文太といつもの道を散歩していたら現れた「3㎞」の看板。
振り向くと「18㎞」の看板。
翌日は、生まれ育った田舎での「信州駒ヶ根ハーフマラソン」。
どうにもやる気が出ないので、文太に練習に付き合ってもらったものの、みちくさばかりで愉しくて進まなかった。ああ、翌日ここを通るときは、さぞかしくたびれていることだろうなぁ。
文太はなぜかこの道が好きだが、私も好きだ。
文太の選ぶ散歩道と川はセンスがよい。
きんもくせいがあちこちで匂っているのに、ひんやりしていない空気が不思議であった。
翌日は雨の予報だった。
雨の予報だったはずなのに。
どうなってるんだ、と同級生と文句を言っているうちにスタート。
昨日文太と散歩したあたりはスタート後15分ほどだし下りなので、なつかしい風景を眺めながら・・・というわけにもいかず(前週も帰省していたのでさほどなつかしくない)早くもだめな予感。わかっていたこととはいえ、なんだこの坂道は、と毒づきながらヨタヨタ進む。
エイドのアイスを食べていたら見知らぬおじさんが振り返って、それ何個め?と尋ねるので、1個め!と応える。それからそのおじさんと抜きつ抜かれつ、追い抜きざまに互いに声を掛け合い、最後はなんとか追い抜いてへとへとでゴール。(ところであのおじさんは誰だったのだろうか)
見るも無残なタイムであったが、部門別40位でラッキー賞なるものをいただく。
あとはエイドでもおいしくいただいた梨。
大会100選にも選ばれているだけあって、坂道の辛さ以外は文句なくよい大会だった。中央アルプスや南アルプス、天竜川などの写真を撮っているランナーもたくさんいた。
スタッフのおじさんたちの言葉に方言を聞いたのが、知っているだけになんとも脱力ものであった。
暑さのために食欲が湧かず、エイドの手打ちそばを食べることができなかったことだけが心のこり。
山帰りとマラソン帰りの人でごった返す温泉の入り口で、あけびを発見。
種のまわりが甘くておいしい。久しぶりにお目にかかった。
子どもの頃あけびを教えてくれたのは
「メンキー&ノンキー」の名前の由来でもある、幼なじみのノンキー。
あけびは高いところにしか実がならないから、いつも見るだけだった。その場所も、この日のマラソンコースの近くだった。
夕方には帰らないといけないため同級生たちとの打ち上げにも参加せず、文太と名残惜しく散歩。きんもくせいの香りはずっと漂っていた。
疲れているから、ゆっくりね、軽くだよ、と言ったのに、この日は全力で駆け抜ける文太。それ、昨日したかった。
着替えたばかりのCreepy NutsのTシャツは汗で濡れていたが、時間がなかったので汗くさいまま暫しのさよなら。
帰りの車中で本を1冊読み終えた。放心状態だった。
衝撃のラストで衝撃を受けたと同時に、これ前に読んだ、と気付いたからだ。
気分転換にGoogleのニュースを見ると、なんと!Creepy NutsのDJ松永が、ロンドンで行われたDMC世界大会で優勝したとの記事が目に飛び込んできた。
びっしょり汗くさかったTシャツは、いつの間にか乾いていた。