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2023年8月10日木曜日

相撲健康体操

いまだかつてないほど感慨のない誕生日の朝、それでも休みは取っていたので相撲健康体操に参加。
会場である国技館のエントランスは朝は日陰で快適だけれど、体操はというと基本の蹲踞からしてきつく、阿炎の真似をして四股を踏もうとするも思ったほど脚が上がらず、開始早々に汗がぽたぽた落ちた。後ろの坊やも汗だくで「ヨイショ~!」と頑張っていた。
七月場所で途中休場した弓取の聡ノ富士さんや以前食事会で隣に座った佐々木山さん、落合改め伯桜鵬ほども髪が伸びていない新弟子さんたち、そして現役時代にファンだった元栃煌山の清見潟親方がまわし姿で指導してくださり本当に楽しかった。カードにスタンプを押してもらい、相撲健康体操の冊子や鉛筆やうちわ、お茶にキャンディとたくさん参加賞をいただいた。
それから久しぶりのお気に入りの海へ。海は先日も行ったのだけれどそれは漁港でこの日は海岸。
とんでもない暑さで手ぬぐいがあっという間にびっしょり。(この手ぬぐいは甘夏書店さんで発売中)
海水浴やボートの若者たちがうらやましかったが日本丸が寄港しているのを見ていつもの喫茶店であんみつも食べていつものパン屋さんでフンド氏にホットドッグのおみやげも。自分へのおみやげに買った鯵のなめろうご飯があまりに美味しくてその晩は食べすぎたので、翌朝もまた相撲健康体操に向かったのであった。
そのまた翌朝も行って、あと少しで勝ち越しっすね、とお相撲さんに言われたのよね。

2021年8月4日水曜日

不思議なまち つくば

今までに二度ほどお会いしただけの間柄で、その作品や送ってくださるDMにかなりの熱量を感じていた、かえるとこけしのイラストの方。
いただいた手描きの新聞を改めて読んだら個展が翌日までとのこと。これは行くしかないと朝早く起きて向かった先は初めてのつくばであった。

茨城県には縁もゆかりもなく、とはいえいつも行くコーヒー屋さんからつくばや茨城空港周辺のランニングコースを教えてもらったり、そこでのイベントで親しくなったアーティストさんの個展を観に牛久まで行ったこともあり、じわじわと茨城への道すじができたように感じていた。
早めに到着して、手描きの新聞におすすめと書いてあった駅前のコーヒー屋さんでおしゃれに朝食をキメた。

運ばれてきた枝豆とゴルゴンゾーラのキッシュを食い入るように見ると、キッシュの味が濃いのでサラダにはドレッシングをかけていませんがそのままで召し上がってくださいと店員さん。ほうほう、と背筋を伸ばしてナイフとフォークを使う。
他の席では親子連れや仲睦まじいカップル(もしくは若夫婦)がのんびりコーヒーを啜っていた。いただいたキッシュもコーヒーも、そしてサラダまでもおいしかった。

焦げつきそうな炎天下を歩き出すといきなりロケットが現れた。
しばらく進むと駐輪場の脇にロボット実験用道路と書いてある看板がありあたりを見回したがロボットも休日なのだろう、誰もいなかった。暑すぎて白く見える道を進んでコンクリートのなにかがそびえ立つ不思議な公園でひと休み。汗がぽろぽろ落ちてくる。
あまりの暑さと不思議な景色の連続に白昼夢を見ているような気がして、ふと気づけばギャラリーに到着していた。
クルマは何台も停まっているがひと気のない建物の階段を上がると、はたしてそこにはたくさんの人たちとDMをくれたかえるの人がいた。
あ、マッチの人と言われてうれしくなった。
壁面には今までの新聞がずらり圧巻。たまにある造形物もかえるの人の味がある。新聞を端からじっくり見ると、かえるの人の地元、土浦愛がいっぱいで次回は土浦に行こうと決心した。
かえるの人に、あなたのおすすめのお店で朝食をとってきたがとてもよいお店だった、ついてはもうひとつのおすすめのコーヒー屋さんにも行きたいがどこを行けばよいかと訊ねると、少し待ってくださいと外へ出ていった。
どなたか道のわかる賢い方、東京からわざわざ来てくれたこの方をあのお店に連れてってもらえませんかね、とかえるの人が言うとふたりの女性が立ち上がった。いいんですかと言うと、どうぞどうぞと仰るのでご好意に甘えてもうひとつのコーヒー屋さんへ。車内では初対面のこのおふたりの案内してくれるつくばのまちがとてもおもしろくてGoogleマップも知らない道やおすすめのお店を教えてもらった。
この人、東京からわざわざかえるの展示を観に来たのよ、とあちこちで紹介してもらいたいへん恐縮しながらもうひとつのコーヒー屋さんへ。ほどよきところでギャラリーへ戻るおふたりに、もし今日お店に行けなくてもきっとまた来るよね、と言われてハイもちろんと胸を張ったが、そういえば名前知らなかったと言われてあわてて自己紹介した。

普段は食べないのにおいしくて感激したキーマカレーのサンドイッチとコーヒー、そして親切なお店の方に満足して外へ出るとすべてを忘れそうなほどの炎天下。とても街歩きなどできず、さっき教えてもらったGoogle先生も知らない小径を歩いてバス停にたどり着いた。

今度来るときは絶対に迎えに行くからね、と言ってくれたふたりといい、かえるとこけしの人といい、つくばっていいところだなぁ。

2020年11月16日月曜日

「はとエアライン」にのって

 「みちくさウルトラマラソン」に出場する友だちの応援のために、というよりそのメンバーの中のひとりの実家の民宿でおいしい魚を食べるために、初めてのまちへ。
本人とそこに宿泊した数人の友だちによると、とにかく品数と量がえらいことなので完食した人を見たことがないとのこと。舟盛りなど脇役扱いだという。しかしそんな話を何度聞いても、私の食欲を舐めてもらっちゃ困るぜと実は自信をもっていた。

早朝出発時には何も食べず、現地でお蕎麦を食べて喫茶店でウインナコーヒーを飲み
まちをぐるぐる歩いてお店の方と立ち話をし、通常はバスで行く道のりを徒歩で進む。山道のトンネルで立ち止まって人魚の描かれた内壁を微笑ましい気持ちで見るも、よく見たら老婆のようだし妖怪にも見えて震え上がった。昼間でよかった。

予想時間より大幅に早くゴールした友だちと途中でDNFにした友だちをねぎらい、ハプニングをものともせずゴールした鉄人を迎えて民宿へ。温泉付きの旅館のような民宿でいざ、宴のはじまり。
結局、前評判どおりどれも美味しくて迷い箸しながら食べきれなかったごちそうを横目に酒もほどほどにしておやすみなさい。

パジャマにコートをはおって行った朝の海岸で最高級の貝殻も見つけたし本も一冊読んだし、気楽でよい旅だった。

2020年9月10日木曜日

太陽にほえろ!

フンド氏の誕生日は、休みをとっていつもの場所へ。
海以外に目当てのなにかがあるわけではないけれど、なんとかのひとつ覚えみたいにそこへ行きたくなるのだ。
小さめのかばんに本を入れて、朝からなにも食べていなかったのでめずらしく駅弁をキメる。
ずっと前から気になっていた小さめのトンかつ弁当。ずいぶん昔からあるお弁当らしく簡易な包装にも掛け紙にもひとめぼれした。もちろんとてもおいしくて、本を読んだりうとうとしているうちに、あっという間に到着。
着いたらまずは駅のテラスで一服することにしている。ずいぶん暑いなと空を見上げたら、ぽつりぽつりと降ってきた雨が激しくなった。雨雲が去って足が勝手に喫茶店へ向かう。海へ行こうと思っていたのにな、と思ったがフンド氏が行きたがっているのならと従うことにした。

以前読んでいた見知らぬ人のブログを何年かぶりに見てみたら、その人はつい最近突然パートナーを亡くしていた。その人は外食産業の仕事をしておりブログにもあちこちのお店の食べものや自宅でつくった料理などがならんでいたが、それを続けながらもパートナーへの思いもあふれている。食べものは何を食べたかではなくて誰と食べたかが大切だと、またきちんと仕事をしつつ感情を文章にすることができるなんてすごいな、と心から思った。自分にも、お店のいつもの席で涙を流すような素直さがあったら、と後悔するも今は目先の寒天。いつもの席などあるはずもないこの喫茶店では春はいちごのケーキ、その他の季節は寒天と決めている。そして帰りにコーヒー豆を挽いてもらうのだ。ここのコーヒーは家で淹れてもすぐにこの喫茶店の様子がありありと浮かぶ独特な香り。
あとは海へ行ってパン屋さんでフンド氏のホットドッグを手に入れて帰るだけ。レンタサイクルを漕ぐ元気もなく日傘をさして海岸へ出ると、沖が緑色に光ってとてもきれいだった。
しばらく海岸を歩き雨に2度降られて、途中でいちじくを手に入れてさようなら。

パン屋さんがめずらしくお休みだったので「ニューねこ正」の焼鳥を持って帰ろうと思ったのに、フンド氏の父上の行きつけだった「おいてけ堀」の暖簾をくぐってしまった。
気分よ気分、といつもの肴で軽く飲る。誕生日のことさえ忘れて気分よく帰った翌日はいよいよ「ニューねこ正」へ。北海道のほやがあったのですかさずご指名。焼いた赤魚が来て堪えきれず枡酒にチェンジ。ソロ活動するようになって干物などの魚を自宅で焼かなくなった。魚は大好きなのにな、としみじみ味わう。
そういえば外のあれ、気付いてないでしょうと急に大将に言われて外のサンプルケースを見ると、はたしてそこにはなつかしのマッチが。ずっと前から飾っていたとのこと。知らなかった!
おみやの焼鳥とともに渡された焼いもが温かくてうれしかった。

とはいえ、美人女将と話していたのは「太陽にほえろ!」のことばかりだったのだけど。

2020年6月25日木曜日

旅に出ました

銀座の裏路地に捨てられていた地方紙がとても気になり、旅に出たくなった。しかしこのご時世、東京からの客人なぞ嫌がられることだろう。
そんなとき少しだけ旅気分にひたることのできる場所、それは各地のアンテナショップ。
先ずは長崎県へいそいだ。
島の多い長崎県のパンフレットは聞いたことのない地名も多いが、行ったこともこれから行く予定もない場所のパンフレットでもひとまずいただく。移住しませんか、の文字に引き寄せられてそんなパンフレットも手に取る。今から知らない場所へ移住か、仕事を探してよさそうな飲み屋さんをみつけてそれから、と妄想はふくらむ。(運転免許がない時点で可能性薄)続いて店内の五島うどんやちゃんぽんを見て長崎港や中華街に想いを馳せる。

さあ、次は福島県へ行こう。
このところ毎週のように乗りものを予約しては取り消している。長崎よりはるかに近いのだからさっさと行けばいいのに、いつも他の予定を失念していたり日付を間違えていたり。そんなときはアンテナショップでパンフレットを集めて気持ちを高めるのがいちばん。旅のパンフレットをじっくりながめるには「おいてけ堀」でなければ気分が出ない、というのをいいわけにしてダイエットで減酒生活に入っているのに「おいてけ堀」へ向かう。かばんの中には長崎県・福島県各地のパンフレットに「私の若草物語」「パラサイト」の映画パンフレット、そして決意のヘルスメーターが入っており肩がもげそうだ。
飲み屋さんへ来たのは久しぶりだなぁ、と思ったが数えてみたらたったの4日ぶりだった。こらえ性のないやつめ、と穴子を味わう。たった4日ぶりだが早くも酔いがまわってきた。美人女将が、ねぎ炒めはそろそろねぎが固くなってきたからやめました、と声をかけてくれた。今年はねぎの季節が長かった気がするが、いよいよ夏だ。

2020年3月12日木曜日

今朝は北海道

最近はまともに東京のラジオを聞かせてくれていたRadikoだが、この朝は予感がしていた。女の勘は皆無だがこういう予感は的中するもので、この朝は北海道エリアに設定されていた。

北海道のラジオは、天気予報でセンチメートルの言葉が飛び交っていた。積雪量か。いっぺんに部屋が寒く感じられ、副鼻腔炎と花粉症のために香りが薄く感じられるコーヒーをすすった。
未踏の地であり行く予定も未定の地・北海道、行くなら最初は函館と決めている。函館に旅したあとにこのラジオを聞いたら、函館のどこを思い出すだろう。
月に一度の皇居ランと美味しいものを食べる会に登場。カラダが重くておしゃべりしながら1周プラス日比谷公園を1周だけ走ってあとは食べて飲んでビールを吹き出して大笑い。みなさん時差出勤やテレワークで憂さがたまっていたというがやっぱり楽しかった。

帰り道、iPodをシャッフルしたら30年ほど前によく聴いていた曲が立て続けにかかった。しんとした深い時間にしみじみ聴き入るゴンチチやORIGINAL LOVEはちっとも懐かしい気持ちにならないから不思議だ。

2020年2月21日金曜日

ハトをストーカー

懸案事項であった、もういない人への贈りものの手配を終えたら急になんともいたたまれない気持ちになったので、酒場へ急ぐ。
こんな夜は本でもめくりながら静かに飲みたい。そう思って席につくなりかばんを開けると、駅弁の本しか入っていなかった。駅弁の本を読みながら酒を飲むのはヘンなものであったが文字を読みたいのだから仕方ない。
肩を叩かれて振り向くとゴルチェおじさん。その隣のおじさんが駅弁の本を読んでいるのかい、と話しかけてきたことから新幹線や駅弁の話になった。仕事で行った新大阪からの帰り、途中の駅でお寿司屋さんに出前してもらって翌日すし桶を宅配便で返したこと、一升瓶を持ち込んで宴会していて寝過ごして車庫に行きそうになったこと、車内で注文をとって受け取る米沢牛の弁当がいちばんうまかった、などなどおもしろい話をたくさん聞いているうちに禁断の4杯めに手を出してしまった。いたたまれない気持ちは少しだけ軽くなった。

翌朝はひさびさにヒロシ体操の時間に目覚めて、いい具合に空腹でもあったため早朝ソバへ。
今日は歩いていくの、と女将さんに言われてはい、今日こそは、と気合いが入る。

我が家よりも満開の沈丁花や梅の香りを吸いこんで気持ちよく歩いていると、路地の向こうから夫婦ものなのか友だちなのか2羽のハトが並んで歩いてきた。仲のよいことよ、とハトたちに向かって歩いて行くと、彼らの背後に不審な男性。尾行しているとしか思えない執拗さで彼らの後をつけている。うしろ、うしろ、と心の中で大声で叫ぶと彼らはものすごい早さで走っていった。
そこは飛べばよかったのではないか、と彼らのうしろ姿を見て思ったが、彼らも歩きたい気分だったのかもしれない。

2020年2月17日月曜日

旅に出るとまた旅に出たくなるのはなぜだろう

予定は未定でまたもやGDGDな休日を送るつもりが、妹に誘われて家族旅行にお邪魔。
行き先は教えないと言われてミステリーツアーのようでわくわくしたが、出発の前の晩にあっさり子どもたちにばらされた。

ホテルの部屋はとても広くて、姪っ子たちもようやく1歳を迎えた甥っ子も興奮していたが、海が目の前に見えるものだから中年も興奮。
前の晩からずっと食べて飲んでしゃべって、いつもはほどよくゆるいパンツがきつくて苦しくなったのは旅のおみやげのひとつとしてよいだろう。
山のレストランで食べたわさびごはんは別名・泣きめし。なるほど!
ずっとむかしにフンド氏の従兄弟ご夫婦に招待してもらった、メニューのないおそろしくおいしい和食屋さんでひと枝飾ってあった河津桜の満開の姿をたくさん見ることができたのが特にうれしかった。


たくさん食べて飲んで遊んだ旅の翌日からは、なるべく運動してカラダを元に戻したい。
そんなときにも「あんよ」のシューズは有効です。
でも最近は寝坊が多くて、朝は東京駅までしか歩いていないなぁ。

2019年12月4日水曜日

初めての沖縄 NAHAマラソン

昼間で、酒も飲んでいないのに自分がいる場所が曖昧になる。
初めての沖縄の旅でそんな経験をしたのは、沖縄出身の友だちのおかげ。
NAHAマラソンは、それはもう完璧を越えた最高ですばらしい大会だった。

暑い中途切れることなくずっと続く私設エイドでチューチューを8本はいただき、みかんやパイナップル、マンゴーにレモン、さんぴん茶にコーラに沖縄そば、牛丼に魚汁、他にもたくさんいただき、何度もエアサロンパスをかけてもらい、東京にいるときは特に何も感じなかった安室奈美恵の歌声にここでは胸が熱くなり、絶妙な場所でかかった「YMCA」にブチあがり、微妙な歌声の「鉄腕アトム」には笑いをこらえ、コースを少し外れてひめゆりの塔で手を合わせたら胸がいっぱいになり、かわいい犬が多すぎて忙しく色目を使い、きれいな海やさとうきび畑や家々に見入り、少子化とは?と首を傾げるほど大勢の子どもたちの力いっぱいの応援にゴール後涙をこぼした。来年もここに来る!と走っている最中に思ったのは初めてだった。

沖縄出身の友だち姉妹やその友だちなどが陣取っていた場所でのゴール後の宴。
地元の人たちはゴール後みんなこうやって宴会するんだよ、といきなり来た私も宴席に加えてもらって、初めて・一年ぶり・ウン年ぶりに走ったNAHAマラソンの感想を話しながら地元のごちそうとよく冷えたビールをいただく。
そういえばゴール後に預けていた荷物を受け取っていると、あのぅ以前会津若松の大会に出ていましたよね、と声をかけられた。振り向くと、帰りのバスでご一緒したんですけど覚えてますか、と言われて記憶がよみがえってきた。一昨年のことだった。
よく覚えてましたね、と言うと横顔に見覚えがあったから、とその人は笑った。


とにかく楽しいばかりだったNAHAマラソンは終わったが、感動したのはそれだけではなかった。

2019年11月29日金曜日

ひさしぶりのマジックアワー

完璧に晴れの予報の朝、気合いを入れて早朝ジョグへ。
寝起きで寒さがよくわからないまま万年橋から隅田川テラスへ下りると欄干にサギたち。
大きめのシラサギと、あとはゴイサギかなと思ったが後で図鑑で調べてみたら、当たりであった。
桜並木にさしかかると、何をするでもなくおじいさんがベンチに座っている。おじいさんの視線の先にはマジックアワー。よい場所を知っているんだなぁと畏怖の念を抱いた。
夜が明けて行きかう人が増えてきたので、iPodのイヤホンを装着、走りながら聴きたかった曲をスタート。何度も何度も聴いている「マクガフィン」はコーラスが妙に小さく聞こえたが、それは家で歌っているときの自分のコーラスが大きいからだと気づいた。


会社で食べる朝食を用意したのに、足が自然に早朝ソバへ。
鼻水をすすりながら気持ちよく徒歩出勤、といきたいところだったが時間がなかったため空港へ行くバスのターミナルを横目に東京駅まで歩く。

ところで
懸念だった来年の手帳が完成した。
飲みに行くとき季節の魚を確認するために、季節ごとの魚を配置。
表紙は春夏の魚と、昔働いていた生活選手のタグを拝借。
裏表紙は秋冬の魚と、義兄のお店で大量入手していた音符のアップリケ。
月ごとに、色味が好きなむかしむかしの料理本の写真を拝借。


これで心置きなく旅に出ることができる。
飛行機に乗るのはかなり久しぶり。
はとエアラインにはしょっちゅう乗っているから、いろいろは鍛えられている。

2019年11月26日火曜日

雨の土曜日

思い立って美容院へ。
もう25年以上のお付き合いになる、少し離れた場所のお店。
こちらのオーナーは「サロン・ド・こけし」のマダムとは異なり、おとなしそうな見た目なのにはっきりした人で、その腕前はもちろん、個人的にも信頼している。
今までもなにかと相談したことはあったけれど、そのとき困っていたことを話のついでに相談したら、あれよあれよと解決に導いてくれた。
話に夢中になっているうちにヘアスタイルもきれいに整えてくれて、うれしい気持ちで大雨の中、初めて行く場所へ向かった。
それは年に一度、コーヒー屋さんでの秋の収穫祭でご一緒するアーティストの個展を行っているべつのコーヒー屋さん。
急に連絡したので用事があるとのことで彼女には会えなかった。でもいいのいいの、作品が見れたらいいんです。
お店に入る前にぐるっとまわりを歩くと、外から見える場所に2枚の油絵。彼女の作品だ、と傘をさしたまま見入る。
お店に入って中を見まわすと、カウンター上部の壁に描かれたチョークアートも彼女の手によるものくさい。なるほど、外の作品とこの絵が個展ということなのか。

シックな店内をきょろきょろ、うろうろしていると、○○ちゃんのお友だちのマッチ作家さんですか?とお店の方に声をかけられた。は、はい、と消え入りそうな声で答えると、赤毛のおかっぱのマッチ作家さんが来るから、とだけ彼女から聞いていたので、とお店の方は笑った。そういえばお互い名前を知らなかった。
おいしいコーヒーをいただきながらのんびり過ごし、お勘定をする段になって、奥の扉の向こうにギャラリーを発見。あやうく彼女の作品すべてを見ずに帰るところだった。

キャンバスだけでなく段ボールや茶紙にも描かれた彼女の絵は、たまに会うときに見かけるいたずら描きのようなスケッチを思い出させた。絵にはその人が出るんだなぁ。自由で元気がみなぎる絵を見て、ここへ来てよかったと思った。

このお店のブレンドに横綱ブレンドというのがあったので(稀勢の里の故郷だからだろう)それをおみやげにして次に向かうは明日一緒にマラソン大会を走る姪の待つ家。
「はとエアライン」でピュッと行きたいところだったが、雨の日は運休なんです。
荷物を少なめにして、お気に入りのレインコートとブーツ、傘で歩きましょう。

2019年10月7日月曜日

旅人よ

これまでの旅史上、もっともスットコドッコイなスタートを切った週末。
まずは二度寝による寝坊。
あんなに早く寝たのになぜ寝坊したのか。お年頃なのだろうか。

あわてて家を出てから信号を待つ間、イヤな予感が背中を走った。
・・・スマホを忘れたのではないか。
時間は迫っている。やはりスマホはなかった。
しかし待ち合わせをしている友だちは幼なじみなので、最悪、実家に電話して幼なじみの実家の電話番号を聞き出し彼女の携帯番号を教えてもらえばなんとかなるだろう。
時間は迫っているが、なんとか間に合いそうだ。
しかしそこでまたイヤな感覚が背中を走った。

ーーーーーー乗車券は、スマホの中ーーーーーー

びっしょりだった冷汗が一度に引き、荷物が急に重く感じられた。

この旅は、そもそもRHYMESTERの47都道府県ライブ初日のチケットを取りそこねたことを幼なじみに愚痴ったことから始まった。
いっそ松本市でのライブに行っちゃおうかな、と口走ったら、付き合うよと彼女が言ってくれたのだ。しかも、別荘のような彼女のすてきな自宅にまた泊めてくれるという。
さらに、私の愛する鰻屋さんでのランチからスタート、ライブ後は彼女の長年のお付き合いの、とにかくおいしいお店でスペシャルディナーの予定まで組んでくれていた。
目当てはRHYMESTERだけれど、スタートは愛する鰻屋さん。ここでしくじったら鰻が去ってしまうではないか。
どうにか約束の時間より少し早く到着する電車に乗ることができて、デッキから外の景色を眺める。
RHYMESTERのライブなのに普段着で来てしまったが、鰻に逃げられるよりはましだろう。特急電車でずっと立ちっぱなしだけれど、ベストコンディションで鰻に逢うためだ。

もはやRHYMESTERが目的なのか鰻が目的なのかわからなくなってきた。
団体旅行のみなさんが絶えずお手洗いに行列をつくっておりデッキはにぎやかだったが、前日聞いた「アフター6ジャンクション」を再度Radikoで聞いて気持ちを高める。(先日iPodを洗濯してしまったのでRHYMESTERを聴く術がなかった)

立ちっぱなしはさほど辛くなかったが10月の松本の風は冷たく、駅ビルで厚手のカーディガンを購入。まだ午前中なのにもういくら散財したのか、と肩を落とす。
しかし、迎えにきてくれた幼なじみの顔を見たら全て忘れた。彼女の自宅に入るともっと忘れた。木のよい香りがするきれいな家。そしてしばらく見ないうちに大きくなった庭木と裏を流れる川に生えている梅花藻というかわいい花。
それから愛しの鰻屋さんで食べたひつまぶしのおいしさといったら、食べるほどに減っていく鰻がさみしくてしばしば手を止めたほどだ。

ライブの時間が迫り、汗くさい普段着のまま致し方なく出発。
私の初デートの地・松本にRHYMESTERがいるなんて、と信じられない気持ちで幼なじみとライブハウスの階段を下りる。

2019年7月1日月曜日

君がいなければ

わけあって、ひとり実家へ帰る。

実家へ帰っても人間はいない。
文太だけがいたのさ。


思いつきで、高速バスを5つ以上手前の停留所で降りて、ローカル線にして唯一の路線であるJR飯田線に乗る。
母校の生徒が何人かいた。変わっていない、いなたい制服。空(くう)を見つめるまじめそうな女子は、こちらが無遠慮に見ていても気付かない。


実家に着いて文太と軽い散歩に出る。少し前にも歩いたこの道は、時間のあるときに探索したい橋やトンネルがある。
空がうすく紺色をまとい始めた。

今夜は広い実家にひとり。
長い夜になるぜ、と冷蔵庫を開けるも、めぼしい食べものがない。がっくりとうなだれて、あるものをつまみにヘルシーすぎる晩酌タイム。早くも両国が恋しくなり、読みかけの本を読んでいるうちに気を失った。


翌日は、予報が外れてお散歩日和。
毎年欠かさず行っている5月のお祭り以外には行くこともなくなった馬見塚公園へ。
文太にとっては初めての場所だからか、あちこちをくまなくチェックして歩く。
途中、もさもさした柴犬と一触即発になったり、知らない道を発見して行きたくなったりもしたが、朝の散歩としてはこんなもんでしょう、というところで切り上げる。
朝昼兼用に、畑にあった特大ズッキーニでラタトゥイユのようなトマトソースのパスタをつくり、忘れちゃなんねぇゆで玉子とともにゆっくり食べていたら、近所にあるスピーカーから広報が流れてきた。

○○グラウンドに クマが 出没したと 通報が ありました

この季節には珍しく、今年はよくクマが人里に下りてくるらしい。
文太はこのニュースの内容も知らずに、広報に合わせて歌っていた。

うっかり昼寝してしているうちに雨が降り出したので、傘をさして食料調達に出かける。
途中、若いヘビに出くわしたり、若葉色としかいいようのない色のケムに遭遇したり、そして帰り道でさっきのヘビが私の大声に驚いてすごい勢いで逃げていくのを見たりして、ぐったり疲れて帰宅。
買ったのは、大豆としいたけと高野豆腐の粉。なんだこのチョイス。今宵の晩酌も期待できない。こうなったら田舎の酒場で初ソロ活動としゃれこむか、と覚悟を決めると、お隣さんからおすそ分け。おかげで、わざわざ電車に乗って飲みに行かずにすんだ。


そのまた翌日は、ものすごい暴風雨。
台所の目の前の山桜やグミ、なつめの枝が折れて飛んできそうな勢いで、文太との〆の散歩はできず。うらめしい目で私を見るが私だってつらいのよ。
お隣さんが見送りにきてくれたときと、友が迎えに来てくれたときにのみ、わざわざ雨の中でしょんぼりと立ちつくす名優・文太。じゃあね、元気でいるんだよ、との私の声に目をそらすのはいつも通り。

友と珍道中ドライブを愉しんでいて出くわしたたぬきを見て、急いでいるわりに足が遅いね、と友に言うと、たぬきってわりとどんくさいんだよ、と言われて、たぬき=どんくさいという図式が頭に刻まれた。あと城下町の裏道には気をつけろ、ということ。
さんざん喋ったのに見送ってもらったあとにまだ話し忘れたことを思い出したりして、うれしいおみやげもどっさりもらって帰路につく。
帰宅早々、遠方の友だちから、白アリ(と思われるもの)が出てパニックで、との電話。
頼りにしていたお向かいの師匠は先日亡くなったし家族は不在だし建築士のいとこには電話がつながらないし、で、浮かんだのがあなたの顔ってわけよ、と言う。白アリについてなんの知識も経験もない私になぜ、と問うと、前にも大変だったとき、話聞いてくれてなんか盛り上げてくれたからさ、と言う。大変な状況のひとを盛り上げただなんて人聞きの悪い。でも、その晩も盛り上がってしまった。