2020年6月16日火曜日

あばら家のくちなし

くちなしの香りは雨が似合う。
ようやくひとつ咲いたくちなし、3日ほど匂いを嗅いでいたら、またひとつ白くなってきたつぼみを発見。今夜あたりかな、と思って帰宅するとノーマークだった場所の花が開いていた。
夜、窓を開けるとむせるほど濃くてセクシーな香りが流れてくる。湿気をはらんでいるところがまたいい。が、ふと気付いた。
この日は雨など降っていなかった。そうだ。我が家のベランダ真上の避難梯子のあたりから雨漏りのようにぺちゃぺちゃ雫がたれているのであった。

ナニが「くちなしの香りは雨が似合う」だ。このあばら家のベランダは常に雨降りだぜ。

2020年6月11日木曜日

新茶とタクシー運転手

酒場でのソロ活動をキメた後、帰宅して一服。
その後立ち上がると軽く立ちくらみがするのはいつものことだが、その晩は立ちくらみのあとに目の前にモノクロの乱れた映像が見えて怖い、と思った次の瞬間に、つぼみをたくさんつけたくちなしの鉢の上にばったり倒れた。これが貧血かと恐ろしくなったが、それよりくちなしが心配で暗闇の中手さぐりで確かめる。つぼみはつけていないが新しい芽が出てきた枝が折れていた。毎日成長を楽しみに大事にしていたのに。本当にごめんよ、と折れた枝を空いていた植木鉢に挿した。

翌日は反省して即帰宅、映画を鑑賞していると宅急便が届いた。毎年静岡の友だちが送ってくれる新茶。うれしい。お礼のメッセージを送ってから続きを鑑賞。
今宵の映画は先日ラジオを聞いていて気になった「タクシー運転手」。
ひどい。ひどすぎる、と顔をしかめると前夜したたか打ったこめかみが痛む。自分まで銃撃されたかのように痛みを感じつつも、宇多丸さん曰く”トラック野郎的な”カーチェイスには胸アツになりそして当時の軍人さんの中にだってこんな人もいたんだ、と胸を撫で下ろしたり。私には靴が印象的な映画だった。酒は4杯飲んだ。

このところ観る映画や古い本が、ことごとく現在の状況を現しているようなものばかり。
田辺聖子著「お聖どんアドベンチャー」(ポセイドンアドベンチャーのパロディのタイトル)は田辺聖子本人や筒井康隆などが実名で登場して未来のSF的な「ありえない」話がおもしろおかしく描かれているのだが、コロナも世界情勢も日本の情勢も思わせる内容であり恐ろしくなってきた。1980年に書かれたものなのに。
大切なひとがここにいないのはさみしいことだが、今いなくてよかった、とも思う。

2020年6月9日火曜日

ホストクラブの楽しみかた

コロナがいよいよ深刻になる手前に会ったきりの友だちと長電話。
出るわ出るわ愚痴と不安。よく喋る。聞いてほしい話があったが聞き役に徹することにする。

話は行ったりきたりで結局コロナ。そして話はコロナからホストクラブに。先日久しぶりに電話で話したフンド氏の従兄弟ともホストクラブの話題になったが、互いに行ったことも行く予定もないのでその話はすぐに終わったことを言うと、私は若いころよく行ってたよ田舎のホストクラブ、との衝撃の言葉。
彼女とホストクラブがまったく結びつかず、よく行ってたってことは愉しかったの?何を話すものなの?と訊ねると、説教だよ、のひとこと。説教?ホストクラブで説教?

私にとってのホストクラブは「すべすべ温泉ねこぞの」と
「おいてけ堀」。
どちらもホストはねこや犬だが、すばらしく美しいホストたちが手厚いおもてなしをしてくれるのがたまらない。おさわりOKだから、たまにマウンティングされるのも許す。実生活でもマウントをとられてばかりだとねこや犬にもわかるのかなぁ、などと無駄にへこむのはやめて今宵もホストクラブへ行こう。

「ニューねこ正」にかぎる

どれぐらいぶりかわからないほど久しぶりに皇居へ登場。
ひと気の少ない日比谷公園を横切って桜田門へ向かうと、今までに見たことのないほど少ないランナーたち。待ち合わせより早く着いたのでソロで軽く一周すると、意外にカラダは軽かった。
二周めは友だちと話しながらゆっくり走り、焼鳥屋で大急ぎで飲んで食べてさようなら。営業時間が短縮されているからだが、私にはこの方がよい。それにしても焼鳥はやはり「ニューねこ正」にかぎる。
ここ数日とある問題で悩んでいたのが、憑物がとれたかのようにすっきり解決。
その夜は「ニューねこ正」にいたのだが、おいしい焼鳥などをいただいた直後になぜかクソまずい焼鳥を食わされるはめになりせっかくのねこ正の余韻がとんでしまったことが遠因で問題は解決。
後日改めてソロで「ニューねこ正」へ。美人女将の目の前の席に座って、コトの顛末を聞いてほしかった。しかし、今日のは美味しいよ、といわれたかつおがそれはもうおいしくて、板さんが添えてくれた皮の近くの身を薄く削いだものにも悶絶するうちに話すのを忘れた。焼鳥だけでなく、やはりすべては「ニューねこ正」にかぎる。

2020年6月5日金曜日

傘を忘れたことを忘れた

満を持して「ストレイト・アウタ・コンプトン」を観て、思いがけずタイムリーな映画をチョイスした自分に驚いた。引き込まれずにいられなかった。明日はきっとお久しぶりねの朝ソバをキメることになるだろうと思ったがその通りだった翌朝。
紅しょうが天そば一点勝負!と店内に入ると、入れ替わりに店を出る客あり。それはハトだった。
なにかいるの、とおばさんに言われたのでハトが、と答えるとハトはゆっくり歩いて出て行った。そういえばあなた、傘忘れていかなかった?とおばさんが指さす方をみると、たしかに先日行方不明になった自分の傘。あれからかなり日にちが経っているのに覚えていてくれたとは。
この朝の紅しょうが天そばはいつにも増しておいしかった。

2020年6月4日木曜日

ハセガワさんはいなかった

前夜に観た映画がなんとも薄味だったので、翌晩は久しぶりに「おいてけ堀」へ登場。
そういえばしばらくソロ活動をしていなかった。たまには旅の本なぞ読みながら飲るか、と縄のれんをくぐるとそこには飲み仲間・常連さん・顔見知りの面々。必然的に相席となり、本は1ページもめくらずにぎやかな酒席となった。そういえばたいていこんな感じだったな、と数か月前までのことを思い出す。

ハセガワさんがあのときさ、と不意に隣のテーブルの会話が耳に飛び込んできた。
このお店でたまに耳にする「ハセガワさん」の仲間たちか。肝心のハセガワさんは今日もここにいないようだが、どうやら好人物のようで同じハセガワとして鼻が高い。

ハセガワさんが亡くなってもうじき15年か、とつぶやく声が聞こえた。そうか、ハセガワさんはもういないのか。こちらのハセガワは5年経ちました、と心の中でつぶやいた。

15年経っても話題の中心であるそのハセガワさんの人望たるや、大変なものだ。お目にかかってみたかったなぁ。

2020年6月1日月曜日

現実逃避

旅先の食堂で目にした懐かしいドラマが気になって、労働から帰るなり三話まで視聴。
週末は酒を飲みすぎて海で遊んでたらふく食べて
おっとその前に大切な問題が発生してずっと頭の片隅で考え続けながらもラン友からのランのお誘いをありがたく受けたりしつつ実家から送ってもらった巨大なズッキーニを炒めたりして、三話まで視聴したのだ。

昔のドラマは中身はもちろんのこと、景色が当時を思い起こさせるものだからたまらない。ツヨシくん元気かなぁ。雨の井の頭公園といえばツヨシくんと行ったあのステキカフェを思い出すなぁ。でもカフェの名前忘れちゃったなぁ。

今夜はここまで。
問題は山積だけれど、悩みすぎて疲れたから今夜はこのまま寝るから、と食べきれなかったズッキーニに語りかけながら風呂に向かうのであった。