2022年6月23日木曜日

機嫌のいい人

いつもの公園で、美味しそうにお弁当を食べる男性が向かいのベンチにいた。
彼はゆっくりお弁当を楽しんだ後、今度はいかにもおもしろそうに本を読み始めた。

何を読んでいるんだろうと気になるほど貪るようにページをめくる。気付けば、短いお昼休みを満喫して彼はいなくなっていた。
さて私も戻らなきゃと立ち上がると、ひとつだけ誰も座っていないベンチがあった。ちょうどそのベンチにかぶさるように繁っている大きな木に赤い実がたくさんついており、その実がベンチいっぱいに落ちていたのだ。これはなんの実だろうとしばらく見ていると3人の若い男女がやってきて落ちている実を指差してああだこうだと喋っている。中国語のようだったが、こうして3人の若者が休憩時間に木の実について話している姿はよいものだった。それにしても名前が知りたくて調べたところ、ヤマモモであることがわかった。

田辺聖子の小説に、機嫌のいい男が出てくる話があった。なるほど、機嫌がいい人って幸せそうでいいものだなと思って、毎朝フンド氏とぼっちゃんに、ねまちが今日も機嫌よく過ごせますようにとお願いすることにしている。
今夜も機嫌よく眠れますように。

2022年6月21日火曜日

忘れもの

教えてもらいたいことがあって義兄の千葉のアトリエへ行ったらお手伝いをすることになり、それはそれでとてもためになってよかったとしみじみ思った翌日は今年で開花70周年という大賀ハスを見に、また千葉は千葉公園へ行った週末。
1週間だけのハスのお祭りはとてもにぎわっており、日の高い時間に行ったにも関わらず薄くてきれいな花びらを見せてくれた。イベントのテントもたいへん面白かった。
千葉公園から稲毛まで走り、せっかくなので海岸にもと思ったが思いの外遠いみたいなので断念。駅の近くのお店の柴犬をじっと見たりお豆腐を買ったりして電車でさようなら。コーヒー豆を買いに行ったら面白そうな本を2冊も見つけた。

よい休日を過ごした翌日はお弁当の箸を忘れた。
図書館に向かう日陰のベンチを確保してお弁当を取り出して気付いたが、コンビニは遠いし手ごろな枝も落ちていなかったので、しばらく考えて親指と人差し指で食べることにした。辺りを見て、どうせ誰も見てないさ、とイキりながらも最初はこそこそつまんで最後は私はインド人と言い聞かせながら3本の指でさらって完食。

その夜は街ラン。むし暑くて、雨の赤坂を走った先日と同じくらいびしょ濡れ。仲間のひとりの様子が違うと思ったらランTシャツを忘れたのでワイシャツの下の肌着で来たとのこと。よくあることよ、と笑ったが、以前私も替えの下着を忘れて気持ち悪い思いをした。それを別の友だちに言うと、私もあったよ、ノーパンで帰ったよとあっさり。しかもそんな日に限って白のジーンズでさあ、早く帰ればいいのに飲みにも行っちゃったと。シューズを忘れて革靴で走っていた友だちもいた。
肌着、ノーパン、革靴ランナーにお弁当を手で食べる母さんか・・・

2022年6月14日火曜日

トップガンとアスパラガス

フンド氏なら観たかもしれないが私には縁のなかった映画、それは「トップガン」。
すっきりする映画をみんなで観ようや~とのランのコーチの一言で決まったこの日、30年以上前に公開されたものも観ていないのにのこのこ出掛けた。

映画は目まぐるしく、すっきりというよりどっと疲れて映画の余韻そのままに新宿3丁目の雑踏の中で、みんな無事に生還したことに安堵した。
コーチに連れていってもらった焼き鳥屋さんは店先の提灯が骨だけで薄味の味噌だれも美味しくてまったく好みだった。ラン抜きで会っても楽しかった。

その翌日は友だちと上野動物園、のつもりがものすごい人の波に行く気が失せて隣でやっていたフィリピン祭りへ、と思ったらここもまたものすごい混雑。裏にまわって衣裳ケースに漬け込まれた大量の肉だけ見て喋りながらぶらぶら。不忍池から吾妻橋、谷中から田端、そして池袋とよく歩いたしよく喋った。

市川で友だちと邂逅。陽気な飲み会。
帰宅後、そろそろ元気がなくなってきたアスパラガスを茹でてザルにあけたまま寝ると翌朝アスパラガスがずいぶん減っていた。ねまちが夜中に遊んでいたらしく冷蔵庫の下から何本ものアスパラガスが。オンラインマラソンの参加賞の佐藤錦もよく転がって楽しかったわよ。

2022年6月9日木曜日

近くで祝ってるわ

ねまちが1歳になった。

前夜は「サロン・ド・こけし」の女主人と「BAR GABGAB」でおいしいハイボールといちじくのおつまみで楽しい時間を過ごし、帰宅してねまちと遊びながらその瞬間を待った。

爪切りをしてもらいに病院へ行くと先生が、この子はペットショップで、でしたよねと言うので、いえいえ野良ですと応えると、えっこの子が野良してたんですか、だってどう見てもサイベリアンよと驚いた。そうなんです、前にサイベリアンに似てると先生が仰ったので調べたら確かによく似ていてジャンプ力がすごくて、あっ今日で1歳なんですと畳み掛けると先生はへぇ、信じられない野良だったなんてとしきりに首を傾げていた。ねまちがなんでも構わないがなぜかうれしかった。

ねまちのちょっといいごはんを求めて走りに出たが、そういえば今月の花木札をもらっていなかったと思い出して根津神社へ向かった。途中、気になったお蕎麦屋さんに寄ったらとてもいいお店でうれしくなり、不忍池ではもう咲いていたくちなしの花の匂いをかいだりあじさいを見たりして到着。6月の竹の木札と薬玉の木札も手に入れて、ねまちのちょっといいごはんのお店へ。

1歳になったんだと思ったときから松任谷由実の「誕生日おめでとう」のフレーズが頭を回った。
1歳1歳ってうるさいわね!

2022年6月7日火曜日

意地でも公園

一日中雨の予報、しかもかなりの大雨と聞いてはいたが、先日の雨の公園ランチの様子を見たくていそいそ出かけた昼休み。
こんな寒くて大雨の日でも傘を差してお弁当を食べている人はいるのか、と思ったらやはり誰もいなかった。少し歩くだけで水がはねかえりパンツの裾がびしょびしょになるほどの雨降りだもの。屋根があっても濡れてしまうもんね、と納得したが持ってきたお弁当はどうする。

公園の入り口でしばし考えて、唯一屋根のあるモニュメントなのか物置なのかわからない建物へ向かった。なんとか濡れずに座ることのできるスペースを確保してお弁当を広げた。こんな日に限って短い丈のパンツにスニーカーソックス。寒い。公園を行きかうまばらな人々を震えつつ眺めながらも、前夜ていねいにつくったお弁当がおいしい。
ふと気づくと少し離れた隣におじさんが立っていた。ちらちらと見ると立ったまま何かを食べているもよう。仲間であった。心強くなったが立ち食いおじさんはいつの間にかいなくなっていた。

その晩のランの練習会になっても雨が止むことはなく、霧雨と小雨の夜の赤坂をみんなで走った。夜の豊川稲荷はずらりと並んだ提灯がきれいでアトロクがオンエア中の赤坂サカスは裏の路地からお邪魔した。この晩走ったメンバーが実はラジオ好きということがわかってうれしかった。アフターは酒場でサッカー観戦。酒場全体がスポーツバーのようで懐かしかった。

翌日は午後から小雨の予報。小雨ならば当然公園でお弁当でしょうとおかしな耐性がついてしまった梅雨入り初日。
雨傘ばかり使ってるから日傘を「ニューねこ正」に忘れたことも忘れてたのよね。

2022年6月1日水曜日

初夏をあきらめて

今週に入ってから、私の大の苦手のバンドの曲がラジオから流れまくっている。
労働しているビルの真隣は工事中で騒音がひどく普段はラジオなどまったく聞こえないのに、騒音が途切れるほんのわずかな時間にあの苦手な声が聞こえてくる。自分で騒音を出したり早く工事を再開してくれと祈るしかなく毎日が修行のよう。

いつもの公園でお弁当を食べ終えたら、シロツメ草の花の匂いでむせかえった。先日は久留里で草刈りをしているところを通りかかって青臭いなつかしい匂いを胸いっぱい吸い込んだ。
夜中ふと目覚めると枕の横にねまち。横向きに寝ていて寝返りを打とうとすると背中にねまち。朝方ベランダの窓を開けろと小さな声で鳴くねまち。
ラジオからあの苦手な声が聞こえると、春の草のいい匂いとねまちの柔らかい手ざわりを思い出して現実逃避。この声を聞くことなく、好きな音楽だけ聴いて四六時中いい匂いの中でねまちと遊んで暮らせたらなぁ。

やはり宝くじを買うべきか、と先日の街ランでラン友さんと話したことを思い出す。
引っ越しも断念したし、さえない初夏だ。

2022年5月30日月曜日

休日の特別なランチと「森の時間」

もしかしたら走る気になるかもしれないとランの格好で家を出るも、あっという間にお蕎麦屋さんにインした休日。
九条葱を山盛りにした冷やしたぬきそばのおいしかったことよ。それから「喫茶ニャーゴ」で豆をひいてもらいながら先日行った霞ヶ浦の話をすると、茨城県は多くの野菜が生産量日本一であることを教えてもらった。
誰も宣伝しないから知られていないけれど、ブランドかぼちゃなんかもあるんですとのこと。そういえば秋田の友だちも同じことを言っていた。実は納豆の発祥地は茨城ではなく秋田だが県民性なのか誰も主張しないので茨城に譲っていると。しかしこの話は議論を呼びそうなのでこの日は黙っておいた。

甘夏書店さんで開催されていた「手描きのブックカバー展」が終わり、搬出に向かった。久しぶりの甘夏書店さん、ブックカバーは引き続きネット販売してくださるとのことでありがたい。そして来月の楽しそうなイベントや川の向こうのパン屋さんの手拭いがかわいいらしいこと、さらに畏れ多くも今回のブックカバー展でご一緒したあるイラストレーターの方の、もう終了したかもしれない展示の話をしたら、その展示が明日までということを教えてもらった。しかもその展示をしているブックカフェの店主さんの話や美味しいチーズのこと、駅前にある湧水が実に美味しいことなどを聞くうちに、これも何かの縁と、ちょうど何も予定のなかった翌日に行くことを決めた。
弾みがついて川の向こうのパン屋さんへ走って手拭いを買い、コーヒー屋さんに教えてもらったハワイアンなイベントで竜眼ジュースを飲んで帰宅。
夜は「ニューねこ正」で年に数回、東京場所の際に顔を合わせる大阪のママちゃんと遭遇。とてもかわいらしい白鵬の大ファンのマダムとはこの日初めてゆっくり話してその行動力に驚いた。先日美人女将に熱海はいいですよと言われた翌日に一泊でひとり旅をしてきたそうで、ねえ写真見てと言われて覗き込んだスマホにはこの日断髪式だった豊ノ島のマスコットが揺れていた。
それから隣の席のおじさんとも盛り上がり、二軒隣のバーで3人で乾杯。途中、なんだろうこの3人、とおかしくなった。

翌日は予定通り千葉県は久留里のブックカフェへ。
のんびりしていたら行きの電車に乗り遅れ、乗り換えた高速バスでは珍しく車酔いして昼過ぎに到着。商店街の中で下車してしばし呆然と立ち尽くす。楽しそうなお店がたくさんある!
少し歩いてお目当ての「TIDE LAND BOOKS」の扉を開けると、いろんな食べものの濃い匂いで満たされていた。入口近くのカウンターでひとり静かに本を読んでいる男性のほか、ほどよくにぎやかな店内と本の数々。絵画展「森の時間」はちょうど案内されたテーブルの壁から展示されていた。この方の絵は初めて見たときからいいなぁと思っていたが、先日友だち夫婦に連れていってもらった松山庭園美術館でのこの方の作品との偶然の出会いから、もっと好きにになった。それにしても美味しかった地元の玉子とチーズだけを使ったカルボナーラ。あっという間に食べ終えてしまった。食べ終えてからもまた改めて作品を見て歩きポストカードを選んでいると、今日はご本人が在廊しているのでサインもしてもらえますよ、と店主がにっこり。はたしてひとり静かに本を読んでいたのがご本人であった。
急な展開にしどろもどろになって結局伝えたいことの1/10も話すことができず、それでも親切に話しかけてくだすったカイズケンさんは絵の雰囲気とぴったりの方だった。
後ろ髪を引かれながら駅へ向かうと先ほど気になったお店の数々。しかし満腹と満足でもうおなかがいっぱい。また次回にしよう。
駅前の湧水を汲んで飲むと、本当だ、本当に美味しい。ボトルに詰めた水は帰りの久留里線の中でちびちび飲んだが、前日カフェikkAさんで手に入れたケニアの紅茶を淹れたら美味しいだろうと思いついてあわててふたをしめた。
「森のパフェ」って絵だったかしら、あれいいわよね。あとわたしにそっくりな子の絵もよかった。