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2022年5月16日月曜日

大相撲五月場所 中日

幼なじみやそのまた友だちなどと何年かぶりに相撲観戦の前日は、酒の欲しくなるお店で軽くビールでランチ後、ぶらぶら歩いて東京で一番ハイボールのおいしいお店でひと休み。
ずっと来たかったお店だったので店内を眺めまわしてレモンの香りを吸い込んだ。このお店はおつまみもとても魅力的なのだが、数時間後に「ニューねこ正」に集合するのでぐっと堪えた。
「ニューねこ正」のファンであり美人女将のファンである幼なじみとその恋人とでこの日に行きますと伝えてはあったが、場所中で競争率の高いカウンター席を特別にとってくれていたのはありがたかった。さらにかつおの腹身を焼いてこっそり出してくれたのもうれしかった。

翌日はそれぞれの時間に場所入りしようということで呼び出しの邦夫目当ての私は少し早めに出かけたが、この日初めましての方々のひとりが9時には来ていたと聞いて驚いた。たまにしか来ることのできないみんなを付き合わせるのは心苦しかったが、邦夫の美声をわかってくれて鼻高々。
席に戻りどうでもいい情報をみんなにいばりくさって解説しているといつの間にか幕内土俵入りに続いて横綱土俵入り。今場所は照ノ富士の土俵入りを見ることができてよかった。

持参した応援タオルの数が多すぎて追い付かず隣の席の人にまでタオルを持ってもらったり、これ同体で取り直しじゃないの、とか今のは負けだったの、とか驚いているうちに中日の取組も弓取式も終了。照ノ富士弁当は見ることさえかなわず、はね太鼓に急き立てられてさようなら。

この日、最初にチケットを頼んだ方(知り合いのお友達)がわざわざ席まで来てくださって初めまして。結局チケットは完売だったので自力で取ったのだが、知り合いからメールアドレスを聞いただけだったこの方、大きなショルダーバッグ(お菓子がいっぱい)とレジ袋、右手に栓抜きを持って現れた。コップを席に忘れてきちゃったのよ、と持ち上げたレジ袋には瓶ビールが入っていた。

取組以上に印象に残ったのは言うまでもない。
豊昇龍の一番はもやもやしたよね~。
でも、帰りにばったり会った正代をにらみつけちゃダメよ。

2019年12月10日火曜日

合法的な酩酊

遊びすぎてフトコロが寒い夜。
冷たい風に吹かれて通りがかった「ニューねこ正」。品書きをうらめしく見ると、しめ鯖の文字が輝いていた。呼ばれている!と迷わず暖簾をくぐった。
美人女将の目の前の席を陣取り、ますます選択肢が増えたメニューをウキウキ眺めると、しめ鯖おいしいよ、と美人女将。それ食べるつもりで来ました、と食い気味で答えると、ふぐのから揚げもあるよ、というのでそれもください!と元気よく答えた。

注文の入った焼鳥を女将が炭火の上に置くのを見て気づいた。月命日のおみやをフンド氏に持っていくのを忘れていた。

この日のしめ鯖はやっぱり大当たり。わさびはたっぷりつけた方がおいしいが、そういえば新さんはカラシで食べていた。しめまくったしめ鯖で今度試してみよう。
ほどほどに飲んで食べて、来年の手帳も自慢して、さあそろそろと腰を上げかけたら友だちがやってきた。
これは帰るわけにはいかない、と頼まれてもいないのにお銚子もう一本。
気になっていたことなど話しながら、こりゃ酔ってきたな、と思ったのでお先に失礼しようと立ち上がると、お勘定を済ませた男性と目が合った。
「おいてけ堀」でたまに会うスリムランナー青年であった。
ここでも会うなんて、とうれしくて青年をつかまえて那覇マラソンに出た話をムリヤリ聞かせる。彼は過去に那覇マラソンに数回出ているので、酔っぱらいは差し引いてもこの興奮はわかってくれたに違いない。

あとで訊いたら、彼もかなり以前から「ニューねこ正」に通っているとのこと。
何度か隣り合っていたかもしれないね、と驚く。かなりいい趣味をしているとみた。
フンド氏に手羽先のおみやをあげて、DVDを観て踊りながら弁当のおかず作りを始める。
しかしフトコロはさみしいし冷蔵庫もさみしい。
と思ったら、幼なじみにもらった伊勢みやげと先日友だちの家に遊びに行ったときに持たせてもらったお料理があった。おかずをつくっては飲み、つまんでは飲み、合間に歌って踊ってやっぱり酩酊。

2019年11月1日金曜日

ねこたちのクリスマス展は明日から

熱燗が美味しくなったな、と思ったら11月になった。
11月といえば「ねこたちのクリスマス展」が明日11/2(土)から始まる。
ハロウィン気分もビタイチ味わうことなく、クリスマス気分に突入するあなた、私も同じです。
熱燗で晩秋に気付くのも悪くないけれど、葉山の静かなねこ美術館へ初冬の訪れを感じに行くのもよいもの。
いつもの「喫茶ニャーゴ」が、気合いの入ったクリスマスケーキをつくりました。
観に行ってみてください。

「ねこたちのクリスマス展13」
湘南ねこ美術館
神奈川県三浦郡葉山町下山口1502
11/2(土)~12/24(火)の土・日・月曜日(12/24は開館)
10:00~17:00


いいかげんに次の課題に取りかからないと、と焦る一方で観たい映画が3時間近い上映と知って気持ちが怯んだ。上映が終わったら帰り道で赤ちょうちんに誘われてしまう。赤ちょうちんに誘われたらねむくなって作業などできない。
飲まなきゃよいのでは、という発想はない。
映画は後日にして、久しぶりにウィスキーでも飲もうかな、とそんなお店にイン。
今月も来月もイベントごとが多くて、財布に穴でも開いてるのかってほどフトコロがさみしい。
飲まなきゃよいのでは、という発想はない。


幼なじみから来月のライブどうする?のメッセージ。
フトコロがさみしいからなぁ、と0.5秒ほど迷ったが行く!と即返信・即チケット購入。
前々日に別のミュージシャンのライブがあるのはわかっていたが、こういうのって勢いが肝心だから、と手帳に書き込もうとして手を止めた。
その翌日もまた別のミュージシャンのライブであった。

2019年10月18日金曜日

それとこれとは話が別

どうしても渡したいものがある、という友だちとなつかしい店で飲んだ台風上陸の前日。
雨は降り始めていた。
席につくなり友だちが袋を差しだした。賢くて優しい友だちならではのプレゼントにうれしくなった。

この日は「深川福々」発行日でもあり、最新号を100部ほどわけてもらった。
そのお店では焼酎ハイボールと決めている。
いくら飲んでも酔わない不思議な酒だ、というのは初めて「深川福々」で記事を書かせてもらったときのこと。

台風上陸当日は水道水や風呂水を溜めて、おにぎりや常備菜をつくって冷蔵庫の整理。
本棚の整理を始めたのは、調べたいことがあったから。なのに気付けば模様替えまで始めており、ついでに衣替えもアイロンがけも終えていた。
ひと息つくと、酒を飲んでもよい時間。

これから調べものをするから酒はいかん、でも小腹が減ったな、常備菜つくりすぎたから食べちゃおうか、水分代わりに薄いビールを飲もうか、ああ薄いビール飲んじゃったな、と白ワインを開けたら同じようなことをしている近所の友だちからメッセージが来たのでスマホ越しに励まし合い、余っていた焼酎にも手をつけて、でも調べものについては忘れていないものだから焦りは募るばかりで、じゃあ早くやれば、と思うのだがそれは今ではない、と杯を重ねるうちに外の様子が気になってベランダで一服していると近所の未亡人友だちや幼なじみからメッセージが来て、音楽でも聴きながらいよいよ調べものを始めますか、とRHYMESTERのライブDVDを再生したら、そうだ、RHYMESTERのライブは釘づけになるから「ながら」には向かないんだった、と気付いたが時既に遅し、外の暴風雨の音に負けじと歌って踊っていたら遠方の友だちや同級生からメッセージが来てありがたいな、と日本酒を片手に外を見るといつの間にか静かになっており、急に酔いが回った。
で、調べものは?


台風一過の翌日は借りていた本をものすごいスピードで読みながら「サロン・ド・こけし」の女主人の盟友のもとへ向かう。
秋らしくばっさり髪を切ってもらって、さて今夜はどこへ飲みに行こうかなと歩いていると、台風が怖いと昨晩メッセージを送ってきた未亡人から飲みませんかのお誘い。
珍しく日曜日に営業している、私好みのお店に案内してくれた梯子酒癖のある未亡人。開店から閉店まで飲んだ上に隣町へ移動して真夜中まで営業しているお店でまた飲む。


台風一過のそのまた翌日。
今日こそ走るぞ、と久しぶりのランウェアに着替えて外へ出るも雨。怖気づいて踵を返し、なぜかカレーをつくり始める。
「深川福々」を墨田区内のお店に配布する予定だったので、せめて徒歩で行こうと張り切ったがたいした距離ではなかった。この夜はマラソン友だちと久々に会う予定だった。敵も梯子酒癖があるが今夜は一軒で帰ろう、と思っていたのに。
〽飲ませてよ もう少しだけ、でこの晩も午前様。
翌日約束していたランニングが、仲間のひとりが体調不良となり中止になったのは不幸中の幸いだったのか、不幸だったのか。

2019年9月25日水曜日

デビルズカットと天使の分けまえは似て非なるもの

幼なじみが教えてくれた山間の秘湯・通称「天国」はわけあって今月いっぱいで閉めることになった。それが悲しくて、どんな顔して幼なじみに会ったらよいものか、と考えていたが、顔を合わせればマシンガントーク。
ぶどう園で藤稔やブラックビート、安芸クイーンにナガノパープルなどを思うぞんぶん食べて天国へ。
久しぶりの天国は雨に濡れていた。
雨でも晴れでも天国は天国。家族にも場所を明かしたくないほど素敵な場所なのだ。
ホストのすーちゃんに接待してもらって、ドンペリならぬ鹿ジャーキーを貢いだ。お料理もやっぱりおいしくて、この時間がもう味わえないなんて考えられなかった。豪快に笑うあのひとの不在もたまたまとしか思えず、これからもまた幼なじみに頼んだら連れていってもらえる気がする。とはいえ去りがたくて、2時間ほども風呂に浸かったり、風呂上りに大相撲をTV桟敷で鑑賞したり、気付けば最後の客になっていた。


翌日は、毎年恒例となったウィスキー&ビアキャンプ。
以前、花見という名の日本酒の新酒発表会でともに長野日報の一面を飾ってしまった酒友だちのイタリアンマフィアの運転で、幼なじみにとともに一路スキー場へ。
イタリアンマフィアは常に笑顔を絶やさない、とてもすてきな家で好きなものに囲まれて暮らしているダンディなひとなのだが、たまに姿が見えないと、誰か殺りに行ってるのかな、などと不名誉な噂をされてしまうワイルドな風貌を持っている。この日も日焼けした顔にサングラスが似合いすぎていたが、実はシードルのためのりんご畑で日焼けしたなんて誰も信じないだろうな、とぼやいていた。

山の天気は変わりやすいというが、ここまでとは、というほどころころ変わる陽射しと風。それでも晴れ女の幼なじみのおかげで雨に降られることはなく、珍しいウィスキーを舐めたりクラフトビールを飲んだり。おいしいお酒ばかりだったが、特に印象に残ったのが、キューバ革命以前のラム。
私の知っているラムとはまったく違う、ヴィンテージな味。ちびちび舐めては香りを嗅いで、飲み干したあとのグラスの匂いでしばらくうっとりした。
音楽をテーマにした、見たことのないウィスキーもずらり。
これらはワンショットずつお土産にできるというので、迷わずHIPHOPを選んだ。


ここのところ、お酒がおいしく思えなくなっていたのに、この旅でいっぺんに回復した。
翌日は全身からウィスキーの匂いがしたほどいろんなお酒を飲んだけれど、おいしいおつまみとゆるい雰囲気で愉しく酔った。運転免許を持っていないために、毎回このふたりにお世話になってひとり気楽に酔っているのが申し訳ない・・・
でもやっぱり運転免許はとらない方がいいと思いますよ。

2019年9月3日火曜日

伊勢丹でステキランチを

急逝した父上を見送ったばかりの友だちと酒を酌み交わす。
いつも元気な友だちだけれど今回ばかりはどうかな、と待ち合わせ場所へ急ぐと、彼女は早くも出来あがっていた。忙しかったのが急にヒマになったから、昼から飲んでたのよ、と笑う。
肉親の訃報を告げると、普段陽気な人でも急に神妙な顔つきになるのがイヤでたまらないからあまり報せていないのよ、と言う。よくわかる。

よく飲み歩いていた大昔からすると全員ずいぶん酒に弱くなったなぁ、あのときはごちそうになっていたのがいつの間にかワリカンできる仲になったのだなぁ、と感慨深く帰宅。
同席していた傘職人が、デッドストックの変わったパターンの傘があると教えてくれたので翌日突撃。
「しとしとぼっちゃん」の傘とはテイストがまるで違うが、70年代後半のan・anの広告で見かけたようなパターンの傘に狂喜して片っぱしから広げてゆく。今どきの傘よりスリムだけれどかなり重量があるのは、鉄の骨を使用しているから。でもなんでも軽けりゃいいってものではない。おしゃれは辛抱。
ああ、早く雨が降らないかなぁ、これでステキな洋服と出逢えたら、とずっしり重い傘を抱えて夕暮れどきの商店街を歩く。


観たかった展示にふたつ、行くことができた。
「日本の素朴絵」は友だちに奨めておきながら自分が見逃すという何度も犯した失敗をやらかすところだったけれど、奨めた友だちからとてもよかったと聞いて会期終了前日にすべりこみ。
素朴っていい言葉だけど、稚拙とは決して違う。とてもよく描きこまれた大昔の絵から、描いた人の生まじめさが伝わる。建物のパースがおかしいところが特に好きだ。入口に立っていた、いのししを抱えたハニワを見たときから、来てよかった、と思った。

翌日は楽しみにしていたプークさんの人形劇「オッペルと象」を観劇。
途中、よくわからない涙がにじんだのは自分と友だちだけではなかったようだ。
自由になったんだ、の言葉に胸が痛くなったのは自分が年を重ねたせいか。自由とはとても不自由なことだし、これまでのように仲間と仲良くやっていけるのか、などおせっかいなことを考えこんでしまった。

それから思いきって「原田治展」へ。
こちらも、このままでは行かないうちに会期終了になってしまいそうだったので、件の友だち(「MOD BAR BER」のオーナーと親しい、別のサロンの女主人)にお奨めという名の予告をしていた。

原田治といえばオサムグッズのイメージであったが、展示されている雑誌のカット等を見たら、あ、これも、これも原田治だったんだ、と驚くことしきり。昨日傘職人から仕入れたデッドストックの重い傘のパターンによく似たイラストも何点もあり、好きなものすべてがつながっている!と、うれしくなった。

それにしても、いくつもイラストのスタイルを持っている人!さらにイラストだけでなく、多才な彼はアトリエまで設計したという。
なんてステキなアトリエ!


いつもより濃いめの週末、酒場で酒もきっちり飲んだが、最近ちょっと秋の気配。
じゃなくて飽きの気配。観劇後に行った伊勢丹でのランチになにか影響されたのか。
しばらくおとなしくしていようか、河岸を変えようか。

2019年7月22日月曜日

東京でいちばんおいしいハイボール

いろいろの用足しの合間に、ぽっかり空いた時間とお腹。
さてどうしたものか、と思案をめぐらしているうちに、あのお店が浮かんだ。
そうだ、あのお店の東京一おいしいハイボールで時間をすごそう。
世の中はランチタイム。しかしそのお店はそんな時間からひっそり開店し、夜は意外に早く店じまいをするのだ。
今日ならあのカウンターに並ぶおもしろそうな本をめくりながら、いや背表紙をながめるだけでもおもしろそうだけれど、小さな紙に書かれたおつまみのメニューをじっくり研究することもできそうだ。

変わったつくりのビルの変わった形のエレベーターに乗り込んで目当てのフロアに下り立つと、果たしてそこには、あの扉が待ち受けていた。

時計を見たら開店時間ぴったりで、当然口開けの客であった。
ハイボールをください、と言い、さっそくカウンターに並ぶ本の背表紙を見る。どれもじっくり読みたい本ばかりだ。はやる胸を抑えて、小さな紙に書かれたメニューを見る。どれも味わってみたいおつまみばかりだ。
目を本とメニューにやったまま、東京一のハイボールをすする。
どうしてこんなにおいしいハイボールをつくることができるのか、以前その秘密を訊ねたことがある。特別なウイスキーを使用しているわけではないとのことで、ますます謎は深まった。
「Bar GABGAB」の水割りがおいしいのは、白ママの自宅近くの神社の手水を使用しているからではないか、という話はこの界隈では有名な話。


そういえば朝からなにも食べていなかった。
穴が開くほどメニューを見て気になった「緑のきつね」なるおつまみを頼んで、カウンターに置いてある瓶の中の落花生をつまみながら、気になった本をそっと開く。
こんなおもしろい本を無造作に置いているなんて、私のような客がヘンな気を起こしたらどうするのだ、と喜び怒っているうちに「緑のきつね」の皿が目の前に置かれた。
緑のきつねって、そうか、こういうことか、とにやにやしながら口に運ぶ。

おいしい。
たれている目がさらにたれるほどおいしい。見た目も実においしい。
写真は撮らない。撮ったとしても誰にも見せたくない。
ああ、今すぐ誰かに伝えたいこの気持ち。
あの友だちとあの友だちとフンド氏に自慢したのちに、一緒にここへ来てまた食べたいくらいおいしい。大騒ぎしたい気持ちをぐっとこらえて、2杯めのハイボールに口をつける。おいしい。2杯めも、やっぱりおいしい。

こんな時間を過ごしたのは久しぶりだなぁ、と千鳥足で店を出る。
外は当然明るくて、世の中はまだランチタイムであった。

2019年7月11日木曜日

ほおずきの香り 紳士のはじまり

あさがお市もほおずき市も終わった。

ほおずきが残り少なくなった夕暮れの浅草寺は、打ち水とほおずきの青臭いにおいで、なんともしんみりした気分になる。
しんみりするとロクなことはない。あわてて酒場へ急ぐ。

こんな夜は「ニューねこ正」ではなく
「おいてけ堀」でぼぅっとするのが気分だ。
フンド氏のお父さまが行きつけだったこのお店は、入口近くのカウンター席が好きだ。
にぎやかだけれどうるさくなく、ちょうどいいお店。



たまには誰とも話さず、スマホも見ずに、ぼんやり飲みたいものだ。
やらねばいけないあれやこれや、憂鬱なあれやこれやをとりとめもなく考えたり、本を読んだり、まわりを見まわしたり。
ふと気づくと、カウンターの離れた席で若者がひとり酒を飲んでいた。
チェックのジャケットが涼しげで、なによりひとりを愉しんでいる様子が好もしい。
ご近所さんが、お勘定時に美人女将に軽口を叩いているのを見て微笑んでいる様子に、私の考える「紳士」の片鱗を見た。

1.美味しい肴があり愉しいお酒が飲める、そんなお店をいくつか知っている。
2.常連ぶったり、お店のひとにタメ口をきくようなことはしない。
3.大勢で行くとき以外、安いだけのお店には行かない。
4.決して最後の客にはならない。

フンド氏から見てとった、私なりの紳士像。私は、今のところ4があやしいかな。



・・・というより、たまにはジムに行こうぜ自分。

2019年7月8日月曜日

年に一度のお楽しみ

福島県は二本松へ、今年も走りに出かけた。

マラソンが盛んなこの地で今年50回めを迎えた「東和ロードレース」は、坂道しかない通称「地獄坂」と後半500mの「極楽坂」で構成されるハーフマラソン大会。
毎年暑さとひどい湿度で時間内に完走することさえ厳しいこの大会、本音は・・・走りたくない!けれど、一昨年初参加した際に仲よくなったおじさん(文通友だち)と顔を合わせるのが愉しみで参加している。

今年は雨降りで肌寒く、びしょぬれでひいひい走っていると「通称・いつもの場所」こと6㎞を越えたあたりでおじさんを発見。おーい、と手を振ると、おじさんはおもむろにカメラを構えた。

ゴール後、記録証をもらう列で後ろにいた方と少し話す。この方は77歳にして20年以上この大会で完走しており、来月は51㎞のトライアスロンにも出るという。すごい!がんばってください、と心から激励した。


おじさんカーに乗って、安達太良山方向へ向かう。
おじさんカーにはバケツの底ほどの大きさのカサを持つ、特大きのこが乗っていた。たぶんしいたけだと思うけど食えないよ、となんでもないように言う。

霞ヶ城のすばらしい石垣を見学したり、美しいしらさぎの悪行の数々を聞いて大笑いしているうちに温泉に到着。
まじめに走らなかったからカラダのあちこちは痛まなかったが、すべすべ温泉につかったら疲れがとれた。
念願のお蕎麦は、食べている最中におじさんがもう一人前追加で注文してくれており驚いたが、おいしかったので当然完食。

郡山駅まで送ってもらい、また香り豆送ってくださいね、とずうずうしいお願いをして慌ただしく別れる。いつのまにか親戚みたいになっているおじさんと私。


そういえば二本松へ向かう東北本線で、目の前にCreepy nutsのDJ松永にそっくりな若者がいたので、聴いていたiPodを彼らの曲に変えてこっそり観察した。
髪型も顔も完璧、でも靴下とベルトが残念であった。(余計なお世話だ)


楽しかった日のことは、わかってくれる誰かに話したいもの。
帰宅するやいなや、傘をさしてかわいこちゃん酒場へ。
(この日かわいこちゃんは触らせてくれなかった)

このところ日曜日によくここで会うひととマラソン話で飲み上げ、さて最後はなにを飲もうかと考えていたら、大将が「大会おつかれさま」と一杯ごちそうしてくれた。
大将がこっそりつくってくれたハイボールは、休日のしめくくりにぴったりな味でとてもおいしかった。

2019年6月20日木曜日

予定は未定で

すれ違うひとが、ひとりでにやにやしていることがある。
そんなときは、思い出し笑いかな、楽しそうだな、などと思う。

帰り道、いつものラジオを聞きながら歩いていた。
その日はいつものスタジオライブが公開ライブで、しかも1曲めから大好きなあの曲。
しかもしかも、すすすんごく盛り上がってる!
鳥肌が立ち、なぜか目が潤んできた。口角は上がったまま下がらない。
夜とはいえ、涙ぐみ笑いながらものすごい早さで歩く中年は、完全に不審者だ。
ああ、ウイスキーが飲みたい。
しばらく見るのも嫌だったウイスキーを、水割りから始めてロックで飲みたい。
喉の渇きとウイスキーへの餓えでますます早歩き。


あの興奮をもう一度、と、その翌朝もそのラジオを聞いてみる。
(Radikoのタイムフリー機能を考えた人、感謝です)
昨夜聴いたあのライブが始まると、やはり鳥肌、涙目、薄ら笑い。完全に不審者だ。


これから暑い季節がやってくる。
今年の夏にぴったりな曲も紹介してもらったし、この夏は楽しみだなぁ。
特に予定はないけれど、予定がないのがいいんですよ。

2019年6月3日月曜日

体調が悪くて健康的な日々

あれからずっと、大酒が飲めないでいる。
カラダが、アルコールを欲していないのだ。
ウイスキーが、特にだめになった。
大好きだった日本酒さえも、今は顔も見たくないほど。

こんなことは今までなかった・・・って歌が昔々あったな。
なんてせつない大人の恋の歌!と感心していたら、なんてエッチな歌詞なんだ!と感心している男子がいたな。元気だろうか。


同級生たちと初めて一緒に出たマラソン大会。
お天気も気温も、大会そのものも、なにひとつ言うことはないほど、いい日であった。
ただひとつ、自分の体調を除いては。


大会前日は、文太くんにトレーニングに付き合ってもらった
・・・が、この日はとてもさわやかな、いい天気。
この時期に帰省することはなく、めずらしい花なんかも咲いているので、散歩に変更。
りんごの花をもっと微かにしたような香りの、低木についていた花。
調べたら、キウイの花であった。
矢車草やしろつめ草、あかつめ草やわすれな草がそこかしこで咲き乱れており、ほんのひと月でこんなに違う花が咲くのか、と感心した。
文太はいつも、キジの声を聞いて日がな一日過ごしているらしい。
たまの私との散歩では、おぼれない程度の深さと水量、そして美味しい水の流れる側溝探しに余念がない。
この日はかなり軽めにキメたつもりなのだが、帰宅するなり文太は大きなため息をついてバッタリと寝てしまった。

結局このトレーニング(散歩)だけで臨んだ、第5回安曇野ハーフマラソン。
ここ最近の著しい酒量の低下と、なくなった悪いクセの効果は特になく、カラダが前に進まない苦しい21㎞であった。

途中、後ろを走っていた男性が、あの花はラベンダーですか、と沿道の人たちに尋ねていた。矢車草だよ、と言いたかったが、息も絶え絶えで言えず。

この大会に誘ってくれた同級生たちとはまた別の、同じ中学校の仲間たちと不思議な再会を果たし、帰りのシャトルバスの行先を間違えて豊科の温泉郷方面まで往復ドライブしてしまったのも、いい思い出。わさび沢の水がきれいだったなぁ。
・・・はとエアラインに乗んなさいよ。


同級生たちと別れて駅をぶらぶらしていたら、大雪の初デートで見た0番線ホームを発見。
感慨にふけることもなく、ホームにお蕎麦屋さんを見つけて喜び勇んで入った自分にウン十年の月日を感じて、悪くないな、と思った。
帰りの電車でためしにワインを飲んでみたが、カラダは喜んでいなかった。
さらにカラダが欲していないというのに、おさわりOKのかわいこちゃん(ねこ)のいる酒場へ。
大将がくれたかにかまを、おさわりNGのかわいこちゃんに食べさせるという、たまらないサービスをさせてもらって、そこそこ酔って帰宅。やはりカラダは喜んでいなかった。

調子が悪くて健康的、というのが腑に落ちない。