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2022年2月10日木曜日

LSDではなくSSD

月に何度か友だちとLSDをしているが久しぶりにソロで走ろうとひとまずウェアに着替えた休日の朝。
そういえば用事があったのでランウェアで軽く走って向かう。用足しが済むと眠くなったがせっかく着替えたのでのろのろ出掛けた。
先日の友だちとのLSDは久しぶりに30km近く走ったのでこの日もせめて20kmはキメたいところであったが途中で気が変わって銭湯に向かった。というより銭湯で温まりたかったのであらかじめ着替えは持参して走っていたのであった。
以前酒場で隣り合ったランナーがとてもいいと教えてくれた銭湯。ランステとしても利用できるらしい。熱めのお風呂はとても気持ちよくて、脱衣所では髪を乾かすおかまが現役で活躍していたので頭を入れて髪を乾かしたら角度がよくなかったようで七三分けになった。
お風呂どうでしたか、と番台さんに訊かれたのでとても気持ちよかったですと応えてふと見ると志摩ノ海のサインを発見。日付はつい数日前のものだった。あのサインは、と訊ねると部屋が近いからよくいらっしゃるんですよ、他のお相撲さんたちもよくみえます、とのこと。昔は伊勢ヶ浜さんとかね、宮城野部屋があそこにあったときは宮城野部屋のみなさんも、そうそう、徳勝龍関が優勝したときはここのサウナで彼の地元のTVがインタビューもしたんです、と嬉しそうに話してくれた。次回はサウナに入ろうと心に決めて帰宅。

このような日こそ「おいてけ堀」でしょう、とお店の空いていそうな時間帯を狙って向かうとお久しぶりねのみなさんがいらしたので新年のごあいさつをしてひとごこち。

しかしその後、ごめんね、つくね終わっちゃったのよとママに言われて目の前が暗くなった。(私はつくねばかり食べることで有名らしい)
たまにあいさつをするご夫婦と隣り合わせて世間話を始めたらこれがもうおもしろくて、通称・囲炉裏席の大テーブルの全員で愉しく盛り上がった。

今はまん防中であるのであっという間にラストオーダーの時間。そこで欲張ってホッピーを2杯お願いしたら、ごめんね、ホッピーあと1杯で終わりなのよとママに言われたのでその1杯を大事に啜った。
ケケケケケ!
タマミの言うこと聞かなかったからよ!

2021年1月6日水曜日

知ってか知らずかいやんばかん

新年初酒場はいつもの「おいてけ堀」。
縄のれんをくぐると先日2軒目でステーキ屋さんへ行った仲間とそのママ友さん。あいさつをしてしばらく座っていないお花の前のカウンター席に向かおうとするとテーブル席にいつものご夫婦と飲み友だちもいたので、なんだかんだで宴会の始まり。途中、誕生日も年齢も同じの、やはり先日ステーキ屋さんへ行った強者も参加して大宴会に。この方、生まれた時間が私より約2時間早かったらしいので先輩風を吹かせまくって嵐のように帰っていった。
その夜は、その晩飲んだみなさんと大きなお風呂屋さんへ行った夢を見た。
洋服を脱いでいざお風呂へ、のしのし歩いてまずは女風呂を通る。早くみんなのいるお風呂へ行かなければと思ったが思いの外広い女風呂を歩くうちに面倒になって女風呂に落ち着く。と同時に、あれ?私はこれまで友だちと混浴風呂に入っていたのか?とふと疑問に思った。混浴なんてしたこともないのに。

2020年12月28日月曜日

走り納めはいちごトレイル

友だちに誘ってもらって、大好きなマザー牧場でのいちごトレイルへ。女子力の高い友だち(男性)が全て手配してくれたはとバスで快適に出かけた。

朝日のまぶしいアクアラインを抜けてマザー牧場に到着すると小さな茶色のアルパカが出迎えてくれた。しかしアルパカはおしりをなでると臭いツバを吐くらしいので見るだけにしておいた。
ウッドチップでふかふかしている上に心臓破りの急坂まである起伏に富んだコースを本来は4周して計20km走るのだが、給水所でお目当てのいちごを食べたらあんまりおいしくて大きいの小さいのを交互に食べて友だちみんなと合流すると止まらなくなり、ねえシープショー見たりこぶたレース見たりしたいよね、ジンギスカンもゆっくり食べたいよね、せっかくマザー牧場に来たんだもんと意見がまとまり1周で終了してまたいちごといちごケーキをいただいて途中離脱。

レース前のこぶたのかわいさに魅了され、羊のショーではマイペースな世界中の羊の紹介のあとに、汗だくのお兄さんにまったく協力せずに毛を刈られてヤギのように変身した羊のあまりのやる気のなさに大笑いして、菜の花畑を眺めてから暖かいコテージでゆっくり着替えてジンギスカン。ビールで乾杯してワインまで飲んでおいしい野菜と肉を食べているうちに出発の時刻に。時間泥棒が現れたらしい。
それから満腹でバスに揺られてお風呂に到着。
海を眺めながら気持ちよく湯に浸かっていると周りにいた人たちがいなくなり出発の時刻が近づいていることに気付く。ここにも時間泥棒が現れた。
はとバスのガイドさんの声に目覚めると窓の外には東京タワー。なんて完璧な1日だったんだろうとみんなでチョコレートドリンクで乾杯してよいお年を。
5kmしか走っていないのと温泉に浸かったおかげで疲れもなく、楽しい休日だった。
怒涛の年末に向かう前に、いつまでも起きていた師走の夜。

2020年9月7日月曜日

予定のない日は すべすべ温泉へ

「ニューねこ正」の美人女将に借りた「鬼龍院花子の生涯」を見終わった。三度に分けて1週間かけて観たが正解だった。濃度が高くていっぺんに観られないから。
仲代達矢の顔が目に焼き付いて離れない。まぶしいほどの夏目雅子はもちろん、美しい岩下志麻に夏木マリに、花子の顔も。

後日美人女将に報告しに行くと、今度はショーケン関連のDVD-Rを渡された。いつかは通る道と思いながらちっとも通って来なかった若き日のショーケンに、ついにお目にかかることができる。

思いきって枡酒をもう一杯お願いしたのはこの日初めてお目にかかった北海道のほやのせい。ちょうど帰り道で「ウィークエンドシャッフル」の泥水特集を聞いていて、RHYMESTERが初めての地方イベントに向かう東北新幹線のデッキで酒盛りを始めて〽ホ~ヤ ホヤホヤと浮かれてへべれけで到着し、その後・・・という話を聞きなおして笑いを堪えて歩いたところであった。
今まで食べていたのは東北地方のものでそれはそれでおいしかったが、北海道のほやはまったくの別モノでびっくりした。へべれけで帰宅して、楽しみにしていたCreepy NutsのMステ初出演を観たはずなのに記憶が断片的だったのが悔やまれる。

特に予定はなかったがこの日は一日お風呂に浸かろうと決めていた。
落語の「らくだ」に出てくる棺桶のような自宅の浴槽ではなく、広くて静かで長居できるお風呂。
久しぶりの「すべすべ温泉ねこぞの」はぐっと大人の雰囲気になっていた。
最近お気に入りの高炭酸風呂では自分の手脚についていく泡を気持ち悪いと思いながら飽きずに見て、露天風呂ではひょうたん型の天井から雲ひとつない空を眺めた。途中岩盤浴でうとうとしているうちに、暑いのになぜわざわざ熱いところで寝ているのかと疑問が浮かんだが気づけばまた高炭酸風呂で腕の泡をじっと見ていた。
身も心もすっきりしてねこぞのを後にしたが、すべすべマッサージを受けるのを忘れていたことに気付いた。日々がんばっている自分にご褒美ならばリベンジしたいところだが、まったくふざけた毎日をおくっているので特に悔しくはなかった。

2020年6月9日火曜日

ホストクラブの楽しみかた

コロナがいよいよ深刻になる手前に会ったきりの友だちと長電話。
出るわ出るわ愚痴と不安。よく喋る。聞いてほしい話があったが聞き役に徹することにする。

話は行ったりきたりで結局コロナ。そして話はコロナからホストクラブに。先日久しぶりに電話で話したフンド氏の従兄弟ともホストクラブの話題になったが、互いに行ったことも行く予定もないのでその話はすぐに終わったことを言うと、私は若いころよく行ってたよ田舎のホストクラブ、との衝撃の言葉。
彼女とホストクラブがまったく結びつかず、よく行ってたってことは愉しかったの?何を話すものなの?と訊ねると、説教だよ、のひとこと。説教?ホストクラブで説教?

私にとってのホストクラブは「すべすべ温泉ねこぞの」と
「おいてけ堀」。
どちらもホストはねこや犬だが、すばらしく美しいホストたちが手厚いおもてなしをしてくれるのがたまらない。おさわりOKだから、たまにマウンティングされるのも許す。実生活でもマウントをとられてばかりだとねこや犬にもわかるのかなぁ、などと無駄にへこむのはやめて今宵もホストクラブへ行こう。

2019年12月5日木曜日

あれは、夢?

那覇に到着した日に友だちのお姉さんに連れていってもらった沖縄そばのお店がおいしくて忘れられず、翌朝はひとりバスに乗って本店を目指した。那覇でも朝ソバ。
独特のつくりの家々や玄関先のシーサー、石敢當や珍しい花などを眺めながら相当歩いて港に到着。ここで道を間違えたことに気付いて踵を返し歩を早めた。前日のフルマラソンで筋肉痛だったはずだが、これから食べるおそばのことを考えたらまったく気にならず。
(土俵そばもいいけど沖縄にいたら、ねぇ)
目当てのお店は開店前だったにも関わらず、どうぞと言われておそばにありつくことができた。
苦手なはずの角煮も三枚肉も不思議においしくて、つゆまで飲み干して大満足。だったのに、バス停へ向かう途中で見つけたファミリーマートならぬファミリーマーケットでカップに入った生の沖縄そばを発見して小さいほうを手に取ってしまった。つゆは大きなタンクに入っており、蛇口をひねって適量かける。満腹だったのにホテルに戻って立ち食いした。
(土俵そばもいいけど沖縄にいたら、ねぇ)
友だち姉妹に迎えに来てもらって前日のマラソンコースを車でたどる。ここでYMCAやった?とかここは辛かったね、などとしみじみ景色を見る。マラソン大会でどこを走ったかなんてほとんど覚えていないものだけれど、今回ばかりは覚えている。とっくり木綿という木の花が満開。花が終わるとふわふわの綿があちこちを飛ぶらしい。見てみたいなぁ。

しばらく山道をのぼって着いたのは、言葉を失うほど絶景のお風呂。
窓全面に空と海が広がり久高島を望む高台のお風呂で口を開けたまま、ちょうどいい湯加減の茶色い湯に浸かる。実はマラソンのためのスポーツブラを忘れて普通のブラで完走したためにものすごい傷だらけだったので温泉に多く含まれる塩分が沁みた。
ここは友だち姉妹の母親が住むまち・南城市。那覇マラソンの翌日は必ずここで湯に浸かってストレッチをするらしい。いつまでも眺めていたい風景だった。
それから山を下り、ねこ島とも呼ばれる奥武島へ。
駐車場で車を下りると、ねこたちが思い思いの場所でくつろいでいた。万年ねこ不足のため、せめて目からねこを吸収しようと眺めていると、大声で鳴きながらこちらへ来るサバねこ。脚にすり寄り、靴の上でどすりと寝て前足でフミフミを始めた。
ぼっちゃんに少し似ていて妙な気を起こしそうになるも我慢。前の晩もシャムねこにナンパされて膝をフミフミされて変な気を起こしそうになった。ろくろ首になるほど後ろ髪を引かれたが、実は今もまだ引かれている。

奥武島から浜辺のカフェに向かう下り坂にさしかかるところで、ここ、ここ見てほしかったの、と友だちに言われて前を見ると、それは見たこともない天国のような景色。ニライカナイへの道という名前の道は、小さなトンネルを抜けると空なのか海なのかわからない景色が広がっていた。言葉を失って見入る。
こんな景色初めて見たよぅ、とまぬけ面で言うと、ここを走るマラソン大会もあるよと彼女の妹が言った。

到着した浜辺のカフェはこれまた信じられないほど贅沢な風景を見ながらのんびりできる場所。友だち姉妹のお気に入りの場所とのこと。こんなすてきなところを知ってるなんて、と改めて姉妹に畏怖の念を抱く。
そういえば那覇に到着した日に彼女のお姉さんに連れていってもらった瀬長島もそうだったが、とてつもなく美しい場所の中でみんなお気に入りの場所を持っているのが本当にすてきだなぁ。
珊瑚でできた海岸を散歩しておみやげを拾って、だんだん言葉少なになる。今度ここに来るときにはもっと勉強してこよう。

2019年11月18日月曜日

スキマだらけでアソビだらけでユトリだらけで流れ任せでいこう

近所の友だちと毎度おなじみの酒場へ登場。
その晩は初対面のひとと三人。
いささか緊張したはずだが、途中からピッチとテンションがアガッて何十杯飲んだのか、女将にたくさん飲んだわね、と言われた。かばんの中にプロテインバーが入っていたのはなぜなのか。

翌朝はのんびりLSDをするつもりだったが眠くて起きられず。こんな日もあるさ、と開き直りあと少しで読み終わる小説を開き、平三さん(主人公)にお付き合いする。

念入りに支度して向かったのはRHYMESTERのライブ。
フロア中央のど真ん中でクアーズを舐めながらかすかなSEに耳を傾けていると、照明が落ちSEの音量が大きくなるにつれて歓声が大きくなるあの大好きな瞬間がやってきた。

先月の松本でのライブとまた違ってこの日のライブは現在からデビュー当時へさかのぼっていくセットリスト。
いつもゆるく聴いていたあの曲のリリックが刺さり、この日特に力が入っていたという照明に照らされるメンバーが神がかり的にカッコよくて涙と汗が吹き出したがゲストのKOHEI JAPANの「涙が止まりません」には脱力。
体感時間30分ほどでライブが終わり現実の世界に戻ってゆくあの時間がやってきた。さあ帰るか、と出口に向かおうとすると耳に入ってきた靖幸の声。「マクガフィン」だ。
この曲を聴かずに帰れるわけがない。足を一歩踏み出したまま静止して最後まで聴いて幸せな気分で帰途についた。

その翌日はまったく練習できていなかったマラソン。「銚子さんまマラソン」へ。
早朝の電車から見えた朝焼けがきれいで、大好きな千葉へ行けるのもうれしくて気分がアガる。
いわしのつみれ汁で舌を焼き、今回は音楽を聴きながらいつもより気楽にスタート。つらくなると「予定は未定で。」のリリックを思い出してペースを落とし、かわいい犬が応援に駆り出されているのを見ると色目を使い、暖かな日差しを浴びてきれいな海をながめてのんびり走る。さんまマラソンなので頭にさんまをつけて走っている人もちらほらいて、その後ろをかつおが追っていく。かつお、がんばれ!の声援に、さんまだけに早いんですよ、とかつおがぼやきながら走っていくのも楽しい。
結局今年もさんまは食べずじまいだったが、完走後のトマトが美味しくて18個も食べた。
この日2杯めのいわしのつみれ汁と犬吠ホワイトでおつかれさま。

のはずが、この日は友だちのご主人がいいところへ連れていってくれるということで、今年はマラソンに出られなかったご主人のクルマに乗り込む。快適だ。これだけでも快適なのに、そうだこれ開けて、とクーラーボックスを渡される。中には缶ビールがぎっしり。友だちは下戸だしご主人は運転があるので恐縮しながらいただく。快適だ。これだけでも快適なのに、去年三人で行った銭湯まで連れていってくれた。
番台のおじさんも、電気が感じられない電気風呂もそのままでうれしくなった。本当は今年もここへ来たかったのだ。
文句なしにさっぱりして下足箱から靴を出すと、すごいタイミングでご主人カーがやってきた。快適だ。これだけでも快適なのに、そこの神社の近くにいいお店があって、とまだ熱いおでんと焼きそばを渡された。好きなものばかりな上においしくて、さらにご主人から聞くその神社とお店の話がおもしろくて、今度はマラソン抜きで来ようと決意。

対向車があったらどうにもならない細い山道をくねくねのぼって下りると、谷合に広がる田んぼとそこの小川で釣り糸を垂れる人たち、それと小さな看板。
着いたのは、松山庭園美術館。

広い敷地内には展示室や喫茶スペース、茶室などもあり、オーナーの作品が意外にアバンギャルドで、それがここの特別感にぴったりだった。
紅葉が半分ほど始まっていて、こまめに打ち水していると思われるきれいな庭園は森閑としている。不意に現れるねこたちはみな毛並がよくて機敏でほどよく人馴れしており、大事にされてるんだな、とわかった。
なのに写真を撮る習慣のない私はこんな写真しか撮っておらず。

友だち夫婦は夫婦そろってステキなひとだが、それにしてもこんなすてきな場所に連れてきてくれるとは。訪れた季節も時間も、このときが一番よかったのではないかと思われた。おみやげに小さなモミジの葉を拾った。

駅でご主人カーを降りるとき、感激しすぎて通りいっぺんなお礼しか言えないでいるとご主人は、そうだこれ持っていったら、と冷えた缶ビールを渡してくれた。飲んじゃうから荷物にはならないでしょう、と言われ、よくわかってらっしゃる、と唸った。
周囲によい人たちが多すぎて、どうやってお礼を言ったらよいのか、どうしたらこの気持ちを伝えることができるのか、惑わないはずの40も後半なのにわからない。
初めて来たまちの夕焼けを見送りながら3本めのビールを開けた。そういえばこの日はハーフマラソンを走ったのだった。

2019年11月12日火曜日

時は流れるが戻るすべはなくはない

それは、じわじわとやってきた。
お風呂にためていたお湯があふれるように少しずつ、
毛糸がセーターになってゆくように少しずつ、
季節がいつの間にか変わるように少しずつ、飽きの気配がやってきた。


いつかはこの日が来るだろうと思っていた。
走ることが楽しくなくなったから仕方ない。
熱しにくく醒めやすいわりには長く続いたじゃないのと、無理をするのをやめた。それでもイベントごとはまだあるが、これはもう粛々とこなすしかない。

またいつか、散歩のように走りたくなったら再開しよう。

2019年11月11日月曜日

スカイツリーと東京タワー

夜の甘夏書店へ件のブックカバーを納品した帰り道。
目の前にはスカイツリーと満月。
こんな晩はしみじみ飲みたい、ということでフンド氏のお父さま行きつけのお店の暖簾をくぐる。
禁じていた熱燗も、こんな夜には解禁でしょう。
こちらではこの時期、牡蠣のオイル焼きのあるかなしかが季節の変わり目となる。
入手したZINEを読みながら、胃の腑に染み渡る菊正宗。しかし酔ってはいられなかった。
翌日は、月末のマラソン大会に向けて姪が合宿にやってくるからだ。しかも今回は下の子も初参戦。

当日は、姉妹お揃いのスエット上下で張り切ってフンド氏邸を訪問。行こうって言ってくれるんだからありがたい。ええ子たちだ。
それからのんびり歩いて公園へ向かうも、ビタイチ走っていないことに気付く。
夜は姉妹ご所望のどじょうのから揚げを求めて「ニューねこ正」へ。
自分の好きな酒場へ姪姉妹を連れて飲みに来る日が来ようとは。飲んでるのは自分ひとりだが。
お腹を満たしたらやはり姉妹ご所望の銭湯へ。
日本酒風呂ではなくローズヒップ風呂で温まり、風呂上りは牛乳と瓶コーラでキメる。

よふかししたくてもできない幼い姉妹の寝相の悪さに笑いを堪えながらいつもの本の続きを読んで眠りに落ちた。

フンド氏がいなくなって以来、ひさしぶりにまともな朝食をつくった翌朝。
びろびろベーコンに目玉焼き、そして「ニューねこ正」でいただいたメークイーンがおいしかったのでそれも添えて。じゃがいもをフンド氏にもあげようよ、と姉妹が提案。ええ子たちだ。

この日ははとバスに乗ると決めていた。
オープンエアの2階建てのはとバスで都心をぐるっと回る。妹の方は風邪薬が効いて爆睡していたが、姉は静かに楽しんでいてくれたようでよかった。
東京タワーの色は赤ではなくインターナショナルオレンジであると初めて知った。

この日の昼食は万世に行くと決めていた。
白いシャツをぱりっと着た店員さんがワゴンでステーキやハンバーグを運ぶ、なつかしいファミレスのような雰囲気が好きだ。
肉食姉妹は大人仕様のメニューをぺろりと平らげた。
そういえばこの時間までビタイチ走っていないことに気付く。形ばかりでも走らねば、と隅田川のあちらがわに渡って吾妻橋までのんびり歩く合間に少し走る。

夜は妹夫婦と甥と合流して宴会。
しかし子どもを育てるってのは大変なことだなぁ、よくぞここまで育てたなぁ、と心から感服。
保護者がいるおかげで気が緩んで、気持ちよく酔った。

2019年9月25日水曜日

デビルズカットと天使の分けまえは似て非なるもの

幼なじみが教えてくれた山間の秘湯・通称「天国」はわけあって今月いっぱいで閉めることになった。それが悲しくて、どんな顔して幼なじみに会ったらよいものか、と考えていたが、顔を合わせればマシンガントーク。
ぶどう園で藤稔やブラックビート、安芸クイーンにナガノパープルなどを思うぞんぶん食べて天国へ。
久しぶりの天国は雨に濡れていた。
雨でも晴れでも天国は天国。家族にも場所を明かしたくないほど素敵な場所なのだ。
ホストのすーちゃんに接待してもらって、ドンペリならぬ鹿ジャーキーを貢いだ。お料理もやっぱりおいしくて、この時間がもう味わえないなんて考えられなかった。豪快に笑うあのひとの不在もたまたまとしか思えず、これからもまた幼なじみに頼んだら連れていってもらえる気がする。とはいえ去りがたくて、2時間ほども風呂に浸かったり、風呂上りに大相撲をTV桟敷で鑑賞したり、気付けば最後の客になっていた。


翌日は、毎年恒例となったウィスキー&ビアキャンプ。
以前、花見という名の日本酒の新酒発表会でともに長野日報の一面を飾ってしまった酒友だちのイタリアンマフィアの運転で、幼なじみにとともに一路スキー場へ。
イタリアンマフィアは常に笑顔を絶やさない、とてもすてきな家で好きなものに囲まれて暮らしているダンディなひとなのだが、たまに姿が見えないと、誰か殺りに行ってるのかな、などと不名誉な噂をされてしまうワイルドな風貌を持っている。この日も日焼けした顔にサングラスが似合いすぎていたが、実はシードルのためのりんご畑で日焼けしたなんて誰も信じないだろうな、とぼやいていた。

山の天気は変わりやすいというが、ここまでとは、というほどころころ変わる陽射しと風。それでも晴れ女の幼なじみのおかげで雨に降られることはなく、珍しいウィスキーを舐めたりクラフトビールを飲んだり。おいしいお酒ばかりだったが、特に印象に残ったのが、キューバ革命以前のラム。
私の知っているラムとはまったく違う、ヴィンテージな味。ちびちび舐めては香りを嗅いで、飲み干したあとのグラスの匂いでしばらくうっとりした。
音楽をテーマにした、見たことのないウィスキーもずらり。
これらはワンショットずつお土産にできるというので、迷わずHIPHOPを選んだ。


ここのところ、お酒がおいしく思えなくなっていたのに、この旅でいっぺんに回復した。
翌日は全身からウィスキーの匂いがしたほどいろんなお酒を飲んだけれど、おいしいおつまみとゆるい雰囲気で愉しく酔った。運転免許を持っていないために、毎回このふたりにお世話になってひとり気楽に酔っているのが申し訳ない・・・
でもやっぱり運転免許はとらない方がいいと思いますよ。

2019年8月20日火曜日

会津柳津ひとり旅

西へ向かうときは東京から、北へ向かうときは上野から。

いくつかある不文律に従って、夏休み突入前夜はフンド氏の父上行きつけの店で一杯。
「相撲茶屋さばねこ」に不文律はビタイチないが、生まれ故郷が会津である父上が行きつけだった店にいるだけで、会津旅の気分が高まるってもんよ。

数時間後に夜行バスに乗り、うとうとしているうちに郡山へ到着。
顔を洗って顔面をつくって会津若松へ。調子にのって会津若松駅で朝ラーをキメて、ついにあこがれの只見線に乗り込んだ。

今回はフンド氏の父上の生まれ故郷をたどる旅ではなく、先日見た展示で出逢った木版画家・斎藤清氏の美術館に行く旅。思い立ったら行ってしまおうと、強行したのだ。

只見線の車窓からは、私の田舎に似た田園風景が広がる。ぼんやり眺めていると、田圃から突然いのししの子が現れた。
通路を隔てた隣席の中学生に倣って靴を脱いで向かいの座席に足を投げ出し、途中から並走する只見川に見入っているうちに、目指していた会津柳津駅に到着。
しばし鄙びた駅舎を観察したのち、お手洗いの前でもがいていたくわがたを救助して坂道を歩き始めた。
「メンキー&ノンキー」でみつけたワンピースで気持ちだけめかしこんだこの日。
強い日差しの下、日傘を差して大きな只見川を横目に歩き進むと、すぐにおめあての斎藤清美術館に到着。
ぱりっと清潔な暖簾をくぐって中に入ると、窓の外には只見川や山や田圃がひろがり、いっぺんにここが気に入った。作品を見る前にしばし館内を見て歩く。

目的だった木版画の数々はそれはもうすてきだった。
晩年の作品である会津の冬景色は何点もあり、暖かい家の中から雪深いこの地をながめているような気になった。かこさとしさんにも感じることだが、絵を学んでいない人ならではの巧さと味があふれている。
その後立ち寄った彼のアトリエで窓から見える作品そのままの風景に驚き、またアトリエの持ち主であった彼の従姉妹にあたる方のていねいな暮らしぶりや毎日の食事、綿々と続くこの地の人びとの暮らしなどを聞いて、再度美術館に戻りたくなったがおなかも空いた。
会津柳津は、たいていの場所は徒歩で行けるのに見どころの多い不思議なまち。温泉街もあるがこの旅はゼロ泊なので時間がなく、足湯に入ったり魚渕でうぐいをながめたり、この晩おこなわれるという大きなお祭りのために町中がわくわくしているのを感じながら町なかをほっつき歩いたりしているうちに時間がきた。
そばでも食べたかったが時間がなく、通りすがりの商店でメンチコロッケと缶ビールを手に入れて駅へと急ぐ。途中、この地の名物であるあわまんじゅうをお祭りのためにフル回転でつくる湯気に誘われて、それもひとつ。
両国名物「両国の恋人」に負けず劣らず、見ため以上においしいメンチコロッケとあわまんじゅうに、次回は必ず泊まりで来ようと、後ろ髪を引かれすぎて首がもげそうになりながら帰りの電車に揺られた。

2019年7月17日水曜日

筋肉痛はいつくるの

ある晩帰宅すると、家中が覚えのない香りでいっぱいだった。
秘密の会合で肉を食べに食べて食べ倒してきたあとだったが、全身についた肉のにおいが負けるほど色気のある香り。こんな香りのもの持っていたっけ、と香りのもとを探すと、それはよく熟れたすももと友だちからもらったシナモンだった。


夕方18時に横浜を出発、夜通し走って箱根湯本に翌朝ゴールする、というイベントに参加した。
「しとしとぼっちゃん」の傘なんてあってもじゃまなほどの、豪雨の中を走った。
どうかしてる、と気付いたのはすべて終わって帰宅し、洗濯機を回しているときだった。

本当はゴールしたら即帰りたかったが、くさいのを通り越して最&高にくさくなったこのカラダで始発電車に乗るわけにはいかず、みんなで温泉へ。
昨年は日焼けを気にしながら入ったこの露天風呂、今年は霧雨を浴びながら気持ちよく浸かり、ともに走った仲間たちと痣を見せ合って労をねぎらった。

午前中の電車の中で飲んだビールはじっくりおいしくて、当然眠気を誘うものだった。今が何時なのかここはどこなのか、話していないと脳が溶けだしそうで、とにかくよくしゃべった。筋肉痛はまだ、なかった。



帰宅したらいい香りがした夜の、秘密の会合のこと。
年齢も仕事も立場もいろいろ違う異色のメンツが、近況報告をしながらステーキを次々に平らげる。デザートを食べる段になって話が盛りあがり、あと一軒、あと20分だけ行こう、と夜の喫茶店へ。
こんな時間にコーヒーを飲むことは珍しいが、正直者の集まりなので酔って適当に話すのもナニだ。言葉を選ばず、思ったことをシンプルに伝え合うのは気持ちがよい。


要するに
自分が大切にしていることに土足で踏み込まれると、いくら温和な我々でも怒るよね、という結論に達し、さわやかにお別れした。


そういえば
夜通し60㎞走ってゴールした翌日も練習会で走った。どうかしてる。
筋肉痛はまだ来ない。