2020年2月21日金曜日

ハトをストーカー

懸案事項であった、もういない人への贈りものの手配を終えたら急になんともいたたまれない気持ちになったので、酒場へ急ぐ。
こんな夜は本でもめくりながら静かに飲みたい。そう思って席につくなりかばんを開けると、駅弁の本しか入っていなかった。駅弁の本を読みながら酒を飲むのはヘンなものであったが文字を読みたいのだから仕方ない。
肩を叩かれて振り向くとゴルチェおじさん。その隣のおじさんが駅弁の本を読んでいるのかい、と話しかけてきたことから新幹線や駅弁の話になった。仕事で行った新大阪からの帰り、途中の駅でお寿司屋さんに出前してもらって翌日すし桶を宅配便で返したこと、一升瓶を持ち込んで宴会していて寝過ごして車庫に行きそうになったこと、車内で注文をとって受け取る米沢牛の弁当がいちばんうまかった、などなどおもしろい話をたくさん聞いているうちに禁断の4杯めに手を出してしまった。いたたまれない気持ちは少しだけ軽くなった。

翌朝はひさびさにヒロシ体操の時間に目覚めて、いい具合に空腹でもあったため早朝ソバへ。
今日は歩いていくの、と女将さんに言われてはい、今日こそは、と気合いが入る。

我が家よりも満開の沈丁花や梅の香りを吸いこんで気持ちよく歩いていると、路地の向こうから夫婦ものなのか友だちなのか2羽のハトが並んで歩いてきた。仲のよいことよ、とハトたちに向かって歩いて行くと、彼らの背後に不審な男性。尾行しているとしか思えない執拗さで彼らの後をつけている。うしろ、うしろ、と心の中で大声で叫ぶと彼らはものすごい早さで走っていった。
そこは飛べばよかったのではないか、と彼らのうしろ姿を見て思ったが、彼らも歩きたい気分だったのかもしれない。

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