お彼岸の法要というものに参加した。
住職のお話しと読経のあとに
真打の噺家さんによる落語が予定されていることと、
そのあとに待っている、おいしい精進料理をめあてに、
この法事に参加するひとは多い。
春らしい「長屋の花見」を聞きながら、
薄めた番茶と、おしんことたくあんだけの花見を思い浮かべた。
すべて手づくりの精進料理は、
きなこのドレッシングが特に、おいしかった。
デザートのティラミスを口にしたら、
むかしむかし、アルバイトしていたケーキ屋さんを思いだした。
法事が終わって、未亡人友だちと二次会へ。
つめたい雨の中、
「落雪注意」の看板を持った人が何人もいたので不思議に思ったが
ビルの30階に上ってわかった。
ビルの30階では窓の外は吹雪いていて、
向かいのスカイツリーは展望台さえも見えず
時折雪のかたまりが川に落ちては、水しぶきを上げていた。
未亡人友だちとわかれ、さてどうしようかとぶらぶら歩いていたら観たかった映画の時間に映画館の前にいたので、
迷わずイン。
予告の間はにぎやかに話していた若い男の子が、
話が進むにつれて黙りこむほどに、
昭和の匂いで息がつまる映画であった。
映画館を出て、なお雨脚が強くなる中
お気にいりの傘をさした。
早く一杯飲みながら映画のパンフレットを見たくて
さまよう雨のお彼岸の夜。