2019年4月2日火曜日

おしゃれをしよう、自分のために

憂鬱の象徴でしかなかった桜が珍しく美しく見えたある夜のこと。
友が、急に語りだした。

「実は、話していて全然楽しくなかった」
「実は、少しずつ、すーっとイヤになった」
「実は、正直1ミリも尊敬できなかった」
「実は、ばかだなぁってずっと思ってた」
「実は、どうしても好きになれなかった」

付き合っているような、いないような男への、ずっと我慢していた本音。
まださよならしていないのに、すべて過去形であることから、友にその男への気持ちが無いことがわかった。

たしかに・・・
あなたには、あの男は違うと思ってた、ひどくださいし、やさしくないし、と、こちらまでうっかり本音がこぼれ落ちた。友は大きく頷いた。



いらない男のことはさっぱり忘れて、新しい洋服を見に行こう。
おしゃれは自分のためにするもの。おしゃれはスタイルだから。


なんてことを教えてくれたのは、
いつも控えめな「スナック女将」のママだったか、それとも
美と人生のプロフェッショナル「サロン・ド・こけし」のマダムだったか。



好きな洋服と好きなヘアメイク、こんなに心弾むものはないのに隣にいるのがアレじゃあねぇ、と友は歯を見せて笑った。
ちげぇねぇ ちげぇねぇ

2019年4月1日月曜日

活字中毒ではなく依存症

田辺聖子依存症になり、貪るように読んでいた時期があった。
多作な著者なのでしばらく困ることはなかったが、ついにディグの壁にぶちあたった。
女流作家が苦手だったので新規開拓が難しく、信頼する本屋さんに愚痴をこぼすと、こんなのどうでしょう、と次にお邪魔したときに用意してくれていた。
長時間の移動中、座席が狭いのも忘れるほど一気に読んだ。
用意していたワインは封も切らず、読み終わってからも同じところを繰り返し読んだ。

出てくる女たちがみんな好きなタイプだし、なにより溜飲が下がりまくった。私の悩みごとなんてこれっぽっちも話していないのに、なぜこんなにぴったりくる本を用意してくれたのだろう!

さらに、最近入手したブルーレイやCDなどが、ことごとく大当たり。
眠たいのに、いつまでも見入り聴き入る毎日。

これからは、おいしいものしか食べないしおいしい酒しか飲まないぞ、と決意した。(そんなことはどこにも書いていないし唄ってもいないが)
がまんしていた「ぺろりレストラン」のスパゲッティハンバーグだって、いずれ食べちゃうんだから。

2019年3月29日金曜日

春はきらいよ

むかしから、春は憂鬱でしかない季節。
その理由は年齢とともに変わったが、憂鬱さは度合を増している。

そんなときは
「両国のひと」を熱唱してごまかすか
それとも
「R.Y.O.G.O.K.U.」を踊って暴れてごまかすか。
もしくは
ごぶさたしている「ライブハウスねんね」に行って
深いシダの森にいるような、あのウッドベースを聴きながらしばし現実逃避してごまかすか。
どちらにしても、解決しないものはごまかすほかない。



ねまちに、しばらく行っていないなぁ。
クソみたいな毎日に、めためたになる週末。

ジェーン・スーを見習って何がクソなのか書き出してみて分析すること、星野源を見習ってクソなことを嘆くのではなくそれでも生きていくのだと考えること、このふたつをタトゥーにして心に刻んでおこう。


2019年3月25日月曜日

ねこにやさしく

うっかりしていたら、三月場所が終わっていた。
今場所は、TVで一瞬目にしただけだった。
「深川福々」の会議で三月場所の話題になったときにも、まだ初場所が終わったばかりなのになぁ、などとスットコドッコイなことを考えていた。


その「深川福々」は、先週発行された。
今回は「ふかがワンダーランド」の記事を書いた。
・・・まずは体幹を鍛えないとね、というのが、取材直後の感想であった。
温故知新コーナーでは、あの辺の方なら誰もが知っているあの方のマル秘写真が!
大江戸線 清澄白河駅などでお手にとってみてください。


体幹については、先日コーヒー豆を買いにいったときにも話題になった。
コーヒー屋さんは、私が以前出たことのあるマラソン大会にご夫婦で出られるとか。
病み上がりの奥さまはしきりに不安がっておられたが、とにかくいい大会だから楽しんできて、と伝えた。そして体幹鍛えましょうと誓い合った。

病気を克服してから味覚が鋭くなったのか、奥さまは市販のルウでつくるカレーを受け付けなくなったという。
オムライスとえびフライの名店なら、教えてあげられたのになぁ。



ごぶさたしていた、義理の両親のお墓参りに行った。
自宅近所のお花屋さんでスイートピーの花束をつくってもらったので、道中ずっといい香りが漂っていた。
お隣さん(お墓の)とこの大木が伐採されており、切りかぶの形の複雑さにしばし見入る。すみれが咲いていた。


とある休日、今夜はここに行くと朝から決めていたお店へ。
隣り合ったひとと、しばしねこ談義。
彼女の写真を見せるようにいそいそと、まだ3歳のかわいこちゃんの写真を見せてくれたそのひとと話しながら、先代のアヨちゃんやぼっちゃんのことを思い出した。
ねこにやさしいひとと話すと安心するなぁ、と気づけば酔いが回っていた。

2019年3月19日火曜日

両国の恋人とオランダせんべい

あまり大きな声では言えないが、両国にはパッとしたおみやげがない。
国技館の焼鳥だって、そう簡単に手に入らない。
そこでつくられたのが「銘菓 両国のさんぽ道」であった。
ふつうのおまんじゅうと侮るなかれ。
見ためは地味でも、味には自信あり!
まるで両国のまちのよう。


続いて誕生したのが「銘菓 両国の恋人」
あまくないビスケットは、資生堂の例のアレを参考にしたとか、しないとか。
(本当は私があまいものが苦手なので、おまんじゅうで限界だったのだけど)
パッケージに へくそかずらをあしらっており、甘くないぜという姿勢を見せつけている(か?)。
くさいけど、可憐な花なんです。


先日の旅で連れていってもらった、オランダせんべいの工場。
うなぎの寝床なんてもんじゃないくらい細長いつくりで、めずらしい機械がつぎつぎにオランダせんべいを作り出していた。
普通の塩味のおせんべいでしょ、と一枚かじると、奥深い味に驚く。
それは、あの「つや姫」でつくられているから。
友は、試食のしすぎで夜遅くまで苦しいと唸っていた。

2019年3月18日月曜日

旅は終わった

むかしむかし「スナック女将」は、高校を卒業したおんなのこたちの、社会勉強の場であったらしい。
言葉遣いや作法などママやお客さんに叩き込まれて、社会へ巣立つなりお嫁に行くなりしていたとのこと。


先日旅先で連れていってもらった飲み屋さんもそうで、歴代のバイトくんは地元の国立大学の生徒さんのみ。
開店直後からとてもにぎわうお店なので、まじめで信用のおける先輩からの紹介のみ、ということらしい。
コの字形のカウンターの並びで、まだ幼さの残る青年がおじさんたちに囲まれて赤い顔をしていた。この店に連れていってくれた友も、なにやら話しかけている。
向かいの席でひとり飲んでいた紳士が勘定を済ませて立ち上がると、青年は立ちあがって紳士に近づいた。

やあ、と紳士が微笑むと、おかげさまで来週卒業式で、そのあと引越しです、と青年が頭を下げた。
そうか、いまは3月。3月は卒業と旅立ちの季節なのだった。


忙しくていつも疲れていた友は、初対面のひとかと勘違いするほど元気になっていた。
そして一番食べたかった手料理をふるまってくれた。
ばかじゃないの、と呆れられるほど酒を買い込み、笑いすぎて涙を滲ませながら手を振って別れた。濃すぎる旅は終わった。

2019年3月11日月曜日

めでる国芳、向島。

むかしむかし地方の洋品店では、あの奥さまこんなのお好きよね、などとお得意さんの顔を思い浮かべながら一点一点仕入れをしていたらしい。
ハズレはなかったのか?と余計な心配もしてしまったりして。

きせかえブティック「メンキー&ノンキー」においては、そのような心配はまったくない。
だって、いつ行ってもそのとき欲しい服があるから。
ここのブティックの店主はどんな方なのか、いまだ知らないけれど。


この本を見つけたとき、これはマッチさん(※わたし)だ!って思ったんですと、ズバリな本を仕入れてくれた本屋さん。
ひさびさに本を見てときめいた。

帰宅後その本をめくっていると、既視感。
50年近くむかしの、房総のはまぐり弁当の写真。
本から目を上げると
どこで手に入れたか忘れた、はまぐり。
写真と寸分違わず。
古い洋雑誌を見ながら、これこのお皿だ、なんて発見するとうれしいものだよ、とアンティーク屋さんが言っていたのを思い出した。


今月いっぱい行われている「39アートin向島」。
甘夏書店さんでは国芳特集をしている。
私も生きものつながりということで、生きもののマッチのみこそっと出店させてもらっています。
いつもいつもありがたいことです。
展示用のブツを持っていったら、忘れもの発覚。しかも大事なショップカード・・・