼ご飯を食べるのだ。

お腹はまったく空いていなかったが、おじいさんひとりでまわしているそのお店で久しぶりにゆっくり本を読むことができた。懐かしい味のミートソースに気分がよくなって追加で頼んだ食後のコーヒーもとても美味しかったし、店主のおじいさんはとっても素敵だった。洗いざらしの白いのれんも恰好よかった。
朝食こそ食べなかったがお昼を2度も食べて満腹だったのであちこち歩いているうちに懐かしい通りに差しかかった。感傷に浸りながらもいい時間だったので、うっかり酒場に向かってしまった。
ふぅん、うっかりねぇ。

2022年2月14日月曜日

歯が欠けたはなし

ウェアに着替えたのに走りに出なかった休日。その晩「ニューねこ正」の常連さんにおすすめの神社を教えてもらったので、走って行ってみようと翌朝は張り切って仕度した。張り切りついでに歯みがき後に歯間ブラシを使っていたら前歯で引っかかって何かがポロリ。歯が折れていた。折れたというより抜けたに近いほど大きくポロリ。頭の中を〽️オレのな~に~かがポロリ~とスピッツのメロディーが流れた。
歯医者さんに留守電を入れて、午後の診療まで時間があるのでとりあえず走りに出かけた。
ほぼ空っぽの歯を何度も舌で探りながら目当ての今戸神社に到着。ここは縁結びの神社でねこのお守りや絵馬が多く、白ねこさんに会うと良いことがあるんだって、と若いムスメさんたちがはしゃいでいたが心ここにあらず。ぼんやり境内を歩いて裏の出口に向かうとひどい寝癖のおじいさんがしゃがんでおりチラリとこちらを見た。何をしているのか後ろから見ると果たしてそれは白ねこにカリカリをあげているところであった。
あっけなく白ねこにも会うことができたがぼんやりしたままランを再開、名前が気に入っている素盞雄神社でおみくじを引いたら大吉であったが大吉を引いても歯は折れている、と心は踊らず。
時間は迫っていたが、最後の診察でもいいやと以前から行きたかった西新井大師へ向かった。昔見つけて後日迷子になりながら行った喫茶店や気になる洋服屋さんなどを横目にやっと到着。遠かった。遠かったが西新井大師はとてもよい雰囲気で出店も楽しそう。帰りにじっくり見ようとお詣りに向かうと電話が鳴った。歯医者さんからであった。
留守電を聞きました、今日はこの時間しか空きがないんですけど来られますか、と訊かれて時計を見るともう余裕がない。せっかく来た西新井大師、でも歯とどちらが大切なんだと葛藤して予約を入れてもらった。目の前に神社はあるけれど時間はなく、出店にも後ろ髪を引かれたがグッバイ西新井大師。また改めて来ますよ、とがっくり駅へ向かった。
途中乗り換えの駅のホームにとてもいい雰囲気のラーメン屋さんを発見してこちらもかなり気になったけれど時間がない。次回ここに来たら必ず行こうと心に決めた。
折れた歯は先生も途方に暮れるほど少ししか残っておらず、幸か不幸か神経は生きているとみえて応急措置で「盛って」もらった。歯にも「盛り」ってあるのだなぁ。
翌日会った友だちに、マスクを外してにっこり笑ってみせたら吹き出した。あと何人の友だちに見せたら元を取れるのかと考えた。
元って、なんのことよ!

2022年2月10日木曜日

LSDではなくSSD

月に何度か友だちとLSDをしているが久しぶりにソロで走ろうとひとまずウェアに着替えた休日の朝。
そういえば用事があったのでランウェアで軽く走って向かう。用足しが済むと眠くなったがせっかく着替えたのでのろのろ出掛けた。
先日の友だちとのLSDは久しぶりに30km近く走ったのでこの日もせめて20kmはキメたいところであったが途中で気が変わって銭湯に向かった。というより銭湯で温まりたかったのであらかじめ着替えは持参して走っていたのであった。
以前酒場で隣り合ったランナーがとてもいいと教えてくれた銭湯。ランステとしても利用できるらしい。熱めのお風呂はとても気持ちよくて、脱衣所では髪を乾かすおかまが現役で活躍していたので頭を入れて髪を乾かしたら角度がよくなかったようで七三分けになった。
お風呂どうでしたか、と番台さんに訊かれたのでとても気持ちよかったですと応えてふと見ると志摩ノ海のサインを発見。日付はつい数日前のものだった。あのサインは、と訊ねると部屋が近いからよくいらっしゃるんですよ、他のお相撲さんたちもよくみえます、とのこと。昔は伊勢ヶ浜さんとかね、宮城野部屋があそこにあったときは宮城野部屋のみなさんも、そうそう、徳勝龍関が優勝したときはここのサウナで彼の地元のTVがインタビューもしたんです、と嬉しそうに話してくれた。次回はサウナに入ろうと心に決めて帰宅。

このような日こそ「おいてけ堀」でしょう、とお店の空いていそうな時間帯を狙って向かうとお久しぶりねのみなさんがいらしたので新年のごあいさつをしてひとごこち。

しかしその後、ごめんね、つくね終わっちゃったのよとママに言われて目の前が暗くなった。(私はつくねばかり食べることで有名らしい)
たまにあいさつをするご夫婦と隣り合わせて世間話を始めたらこれがもうおもしろくて、通称・囲炉裏席の大テーブルの全員で愉しく盛り上がった。

今はまん防中であるのであっという間にラストオーダーの時間。そこで欲張ってホッピーを2杯お願いしたら、ごめんね、ホッピーあと1杯で終わりなのよとママに言われたのでその1杯を大事に啜った。
ケケケケケ!
タマミの言うこと聞かなかったからよ!

2022年2月6日日曜日

久しぶりのさんぽ

出歩くなと言われると出歩きたくなる、出掛けてもよいと言われると出掛けたくなくなるへそまがりが発動。
労働に向かう途中に立ちよった厄除けと強運の神社へ改めてお詣りして今はお休み中のお蕎麦屋さんの代わりに別のお蕎麦屋さんで紅しょうが天そばをすすってから(とてもおいしかったけれどあの暗黒汁に太いそばが恋しい)「サロン・ド・こけし」のオーナーに教えてもらった「楳図かずお展」へ。
お天気がよい日で六本木ヒルズの展望台での展覧会だったために、現在の状況に重なる重たいテーマと素晴らしい絵に気持ちが圧倒されるたびに眼下の都心の風景に見入って落ち着いた。
それでまた飲みに行って女将さんとでれでれ相撲話をしてきたのね。