洋服を扱う仕事をしているその友は、いつもどこかおもしろい洋服を身に着けている。
そしてたまに同じ靴を履いていたりすることがあって、おかしい。
デザートはあまいものが好きな彼に譲って、私はもう一杯いただくことにする。
白熱した話題がひと段落したとき、またこの名前が耳に飛び込んできた。
「ハセガワさんでしょ、それ」
「ハセガワさんかなぁ」
「たしかにハセガワさん、ハセガワさん」
「そうね、ハセガワさんだったら納得」
お、話題にされてんじゃん、と友は軽口を叩くが、私ハセガワは心臓が止まるかと思った。
前もこんなことがあってさ、と話そうとしたら、今度は隣のテーブルから
「あのときメグミちゃんがさ」
「そうそう、メグミちゃんがねぇ」
「メグミちゃんって、そういうとこあるよね」
との声。
どこかの「メグミちゃん」の話しをしているみたいだったけれど、またも心臓がどきんと音をたてた。
(前回のハセガワさんとちがって、こちらはどこか不穏な空気)
さっきまでの白熱した話題はどこへやら。
さ、もう帰ろう、と席を立った。
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