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2021年7月27日火曜日

いつまでもあると思うな

旅の初日。
マンネリが好きなもので、夜行バスに揺られた朝はいつもの駅そばをキメようといそいそ向かうと果たしてそのお店は閉店していた。隣の大きめの食堂もなくなっており今月22日に新しいお店がオープンすると貼り紙が。22日、もうとっくに過ぎているじゃないの。
最後の日に、そういえばこの駅の外にラーメン屋さんがあったなと向かうとそこも閉店していた。しかし空腹のあまり感傷に浸る間もなく次なるお店を探す。

よせばいいのにどうしても欲しかった山菜の缶詰め(大)セットを手に入れたせいでリュックはとんでもない重さだった。着替えも化粧品も「センセイの鞄」のツキコさん並みに最小限にしたのに。そんな重いリュックを担いでこの日は朝8時前から歩き回っていたのだが、まともな食事をしていなかった。朝食はふかしたてのあわまんじゅうだった。開店前でまだ蒸らしてないからあんこが熱いよ、と言われたそれを大好きな只見線の中で食べた。今までで一番美味しかった。それから電車とバスを乗り継いで向かった美術館ではチケットを購入するやいなや踵を返して併設のカフェで何かをむさぼり食った。美術館の外の素敵な庭を眺めることができる特等席で何かをむさぼり食う人はほかにいなかっただろうし何を食べたかは覚えていない。作品はとてもよかったし余った時間に歩いた森の中も楽しかったがお腹は空いていた。バスで駅まで戻ったものの次の電車が来るまで炎天下をふらふら歩いているうちに耐えきれずセブンティーンアイスの何かを食べたことを今思い出した。
そこからまた電車に揺られて件の駅の外のラーメン屋さんにも振られたわけだが、駅前に古い食堂を発見して突撃。そこで食べたラーメンは醤油味と書いてあったがどう考えても塩味でそれがとても美味しかった。なぜか一緒に頼んだ冷酒と納豆もよかった。
しかし前日に見つけて慎重に持ち帰ったなんともいい雰囲気の納豆は、今までに食べたことのない強烈な匂いと味で二口で箸が止まったのであった。

2020年6月22日月曜日

雨にうたれて

週末は日帰りの旅に出よう、急に思い立って往復の乗り物を仮予約。
しかし現地での当日中の移動がどうにも不可能であることに直後に気付いて泣く泣くキャンセルしたその晩はまたもや深酒。つかの間の旅のときめきは消えうせたが、観たい映画と観たい絵がある。どちらに行こうかな、その前に久しぶりに走ろうかな、とわくわくしながらも何もしなかった二日酔いの休日。開き直って引きこもることにして早々におやすみなさい。

翌朝はまだ薄暗いうちに目が覚めたので、思いきって以前から行きたかった朝市へ出発。小雨がぱらついているのも気分よ気分、と傘を差して海のまちへ。
朝市は離れた3ヶ所で行われるとのことで、こぢんまりした岬の1ヶ所めをパトロールしたのちにしばらく歩いてバスを待つ。雨脚はだんだん強まりどしゃ降りになった。傘の柄をしっかり握りしめながら、どしゃ降りの早朝からよく知らない場所でいったいなにをしているのだろう、という考えが一瞬頭をよぎった。いけない。
2ヶ所めに着いたころには滝のような雨。当然朝市などやっておらず、なのにまだ3か所めを目指そうとする自分にストップをかけて海岸を目指す。
以前このあたりで入手したコーヒーがとてもおいしかったことを思い出して歩を進めるも店はまだ開いていない。時刻は午前9時前。当然だ。
買いものたくさんしちゃったらどうしよう、といくつも持ってきたエコバッグのせいで肩が痛い。海岸を歩くことはわかっていたのに白いスニーカーを履いてきたのもばかばかしい。
海には釣りに興じたりボートに乗ったり磯遊びをする多くの人たち。雲の切れ間からは青空が見えてきた。ぼさぼさ頭のカラスが波打ち際で遊んでいる。朝市への色気がまた出てきたが、ここはおとなしく帰ろう。


部屋を整理していたら出てきたという一升瓶の泡盛をくれた友だちから、今度は会津の古酒の一升瓶が出てきたよ、いるよね?との連絡があり待ち合わせ場所へ向かう。しかし一升瓶が何本も隠れている家とはいったいどんな家なのだろう。
先日もばったり会って少し立ち話をしたが、この日は横断歩道の信号の色が何回変わったかわからないくらい長いこと立ち話。その後もらった一升瓶をかついで歩いていたら、近所の友だちにばったり。少し締まった印象なのでそう伝えると、毎日5Km走っているとのこと。この日話した友だちふたりはまったく別のルートで知り合ったラン友だが、ふたりともスリム体型であることから、人生初のダイエットに挑戦してみる気になった。

ダイエットには禁酒だ。でもゆるやかに始めようとおつまみ少なめ、お酒は薄めで始めた昔のドラマ鑑賞がつらくてつらくて、飲まなきゃやってられないと禁断の古酒にも手を出してしまったダイエット初日の夜。
本気出すのは明日からだ。

2019年11月26日火曜日

ONCE AGAINをONCE AGAIN

リキッドルームといえば新宿だったが、今は恵比寿。
香月といえば恵比寿だったが、今は六本木。
47都道府県ツアー39箇所めの東京公演で宇多丸さんがそう言ってDさんから古いよ、いつの話だよ、と言われていたが実は私もまったく古かった。
以前は職場も家も恵比寿でリキッドルームは新宿だったし、香月は仕事で遅くなったときに先輩とよく行ったものだ。この日はRHYMESTERが東京へライブしにやってきた(帰ってきた)ので、午前中姪っ子とマラソン大会で走ったあとに急いで向かった。
今回は東京ということもあり、歓声がいつもよりものすごく大きかった。
1曲めからKOHEI JAPANが出てきたときは驚いたが、この日は怒濤の豪華ゲストで特にもう、ジブさんやキエるマキュウが出てきたときには興奮のるつぼ。私的にはBOY KENが出てきた「隣の芝生にホールインワン」がたまらなかった。リリックはアレだけど、あの声が忘れられない。

汗を滝のように流し、涙をボタボタ流し、体感時間20分ほどで夢のような時間は終わった。追い出しの「マクガフィン」は自然に口ずさめるほど覚えた。

帰宅後、今までにない疲れを感じて、でも興奮で眠れず、ワインに口をつけては部屋をうろうろ。
どんなに楽しいことが続いても、こんなことはなかった。
翌日は大寝坊、仕事はなんとか終えたが心ここにあらず。
帰りに飲みに寄った「おいてけ掘」でようやく正気を取り戻した。

2019年11月15日金曜日

ガッデーム!

読んでいる長編小説の、えらいことになってきた平三さん(主人公)には付き合いきれず、かなり早めに就寝した夜。
数日後に迫っているハーフマラソン大会のために早朝ジョグする気持ちは起きなくても、早朝ソバのためなら早朝ジョグできそうな予感。
予感は的中、いつもより早く起きることができて、まだ暗い中をのろのろ走りだした。
既に営業しているお蕎麦屋さんにはまだお客さんはいなかった。

おいしく早朝ソバを食べるための早朝ジョグなので、疲れたら歩き、散歩中のかわいい犬には色目を使い、のんびり走る。空がだんだん明るくなるも、残念ながらマジックアワーには立ち会えなかった。

ゆっくり走り終えて、出勤の支度を整えてからいざ早朝ソバ。
開店したての早朝は「はっしゃオーライ!」のタクシードライバーや「はとエアライン」のパイロットが多いが、出勤時間になるとこれから現場へ向かう職人さんが多い。
天井近くに備え付けてあるTVのニュースを聞きながらおそばが茹で上がるのを待つうちに、せわしなかった気分も落ち着いてくる。
しばらくぶりの早朝ソバは、朝にぴったりのやさしい味。
味に慣れたら、そこのゆず胡椒を少し入れると味が変わっておいしいですよ、辛いけどね、とねぎを持って入ってきたおじさんに声をかけられる。知ってるけど、知らなかったふりをしてもぐもぐと返事をする。

ごちそうさま、と引き戸に手を掛けると、いってらっしゃい、とおばさんに言われるのもうれしい。
いつもより早く歩きながら「マクガフィン」をRadikoタイムフリーで聴く。
たしかにジンのような苦くてさわやかな香りのしてきそうな曲だな、と思う。そこにほんの少しの甘い香りも入っているゴルチェのオー・ド・トワレのような。
カッコいい大人のつくる音楽ってカッコいいなぁと、いつもと違うルートをしばらく気分よく歩いていたら、なぜか元の道に戻っていた。大人の色気の魔力ってこわい。

2019年10月29日火曜日

まつぼっくりがあったとさ

初めての金沢は、観光ゼロに終わった。
しかし、地元出身のラン仲間の案内でおいしいものばかり食べて飲んで、忘れちゃなんねぇソウルフードも食べることができたし、念願の駅ソバも堪能した。なんといっても気楽な仲間ばかりの旅だったのでたのしかった。
旅先で友だちに会うのもいいものだった。旅先で友だちになった人たちも気持ちのよい人たちだったし、泊めてくれた友だちの実家も不思議に落ちつく雰囲気で、文句なしの旅だった。マラソンを除いては。


金沢まで行って観光しないなんて、と少しは思ったが、じゅうぶん楽しかったからいいや。友だちとは駅でさよなら。普段ゆっくり話すことのないラン仲間と初対面のエリートランナーたち、みんないい人だったな、としんみり。集団行動は苦手なはずなのに、駅で手を振っただけでさみしい気持ちになるから不思議。
前夜の酒で頭も胃も動かないまま、目指すはかこさとしさんの故郷・福井県武生。二度めの訪問だが、今回は逆方向から行くので気分も違う。前日のマラソン大会でのどしゃ降りがウソのような、ぽかぽかしたおだやかな日。先日「秋の収穫祭」で入手した福井の本を開くも、眠気に負けた。
武生駅でも駅ソバを堪能し、石畳を踏みしめながら引接寺へ。
着いたのはお昼どきであり、幼稚園の子どもたちのいただきます、の声が響く。隣の丈生幼稚園の園児たちだろう。このあたりの独特のイントネーションではしゃぐ声がのどかで、すいません赤毛の中年通ります、と心の中で頭をさげて門をくぐった。

実にお寺の多いまちだが、神社仏閣にさして興味のない私がここへ来たのは、かこさとしさんのお墓があると知ったから。ようやく見つけた彼のお墓は、最後までこんなにすてきにしめくくったなんて、と笑いが浮かぶほど彼らしいお墓だった。
そこで拾った青いまつぼっくりの松脂がとてもいい香りで、よいおみやげになった。

それから、金沢のラン仲間のご両親にも武生駅前の観光案内所のお姉さまにも勧められて、武生名物・菊人形のおまつりへ。
菊人形の会場の越前市武生中央公園も隣接する越前市立図書館もかこさとしさんの監修によるもので、一歩も動きたくないくらいたのしい。あんまりすてきな場所なのでしばらく眺めてから、かこさとしふるさと絵本館へ。
気づけば帰りの時間が迫っており、用もないのに市役所へ寄ったり、かこさとしさんが幼少期に入院したという病院の看護師さんと立ち話をしたりして帰宅。次回は泊まりで行こうと決心した頃には、金沢マラソンの苦い思い出などきれいさっぱり忘れていた。

2019年9月27日金曜日

だがそれでいい

秋が深まったら着たいジャケットを「メンキー&ノンキー」で発見。
そういえばむかしむかし、やはりここである洋服にひとめ惚れしたとき店主に、サイズ大丈夫ですか、とぼそっと言われたことがある。なんと失礼な!と思ったが、試着するまでもなくどう見ても当時の自分には入らない洋服だった。

そういえば、何年になりますか、と唐突に店主。
その日はお彼岸で、フンド氏がお世話になっているお寺さんの秋の法事で、クラシックギターとソプラノ歌手の生演奏と精進料理と、未亡人友だちとのおしゃべりを愉しんだ帰りだった。
店主がジャケットを畳みながら、カラダ、いい感じに戻ってよかったですね、とぼそっと言った。そんなに痩せていましたか私、と訊くと、一時期ね、今の方がいいですよ、と店主は応えた。
そうですかねぇ、とつぶやきながら、半年以上量っていない己の目方はいったい今どうなっているのか、恐ろしくて目を背け続けているとは言えなかった。


エッセイ以外もう全作読み尽くしたと思っていた作家の、未読の本を5冊も発見。
それは仕事帰りの「オロロン書房」にて。
その作家の小説を読みながら湯舟に浸かったり、お酒を飲んだり、眠りに落ちたりする幸せといったらない。これでしばらくは禁断症状に怯えることもない。


相変わらず、マラソンの練習にはやる気が出なくて、締切の迫っている案件も手つかず。
やる気のないときは、やる気が出るまで休むべし、と決めて早や3年。本気出す、と意気込んで早や半年。
季節とともに空の様子や道端の雑草や古ぼけた建物が変わっていくのを眺めながら、焦りがないことに焦る。
とはいえ、秋から冬にかけて行くライブと旅のことで、頭はいっぱい。

2019年8月6日火曜日

家に着くまでが竿灯まつり

友の待つ北へと向かった。
四十路をとうに越えてから仲よくなった友が誘ってくれた旅。
今回の旅のテーマは、竿灯まつりとさざえ。
冬にしか見たことのなかった千秋公園のお堀に見事な蓮が咲きほこっていることに驚いたり、竿灯まつりの準備をしているのをながめたりしながら向かうと、日傘を差した友が待っていた。
友とは仕事でもつながりのあった、私も大好きな陶芸家による出張風鈴絵付け教室が、数日前に決まった。陶芸家は、大好物の「わだち」とメロンを提げてやってきた。
初めての稲庭そうめんと友の庭の野菜のお料理、陶芸家の実家のなすの素揚げなどで昼食。友の手料理はいつもおいしい。

絵付けをする風鈴は思いのほか大きくて、丸腰で臨んだので妙な汗を大量にかく。せっかくならおみやげになる風鈴にしたくて、つい今しがたごちそうになった稲庭そうめんと薬味オールスターズの絵を描いた。ねぎを描き忘れていた!


陶芸家が帰り、昼前から飲んでいたビールを再開。
話は止まらず、気づけば外は暗くなっていた。初めて見る竿灯まつりへ歩いて向かう。

東北の三大祭のひとつ、ということしか知らなかった竿灯まつり。
稲穂を模しているという提灯が、大中小とゆらゆら揺れているさまは夢のようで、本当に見ているのだろうかと何度も思うほどだった。友も同じことを思ったようだった。

時間になると、見物客も道路へ出て竿灯を持たせてもらうことができるというので、一番小さい小若狙いで品定めしていたら、中若の竹を握った人と目が合ったので中若を持たせてもらった。持つだけでも重いのに、さらに竹を長くしておでこや肩・腰で支える技なんて、いったいどうしたらできるのか。
すべて終わって戻り竿灯。
太鼓や笛の音はそのままに、竿灯は倒した状態でそれぞれの場所へ戻ってゆく。
そして帰る途中でまた演技が始まった。
以前、マッチをたのまれてつくったお店の目の前だった。
なんとも勇壮で、なすがっこをつまみにビールを飲みながら友と呆けた顔で見上げる。

竿灯をかつぐのは男のみで太鼓を叩くのは女がほとんど。彼ら彼女らを見ていると甘酸っぱい気持ちになる。
夏だし祭りだし、竿灯がきっかけで付き合ったりすることあるでしょう?もっといえば竿灯婚、いや竿灯ベビーとかあるんじゃない?と友に聞くと、聞いたことないと冷たい返事。あの太鼓の子はかわいかったから、中若をかついでいたあの子とくっついたらいいのに、とか、いつ告白するのかな、など妄想が止まらず、夜更けまでそれは続いた。
翌日はこの旅のもうひとつのメインテーマ、さざえを求めて半島へ。
今年はさざえが不漁だそうで、事前にお願いしておいてくれたさざえ小屋へ取りに行くことになった。めったに見ることのできない日本海をながめながらも、まだ竿灯カップルの妄想が止まらない私。
お願いしておいてくれたさざえは、その量を上回るおまけさざえ付き。
さざえが大好物だったフンド氏ならずとも、その場で指でほじって食べたくなる気持ちを堪えて、浜に下りる。
友はどこから見てもプロの手つきで次々に獲物を捕らえた。水がきれいで魚が泳ぐのがよく見えるので、魚がいるよ、と言うと、海だからな、と言われて納得。
さざえが死んじゃうからさっさと帰るよ、と言われて渋々帰路へつく。今夜は大若をかつぐんだ、と意気込む私のためにこの日の予定も詰まっていた。

友がコツコツつくった庭でくんせいをつくっては食べつくっては食べ、ついにさざえの登場。生はもちろん、茹でたものが本当においしくて無言で口に放り込む。さらに、さざえと並ぶフンド氏の好物・かつおのオリジナルたたきで米焼酎もすすむ。そして合間には絶えることのないマシンガントーク。
夏休みで帰ってきた子どもみたいだ、と何度も笑われた。

そんな調子でのんびり食べたり飲んだりしていたら、その晩出かけたときには戻り竿灯になっていた。
それぞれの町へ帰る遠い灯りを見ていたら、また竿灯カップルについての妄想が頭をもたげてきた。友は呆れてモノも言えないようだった。

翌日は昼竿灯へ。
4日間ある竿灯まつりのうち、3日も行ったことになる。
昼間見る竿灯はまさに稲穂で、細部がよく見える。
提灯や法被の柄、お囃子のトラックがそれぞれとてもよくて、そちらにも気を取られる。
デパートの中でもずっとお囃子が流れていて、街のどこかで必ず竿灯を見ることができる。こんなにおもしろいものとは思わなかった、と友に言うと、地元にいながら初めてちゃんと見たと言うので驚いた。

愉しい時はびっくりするほど早く過ぎて、あっという間にお別れの時間。
帰りたくないなぁとグズる私が一瞬で踵を返す魔法の言葉「元気をもらったよ」のひとことで現実に戻ってさっさと改札を通る。この言葉、私が大嫌いなのを知っていてわざと言うのだこの友は。
別れる寸前まで飲んでいたので、駅弁も入らないしお酒もいらない。
スイッチバックの駅まで暗く広がる車窓をながめていたが、気付けば寝入っていた。


両国駅にて。
どうしてこんなに重いのか、とキャリーケース(大)をふうふういって下ろしていると背後で聞こえた「Are you OK?」の声。
振りむく間もなく、自分の体重ほどもあるキャリーケースを片手で持ち上げて運んでくれたのは、目が醒めるような美形の若いサラリーマン。
ありがとうございます、としどろもどろで頭を下げた私に、彼は口元を上げてにっこり笑って去って行った。

帰宅するまでが旅ならば、最初から最後まで完璧というしかない旅であった。

2019年6月3日月曜日

体調が悪くて健康的な日々

あれからずっと、大酒が飲めないでいる。
カラダが、アルコールを欲していないのだ。
ウイスキーが、特にだめになった。
大好きだった日本酒さえも、今は顔も見たくないほど。

こんなことは今までなかった・・・って歌が昔々あったな。
なんてせつない大人の恋の歌!と感心していたら、なんてエッチな歌詞なんだ!と感心している男子がいたな。元気だろうか。


同級生たちと初めて一緒に出たマラソン大会。
お天気も気温も、大会そのものも、なにひとつ言うことはないほど、いい日であった。
ただひとつ、自分の体調を除いては。


大会前日は、文太くんにトレーニングに付き合ってもらった
・・・が、この日はとてもさわやかな、いい天気。
この時期に帰省することはなく、めずらしい花なんかも咲いているので、散歩に変更。
りんごの花をもっと微かにしたような香りの、低木についていた花。
調べたら、キウイの花であった。
矢車草やしろつめ草、あかつめ草やわすれな草がそこかしこで咲き乱れており、ほんのひと月でこんなに違う花が咲くのか、と感心した。
文太はいつも、キジの声を聞いて日がな一日過ごしているらしい。
たまの私との散歩では、おぼれない程度の深さと水量、そして美味しい水の流れる側溝探しに余念がない。
この日はかなり軽めにキメたつもりなのだが、帰宅するなり文太は大きなため息をついてバッタリと寝てしまった。

結局このトレーニング(散歩)だけで臨んだ、第5回安曇野ハーフマラソン。
ここ最近の著しい酒量の低下と、なくなった悪いクセの効果は特になく、カラダが前に進まない苦しい21㎞であった。

途中、後ろを走っていた男性が、あの花はラベンダーですか、と沿道の人たちに尋ねていた。矢車草だよ、と言いたかったが、息も絶え絶えで言えず。

この大会に誘ってくれた同級生たちとはまた別の、同じ中学校の仲間たちと不思議な再会を果たし、帰りのシャトルバスの行先を間違えて豊科の温泉郷方面まで往復ドライブしてしまったのも、いい思い出。わさび沢の水がきれいだったなぁ。
・・・はとエアラインに乗んなさいよ。


同級生たちと別れて駅をぶらぶらしていたら、大雪の初デートで見た0番線ホームを発見。
感慨にふけることもなく、ホームにお蕎麦屋さんを見つけて喜び勇んで入った自分にウン十年の月日を感じて、悪くないな、と思った。
帰りの電車でためしにワインを飲んでみたが、カラダは喜んでいなかった。
さらにカラダが欲していないというのに、おさわりOKのかわいこちゃん(ねこ)のいる酒場へ。
大将がくれたかにかまを、おさわりNGのかわいこちゃんに食べさせるという、たまらないサービスをさせてもらって、そこそこ酔って帰宅。やはりカラダは喜んでいなかった。

調子が悪くて健康的、というのが腑に落ちない。

2018年12月6日木曜日

探さないでください

旅に出るのだ。「こうもりエアライン」に乗って。
つまり、到着は深夜。
遅々として進まない荷造りも、佳境に入った。


やるべきことがあるときに限って、掃除洗濯に熱が入るという人がいるが、例外なく私もわざわざ飲みに出かけたり、ていねいにお弁当をつくったり、洗濯ものと洗濯ばさみの色を合わせて干したりと、現実逃避。
旅の気分を高めてくれる本は、忘れずに。
機内誌はすみずみまで読むべし。
あこがれの航空会社の飛行機に乗るときは、紙コップやナプキンなどをもらうべし。
(べし、ってほどでもないか)


夜の銀座も胸が弾むほどきれいだけれど、あちらのクリスマスムードはどんなかな。
ホテルに連泊するのも久しぶり。


彼の地では、すでにセールも始まっているらしい。
着古した洋服は棄てて、いっちょイカしたやつを仕入れてこよう。
(いっちょもイカしたも死語です)


糸の切れた凧のように、戦うように楽しんできます。

2018年10月31日水曜日

匂いを嗅ぐ

近所のお寺でもらった、かりんのおしりの匂いを嗅ぐ。
かりんのおしりは、きりっとした晩秋の匂い。


椅子には、あの古道具屋さんの匂いがまだしみついている。
甘さのない、枯草のような匂い。


朝は一杯のコーヒーを淹れる。
コーヒーは朝の匂い。


寝る前には、部屋を好きな匂いで満たす。
旅に出るときの、浮足立った匂い。
寝るのも、旅に出るようなものだから。


「サロン・ド・こけし」の女主人のオードトワレの香りが好きだ。
あまくてスキャンダラスな、背筋が伸びる匂い。
女主人にとても似合っていて、時間とともに変化するどの香りも好きだ。


寝るときに身にまとうのはシャネルの5番を数滴よ、とマリリン・モンローのように言ってみたいものだけれど、そんなことをほざいたら通報ものだなぁ。
「きせかえブティック メンキー&ノンキー」には、似合う洋服だけでなく、そのときに必要な香りや花なんかも、あるんです。