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2019年9月25日水曜日

デビルズカットと天使の分けまえは似て非なるもの

幼なじみが教えてくれた山間の秘湯・通称「天国」はわけあって今月いっぱいで閉めることになった。それが悲しくて、どんな顔して幼なじみに会ったらよいものか、と考えていたが、顔を合わせればマシンガントーク。
ぶどう園で藤稔やブラックビート、安芸クイーンにナガノパープルなどを思うぞんぶん食べて天国へ。
久しぶりの天国は雨に濡れていた。
雨でも晴れでも天国は天国。家族にも場所を明かしたくないほど素敵な場所なのだ。
ホストのすーちゃんに接待してもらって、ドンペリならぬ鹿ジャーキーを貢いだ。お料理もやっぱりおいしくて、この時間がもう味わえないなんて考えられなかった。豪快に笑うあのひとの不在もたまたまとしか思えず、これからもまた幼なじみに頼んだら連れていってもらえる気がする。とはいえ去りがたくて、2時間ほども風呂に浸かったり、風呂上りに大相撲をTV桟敷で鑑賞したり、気付けば最後の客になっていた。


翌日は、毎年恒例となったウィスキー&ビアキャンプ。
以前、花見という名の日本酒の新酒発表会でともに長野日報の一面を飾ってしまった酒友だちのイタリアンマフィアの運転で、幼なじみにとともに一路スキー場へ。
イタリアンマフィアは常に笑顔を絶やさない、とてもすてきな家で好きなものに囲まれて暮らしているダンディなひとなのだが、たまに姿が見えないと、誰か殺りに行ってるのかな、などと不名誉な噂をされてしまうワイルドな風貌を持っている。この日も日焼けした顔にサングラスが似合いすぎていたが、実はシードルのためのりんご畑で日焼けしたなんて誰も信じないだろうな、とぼやいていた。

山の天気は変わりやすいというが、ここまでとは、というほどころころ変わる陽射しと風。それでも晴れ女の幼なじみのおかげで雨に降られることはなく、珍しいウィスキーを舐めたりクラフトビールを飲んだり。おいしいお酒ばかりだったが、特に印象に残ったのが、キューバ革命以前のラム。
私の知っているラムとはまったく違う、ヴィンテージな味。ちびちび舐めては香りを嗅いで、飲み干したあとのグラスの匂いでしばらくうっとりした。
音楽をテーマにした、見たことのないウィスキーもずらり。
これらはワンショットずつお土産にできるというので、迷わずHIPHOPを選んだ。


ここのところ、お酒がおいしく思えなくなっていたのに、この旅でいっぺんに回復した。
翌日は全身からウィスキーの匂いがしたほどいろんなお酒を飲んだけれど、おいしいおつまみとゆるい雰囲気で愉しく酔った。運転免許を持っていないために、毎回このふたりにお世話になってひとり気楽に酔っているのが申し訳ない・・・
でもやっぱり運転免許はとらない方がいいと思いますよ。

2018年9月26日水曜日

なにがあったのか

汗ばむ陽気の休日、お寺さんへ料理の手伝いに行った。

手の込んだ精進料理の下ごしらえは、実におもしろい。
ゆでた蓮の実の芽を取ったり、たくさんの野菜を切ったり、混ぜたり。
さといもの皮を剥いていたら、去年に続いてまた指を切ってしまった。
仕方なく、あちこちでつまみ食いしていたら、しっかり奥さまたちに見られていた。
翌日に千秋楽を控えたその日の話題は、大相撲。
奥さまたちのご贔屓は、ほぼ稀勢の里。
下ごしらえがほぼ済んだところで、みんなそろって休憩。
ちょっと一杯もいただいて、疲れがどっと出・・・るほどは働いていなかったが、おとなしい奥さまたちの口がほぐれてゆくのが、たのしかった。

翌朝は早い出発であるし、満腹であるし、さっさと帰って寝るべきだったが
わざわざいったん帰宅して「ニューねこ正」へ。

本場所中にだけやってくる京都のご婦人とは痛恨のニアミスだったが、ほうぼう刺に平目をちょこっと添えてくれた板さんに興奮。
美人女将から白鵬の優勝を聞かされ、優勝パレードに間に合うかな、と考えた。


翌日は、一点の曇りもない秋晴れ。
日ごろの行い、よくないんだけどなぁと友達に言うと
他にものすごい行いのいい人ばっかり来てるんだよ、と言われて納得。
初めて行く高原で、ウイスキーとビールのお祭り。
(「BAR GABGAB」にはビール、置いてないんですけどね)
とにかくお天気がよくて、マシンガントークの間にも、うっとり空を見上げたくらい。

まずはアブサンをチョイス。
みかんの香りのクラフトジンや、台湾のウイスキー、地元のウイスキー、濃くてとろりとしたビールなどなど、飲んだ端から太陽の光で蒸発!
柿にウイスキーが合うとは知らなかった。
最後に柿のヘタを乗っけたところで、バーテンダーの株が急上昇。
葉巻なんかもちょっと吸って、北方謙三の気分も味わった。
最初にちびっと舐めたアブサンは、やはり太陽のせいか軽くなっていた。

最寄駅からの送迎もおつまみも椅子も、なにもかも完璧にしてくれた友だちふたりは翌日は、別の場所でビールセミナーだという。
なんて勉強熱心なふたり!


そのまた翌日は、いろいろから逃げて、行きたかった場所へ。
いつもは飲んで食べて、海を見て、しんみりして帰るのが常になっていたが、毎回これでは芸がない。思いきってラン用品一式かついで出かけた。

昨日に続いてよいお天気の昼間、静かな海沿いの道を走るのは、それだけで気持ちがよかった。島まで行きたかったが暑くて断念して、途中でピーナッツプリンを食べて終了。
海の家を解体しているのを眺めながら海岸を歩いて、ちょうどいい時間のバスに飛び乗って帰宅。
あのパン屋さんにも、魚屋さんにも、喫茶店にも寄っていないなんて!
しんみりどころか、にやにやしながら帰るなんて!


さらに驚いたことに、この日を境に酒を飲んでいない。
友だちにもらった雷電のビールやひやおろしの誘惑をものともせず!