2021年3月22日月曜日

夜ふけの浸し豆

大相撲三月場所中日、相撲の大先輩と初めての相撲観戦。
中日には何かが起きると思ってはいたが、好取組がいくつもあり、特に宇良・炎鵬戦は十両の取組とは思えないほどの盛り上がりで興奮した。1敗同士の照ノ富士・高安戦は、大関復帰が見えている照ノ富士と今場所圧倒的に強い元大関の高安のアツい戦いに手の平が腫れるほど拍手。
(もちろん横綱は不在でしたけど)
興奮冷めやらず、この日まで時短営業の酒場へ急いでほんのちょっと話しているうちにあっという間に閉店時間。久しぶりに時間泥棒が現れた。

帰宅後、水に浸けておいた鞍掛豆を火にかける。幼なじみのお母さんがつくった浸し豆がとても美味しかったのを思い出して幼なじみに作りかたを覚えているか訊ねると、そんなの目分量よ、調味料もそのたびに違ってたかな、とにかく味見しながら熱いうちにまぜるのが重要との返信。
そうだった。母親の料理とはそういうものだということを忘れていた。しかし年齢はいっちょまえでも経験の足りない私にそんなことができるのか不安だし大事な鞍掛豆をムダにしたくないなぁ。
浸し豆はあちこちでいただいたが、薄い出汁がしっかりきいているようにみえて実は出汁は使っていないと知って驚いたものだ。などと思い出しながら調味料の入ったケースを漁ると、いつ誰にいただいたのか米麹の調味料を発見。あんた酔ってない?と自分に訊いたら酔ってないと言うので茹であがった鞍掛豆にそれを投入。熱いうちに混ぜて混ぜて混ぜまくって味見したら塩味が足りなくて塩を投入。それにしてもいつから塩味を「しおあじ」でなく「えんみ」と言うようになったのか、などと考えながらどんどん塩を投入。
とても美味しくなったのでひとつふたつ口に入れているうちに止まらなくなってたまらず酒をお燗したのは言うまでもない。

2021年3月10日水曜日

ニッキラン

未だニッキ熱が冷めない今日この頃、「ニューねこ正」の美人女将に教えてもらったニッキの母校目指してランした休日。彼が幼少時に過ごしていただけの地になにがあるわけもないが、走るにはちょうどよい距離だった。
小綺麗な彼の出身中学校に特に感慨はなく、河川敷の桜をじっと見てからとりあえず最寄りの駅にも行ったがここも当然小綺麗でニッキを感じられるものは皆無だった(当たりまえだ)。しばし駅周辺をパトロールしたのちに線路脇から適当に進むと、いかにもよさそうな本屋さんを発見。
外の文庫本だけチェックしようと思ったがイベントの告知などがかなり気になって店内へイン。お店の広さも本のセレクトも好みだし、なにより地元のフリーペーパーもミニコミも充実している。しかも欲しい本が3冊もあった。ただし3冊も本を持って走って帰るのは大変なのでまた後日来よう。

そこでもらったフリーペーパーがとても素晴らしかった。こんな画期的なフリーペーパーが生まれる、そしてそれを紹介するすてきな本屋さんが根付く町にニッキは生まれたのだなぁと、思いがけない出逢いに無理やりニッキを結び付けてその晩会った飲み友だちに熱弁をふるうも、この日の自分の行動に軽くストーカー臭を感じて深く反省。

2021年3月8日月曜日

謹慎生活に入ります

朝から皇居でLSDの休日。
しばらく利用していなかったランステの受付のお姉さんが、常温のお水ですよね、と覚えていてくれたことに感激。
1周5㎞の皇居でLSDとはどういうことなのか気づかずにのこのこ桜田門へ向かうとまたもやエリートランナーしかおらず、最低4周ね、と言われて愕然。
この日別メニューで走ったエリート中のエリートは最高で8周したことがあるとか。彼はものすごいスピードで5周走り、私も最終周で遅れつつもなんとか4周を走り終えて、まずまずの込み具合の皇居を後にしておつかれランチへ。
数時間後に近所の飲み仲間との飲み会を控えていたが、走ったあとなのでビールが止まるわけがなく快調にペースは上がってゆく。こんな感じで走りのペースも上がればよいのだけれど。

まだじゅうぶんに明るい空の下をひと足お先に帰宅。それから間髪入れずに待ち合わせ場所の酒場へ向かう途中で顔見知りのお豆腐屋さんとばったり。こんばんは、にはまだ早い時間だな、と口ごもっていると、いってらっしゃいと声をかけられた。午後にここを歩いているということは酒場へ向かうのだなと分かっていらっしゃる。
この日早くも2軒目となった「おいてけ堀」で待っていた飲み仲間たちは女性のみ。店内ではひとり客たちがいつものように静かに飲んでおり、ほたるいかが美味しかった。
いつもは私もひとりしみじみ飲むのが好きなこのお店なのに、昼のビールが効いたのか気づけば誰よりも大きな声で騒いでは飲み、飲んでは騒ぎ。
翌日、起きるなり頭を抱えて反省し、しばらくは謹慎生活に入ろうと決意した。

2021年3月5日金曜日

愛はおしゃれじゃない

いつもなかなか入れない、フンド氏がいつか君と行きたいと行っていた酒場に運良く入れた日。
結局フンド氏と来ることはなく、最後に来たのは幼なじみとだったか。田舎の地酒「今錦」があったので注文。すぐにやってきた地酒はとても美味しくて田舎に帰りたくなってきた。それからたのんだ牡蠣の塩辛がたいへんおいしくて鼻息荒く堪能していたら隣の方も同じものをたのんでため息をついていた。おいしいですねぇと声をかけたかったが変な中年だと思われてもナニなのでしみじみ味わう。
帰宅してイヤホンをつけたままベランダで一服。爆音でギターの音が鳴ると、若い頃に部屋で爆音で音楽を聴いていたときのような高揚した気持ちになるのはなぜか。
毎朝、ゆっくり長く咲くんだよと言い聞かせているベランダの沈丁花がとてもよい香り。

2021年3月4日木曜日

ピカソのコート・ダジュールが

まずまず労働をがんばった夜、コロナ禍でなければ普通に飲みに行くことができる時間なのにタイムリミットが迫っていたので帰宅途中のワインのお店へ。
幸運なことにカウンターの隅が空いていたので滑り込んで白ワイン。ここで以前飲んだワインではなくまずは一番安いやつ。それでもじゅうぶんに美味しくて気持ちがほぐれる。たのんだピクルスが美味しかったのでついにお目当てのワインを注文。ワインの用語を知らないのでなんと言ってほめたらよいのかわからないが、何度も香りを嗅いでは啜っていたい、酔うよりは目が覚めるような味。
その晩お供にした本がフランス料理のレストランの本だったからか次の日は、前から行きたいと思っていたいくつかの展示の中から「ピカソ コート・ダジュールの生活」を選んで突撃。
特にピカソが好きなわけでも詳しいわけでもなく、何かで見かけた作品がとてもよかったのだ。ピカソがセラミックの作品をつくっていたことさえ知らなかったが、何かで見かけたその壺はモノとして欲しくなるほどすてきだった。
会場は初めて行く美術館で、こじんまりとした静かな空間。そこで観た乾ききっていないまだ柔らかい皿にピカソがどんどん線を彫っていく映像と、ろくろから外したばかりの瓶状のものをひねったり軽く潰したりして別のものにしていく映像がとてもよかった。指に煙草をはさんだまま、さっさと彫ったり塗ったりしている様子がとても楽しそうでしかもカッコよかった。特にヤギの皿とお菓子の絵がよかった。
なん十枚もの皿が壁に並ぶ圧巻の展示を観ていたら、ほぼ同時に観ていたご婦人ふたりが気まずい雰囲気に。せっかく誘ってくれたのにイヤな気持ちにさせちゃってごめんなさいね、との言葉に耳が傾く。ヒモよね、なとど聞こえてきて男の話なのかとますます耳は傾いて、コート・ダジュールがいっぺんに団地の公園になってしまった。

2021年3月3日水曜日

チーズに塩 祭りおにぎりに菜の花

フンド氏のお父さんの行きつけだった「おいてけ堀」は今や私の行きつけの酒場。
誰とも話したくないけれど家で飲むのは寂しいときの大切なお店。
初めて同行したご近所の飲み友だちがチーズを注文。数切れのチーズに添えられた塩について、人懐こいその友だちが4代目の坊っちゃんに訊ねた。いつもは無口な色白の坊っちゃんが言うには、初代の曾祖父さんの頃にそうしていたみたいで当時はそれが洒落ていたのか単に酒飲みはしょっぱいものが好きだからなのか、とのこと。初代の曾祖父さんということは、フンド氏のお父さんがこのお店に通っていた頃の大将。お父さんがこのチーズを食べたかどうかは知らないけれど、この話ですっかりチーズに塩が気に入った。

久しぶりに姪っ子たちとお料理した週末。
想像だけで作っていた頃より格段に下手になった祭り寿司ならぬ祭りおにぎり。
形はぶさいくだったが初めてつくった姪っ子たちは喜んでくれたし、ほんの少し入れた菜の花の苦みがよかった。
もっと練習して、いずれはかたつむりの祭りおにぎりをつくりたいものだ。

2021年3月1日月曜日

マンネリ上等

毎朝フンド氏と自分のために淹れるコーヒーの、そのコーヒーメーカーはメイドイン香港のおもちゃのようなもの。ネルドリップなんかも使ったことがあったけれど、結局これが好きでかれこれ5年は使用している。いつの間にかあちこちが取れてしまっているけれど、いつもの朝の唯一のおごそかな習慣には欠かせない。

先々月末からよく走るようになった。
先月は200km以上走ったしまた元の体型に戻れるかしらんとにやにやしながら体重計に乗ったが体重はビタイチ減ってはいなかった。
肥えたせいで、距離は一丁前でもほとんど歩いているので、たまに友だちとLSDをすると、今までのはLSDではなくて散歩だったと気付かされる。先日の神田川上流ランもそうで、故障中のエリートランナーでさえ涼しい顔をして走っていたのに、途中から口もきけないほど苦しくなった。後半、友だちの豪邸に寄って素敵な庭でコーヒータイムをキメて約20kmでゴール。温泉で温まったあとは4人で近くの食堂のメニューのほとんどを食べつくした。
ビールでほどよく酔って満腹。夜は家で本でも読んで過ごそうと思っていたら、しばらくお邪魔していなかった酒場の大将から新入りねこの写真がたくさん送られてきた。さっそく出掛けてみたがあいにくこの日は出逢えず。そして後日またもや大将から新たなねこの写真が。
いつもの場所にいつもねこがいる日々がまた始まる。同じことの繰り返しがいちばん安心。