あれからもう1週間近く経つというのに、まだ興奮が醒めない。
ふと気づけば「〽愛はおしゃれじゃな~い」とくちずさんでおり、夕暮れどきに歩いていると、心地よかったあのときの風を思い出す。
タオルもサングラスも帽子も鍵も、やさしさも落としていない。
ただ、頭のねじをいくつか落としてしまったようだ。
聞いていたラジオがおもしろくて、帰り道に迷子になった。
ここはどこ?と踵を返すと、朝たまに通る道であった。
逆に歩いていただけなのに、どこまで方向音痴なんだ。
誰も見ていないのに恥ずかしくなって、もくもくと歩いて思わずいつもの酒場にイン。
酒場には、ここのところよく隣り合わせるプロ雀士。
こないだあすこに座ったとき、なに話したっけ?
う~ん、なんでしたっけ。
なんだっけね、思い出せなくてさ。
え~と、え~と
どうせたいした話しなんてしていない。
アハアハ笑っていたのだけ覚えている。
しかし、あの晩はさほど酔っていなかったというのに、なにも覚えていないとは。
頭のねじをいくつも落としたこの頭には、なにが残っているのか。
それは、楽しかった約1週間前のことだけ。
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