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2021年1月27日水曜日

ただいま

浴槽の塗装のためにユニットバスが使用できないので、以前住んでいたマンションの一室で数日間の寝泊まり生活。
寝袋や身の回りのものを運びに4年ぶりに入ったそこは何もかもが懐かしかった。
間取りは少し違うけれど、お風呂は広いしきれいだしやっぱりここはいいなぁ、と思ったのはそのときだけだった。
カーテンもなく、テーブルも椅子も冷蔵庫もWi-FiもPCもTVもない、持ち込んだ数冊の本だけの部屋はなんとも落ち着かなくて、初日の夜はしたたか酔って眠りについたが夜中に目覚めてしまった。
日が昇るのを待って自宅へ戻ると、いつもの部屋はしっかり養生されており他人の顔。コーヒーを淹れて飲んでも間が持たず、そそくさと家を出た。
こんな日があと2日も続くのかと思ったら目の前が暗くなったので、せめて朝食は「おはよう!商店」で。
そしてランチは「レストラン両国駅」で。
美味しいものを食べている間は全部忘れることができた。
午後はのんびりジョグ。すれ違う犬たちに色目を使ったり花の香りを嗅いだりして隅田川を走るも、しばらく洗濯ができないというのにジョグのせいでまた洗濯物を増やしてしまったことを悔やむ自分のみみっちさにがっかり。
増やした洗濯物をランドリーバッグに押し込んでいると、先日「おいてけ堀」で仲良くなったおじさんとのこの日の約束を思い出した。
長いことひとり飲みのお店としてお邪魔していたこのお店、昨年の暮れから顔馴染みのお客さんがぐっと増えた。この晩おじさんを交えて話した方が、私と同じ徒歩通勤でたまに隅田川沿いを走るという。あれ、そういえば週末に隅田川の向こう側を走っていたでしょうと言われてギクッ。いつも汚い格好でふぅふぅ言いながら走っているので気付かれたくはなかった。
話は盛り上がり、気付けば最後の客のひとり。
おじさんがどんどん飲めとそそのかすたびに隣の方が、おごりでもないのになに言ってんだと言う掛け合いを何度聞いたかわからないほど飲んでさようなら。楽しい夜だったけれど、帰るのはあの部屋かと考えたら酔いもさめた。
二日酔いで目覚めて、もうこんな生活はイヤだとしみじみ思う。ボロくて汚くても自分の好きなものだらけの自宅が恋しい。目と鼻の先なのに遠く感じる。
自宅でコーヒーを淹れながら、今朝はソバだなと思ったらもう頭はソバでいっぱいになり「土俵そば」へ急ぐ。
温かい湯気でいっぱいの店内はほぼ埋まっていて、控えめにソバをすする音だけが響く。ここはやはり紅しょうが天そば。しばらく待って出されたそれは、立ち食いそばのお店を始めようとしていた友だちが奨めてくれただけあってとんでもなく美味しかった。

浴槽の塗装が終わったと業者さんから連絡があり、やっと帰れるとうれしくなったがお風呂はまだあと一日使わないでくださいと言われた。昨夜教えてもらった最高の銭湯へ行こうかとも考えたが、なんでもよいから帰りたくて部屋を引き払って帰宅。
寒くてもボロくても汚くても自宅はいいなぁと、ひっそり家でお祝いしたのは言うまでもない。

2021年1月6日水曜日

知ってか知らずかいやんばかん

新年初酒場はいつもの「おいてけ堀」。
縄のれんをくぐると先日2軒目でステーキ屋さんへ行った仲間とそのママ友さん。あいさつをしてしばらく座っていないお花の前のカウンター席に向かおうとするとテーブル席にいつものご夫婦と飲み友だちもいたので、なんだかんだで宴会の始まり。途中、誕生日も年齢も同じの、やはり先日ステーキ屋さんへ行った強者も参加して大宴会に。この方、生まれた時間が私より約2時間早かったらしいので先輩風を吹かせまくって嵐のように帰っていった。
その夜は、その晩飲んだみなさんと大きなお風呂屋さんへ行った夢を見た。
洋服を脱いでいざお風呂へ、のしのし歩いてまずは女風呂を通る。早くみんなのいるお風呂へ行かなければと思ったが思いの外広い女風呂を歩くうちに面倒になって女風呂に落ち着く。と同時に、あれ?私はこれまで友だちと混浴風呂に入っていたのか?とふと疑問に思った。混浴なんてしたこともないのに。

2020年12月30日水曜日

年の瀬に驚愕連発

いつもフリーペーパーを読むために行く「おいてけ堀」へぶらり。
この日は休みで年賀状を出すためだけに出かけたのでメイクもしておらずきったねぇ格好をしていたがまぁ誰も見ていないしと三杯めを飲んでいたら、ひとつ挟んだ隣の席のおじさんがおもしろくてつい笑ったのをきっかけに話が弾んで、そうしたらさらにひとつ向こうの席の方にあなたいつもすました顔で本を読みながら飲んでるよねと言われ、マスターには他所のお店で楽しそうに飲んでるのを見かけたよと言われ、恥ずかしくて規定量の三倍は飲んでしまった。意外に人は見ているのだなぁと反省。
その翌日は今年最後の「ニューねこ正」でしっぽり。
数年前に本店「ねこ正」へ寄ったときに、ひとりで来て最古の常連さんばかりのあの席に座るなんてすげぇ女だなと実は噂になっていたと聞いて驚愕。意外に人は・・・以下略。
それから気を取り直して駅前で一服していたら、そのバッグ、TBSラジオのアトロクのやつですよね、俺も聞いてますと言われてまたもや驚愕。使いなれたバッグだから気にもとめていなかったが結構汚れていた。人って案外・・・以下略。

いろいろ驚愕しているうちに年の瀬。
今年は今までにない大変な年だったけれど、それでも結構よい一年だったなぁとポストを開けたら大きな郵便。友だちからの湯たんぽであった。
うれしくて2軒目(自宅)で飲み上げたのは言うまでもない。

2020年12月18日金曜日

きっとクリスマスも二日酔い

久しぶりの早朝そばをキメたこの日は二日酔い。
紅しょうが天そばください、と酒臭い息で言うといつもは無愛想なそば屋さんが、あたしとおそろいだ、と自分のまかないの丼を指差した。頭が濁っていてほんとだ、としか言えずにいると、こういうのって家では作れないでしょう特に紅しょうがはさ、これからどんどんそばのおいしい季節になるよねぇとにこやかに話す姿にも、えへへとしか返せなかった。ここの紅しょうが天そばが一番好きです、と言いたかったのに。

前夜「おいてけ堀」で改めて読み返した「それぞれのそれぞれ」がとてもよくて思わず熱燗に切り替えそうになったのをぐっとこらえた。
えらい。
帰宅後にご近所の飲み友だちからの誘いに応じてまた酒場へ出かけたのもまあヨシとして、ここまで飲んでおいて家でまた飲んでしまうというのはいったいどういうことか。それで二日酔い。
そういえばクリスマスが近づいているのだった。
クリスマスの贈りものは、甘夏書店さんの「縁起もの贈りものフェア」でどうぞ。

2020年12月2日水曜日

私がover the sunになったよ

どうしても行きたくない労働の飲み会を当日ずる休みするという手でぶっちぎったことをいろんな友だちに話したら、ネガティブな気持ちは免疫力を下げるらしいよとひとりの友だちに言われて納得。どうやって行かずに済むかを相談した幼なじみに、行きたくない飲み会でコロナに感染したらイヤでしょうと言われてずる休みを即決した私は間違っていなかった。おかげでいいことがいっぱいあったしね。
そして今度は労働後の会社での軽い飲み会もぶっちぎった。今回は何も言わずしずしずと退勤。どうしても参加したくなかったらなにがなんでも参加しないという強い意思が大事、と助言してくれた友だちと、仕事(労働)の飲み会には参加しない主義なんです私という姿勢を普段から見せるといいよとの友だちの助言が生かされた。
誰とでも仲よく、つまらなくても笑顔で、なんてしないで好きな人とだけ好きなことだけをしようと改めて決意したその日は予約していた資生堂ギャラリーへ。
私にはさっぱりわからない展示だったが、以前「記憶の珍味」を観に行ったときの香りが強く残っていたのでマスク越しにそれを堪能した。この香りのためだけにまた行くのもいいかもしれない。それから穴子をめざして「おいてけ堀」へ。
最新号の「味覚春秋」と「花椿」をのんびり読みたかったから。
もとはフンド氏の父上が通っていた「おいてけ堀」は、大好きなフリーペーパーを読みながら酒を飲むのに最適だ。自宅だと他に読みたいものがあるから。

好きな場所を選んで行けるようになったのは、ついに本物のover the sunになったからか(オジサンかもしれないけれど)ようやく好きなもの・大事なものがわかってきたからか。ちょっと遅かったけれど、これでもいいのだ。

2020年11月27日金曜日

パワースポットは国技館と台所

興奮と熱狂の大相撲11月場所が終わった。
二度目の観戦は応援タオルを持参するのを忘れたことに気づいて売店前で歯噛み。家に帰れば豊昇龍・照強・霧馬山・照ノ富士がいるけれど、竜電を追加。
ぼんやりしていて、呼出の邦夫をチェックするのを忘れて落ち込む。啓輔と利喜ノ丞、そして先場所から気になっていた行事・木村吉二郎は目を皿のようにして見たからヨシと・・・できないが仕方ない。
それにしても国技館は、特に2階は何度来ても鳥肌が立つほど興奮するなぁと毎回同じことを思う。パワースポットってこういう場所なんだろう。

以前よくおじゃましていたアンティーク屋さんへ。
イベントのお誘いをいただき、よもやま話に花を咲かせる。好きなものの話をするのは愉しくて、酒場へ移動したくなった。
思えばここで出逢った黄色のホーローの鍋からホーローが気になり始めて、大きな皿や洗面器、小さな鍋など少しずつさまざまな国のホーローが増えていった我が家。この日はポーランド製の大きな茶色のやかんに心を奪われた。
帰宅途中にどうしても「おいてけ堀」に行きたくなったので、ちょっとだけよ。
席につくなり美人女将が、穴子入りましたよ、とささやいた。
かたわらのホーローのやかんの入ったバッグをなでて、最新号の「銀座百点」をめくりながら穴子を待って酒を啜るしあわせな時間。
なんていい日なのだろう!

帰宅してていねいにやかんを洗って黄色のなべと並べてコンロに置く。
翌朝コーヒーを淹れるためにキッチンへ立って見たその姿は思わず笑みがこぼれたほどだった。なんてすてきな私のやかん!
とはいえ大きいやかんなのでお湯を沸かすついでにゆで玉子もつくったりして。
あの黄色のなべでジャムなんか作ってほしいわ、とアンティーク屋さんの店主に言われたが、今そのなべにはおでんが入っております。

2020年11月3日火曜日

つながる市でいろいろつながる

いつ以来か思い出せないほど久しぶりのマッチ売り。錦糸町PARCOの無印良品での「つながる市」が始まった。
お客さんが来るたびに変な汗をかいたが、
近所の友だちや夜にしか会わない「ニューねこ正」

の常連さんご夫婦、「おいてけ堀」
の常連さん、はたまたいつも愛読している墨田区のフリーペーパーや墨田区のWebのライターさんなどなど、たくさんの方に来ていただいてさらに変な汗が吹き出るほどうれしかった。さらにお買上げまでしていただいて本当にありがたかった。
今回声を掛けていただいた甘夏書店さんのお隣であることと、地元であることのおかげで楽しくお店屋さんをすることができた。両国の方に両国のマッチを紹介できるのはうれしい。
しかも後ろは以前よく行っていた西荻モンガ堂さん。古書店に囲まれ、さらにワンフロア下では古書市もしており、また新しい本に出逢ってしまった。
今日は最終日。

2020年10月19日月曜日

凱里ブルースと面影の消えた街

授業をサボって 日の当たる場所に来たんだよ

RCサクセション「トランジスタラジオ」の冒頭のフレーズが好きで、昔からいろいろをサボるときに頭のなかで再生しては浮き足立つ。
中年の今も相変わらずいろいろをサボっており、この日はどうしても観たかった「凱里ブルース」を観るために労働を半分サボって初めての街へ。
映画の上映時間は労働中しかなく、この間は別の映画館で連日満席だった。チケットは窓口のみの販売で上映はこの日までなので仕方ない。(ことはない)
整理番号3を入手して、さてあと数時間どう過ごそうか。
土地勘のない場所だが、むかしむかしよく遊びに行っていた下北沢が近いので歩いて向かうことにした。
自宅や労働の場所と違って建物が低く、空が高くて広い。空が高くなった 夏はもう終わりだ、という一文を、どこで目にしたか忘れたが空が高いと感じるたびに思い出す。のどかでいい時間だなぁと、多くの人が働いている時間にサボって散歩。
古着屋さんがちらほら見えてきて、ここはどこらへんかなと考えるもさっぱりわからない。古書店や古道具屋もたくさん寄ったがまったく懐かしくない。まるで知らない街を歩いているような気分で映画館へ引き返した。

映画「凱里ブルース」は、今までにない中国映画で、漂うムードが違っていた。
スクリーンからも湿気が伝わってきたほどしっとりした凱里という町は監督の出身地なのだそう。
途中何度も人間関係がわからなくなって悩んだが、エンドロールが流れ始めたところで腹の虫が鳴ったということは集中して観ていたということか。
どうしてもわからないことがあってパンフレットを購入してじっくり読み込む帰り道。なるほど、と感心しながら赤ちょうちんに誘われてお久しぶりねの「おいてけ堀」へ向かう。
これまたお久しぶりねの飲み友達と再会して、思いがけず深酒した秋の夜。
このあと怒涛の痛飲の日々が始まった。

2020年9月10日木曜日

太陽にほえろ!

フンド氏の誕生日は、休みをとっていつもの場所へ。
海以外に目当てのなにかがあるわけではないけれど、なんとかのひとつ覚えみたいにそこへ行きたくなるのだ。
小さめのかばんに本を入れて、朝からなにも食べていなかったのでめずらしく駅弁をキメる。
ずっと前から気になっていた小さめのトンかつ弁当。ずいぶん昔からあるお弁当らしく簡易な包装にも掛け紙にもひとめぼれした。もちろんとてもおいしくて、本を読んだりうとうとしているうちに、あっという間に到着。
着いたらまずは駅のテラスで一服することにしている。ずいぶん暑いなと空を見上げたら、ぽつりぽつりと降ってきた雨が激しくなった。雨雲が去って足が勝手に喫茶店へ向かう。海へ行こうと思っていたのにな、と思ったがフンド氏が行きたがっているのならと従うことにした。

以前読んでいた見知らぬ人のブログを何年かぶりに見てみたら、その人はつい最近突然パートナーを亡くしていた。その人は外食産業の仕事をしておりブログにもあちこちのお店の食べものや自宅でつくった料理などがならんでいたが、それを続けながらもパートナーへの思いもあふれている。食べものは何を食べたかではなくて誰と食べたかが大切だと、またきちんと仕事をしつつ感情を文章にすることができるなんてすごいな、と心から思った。自分にも、お店のいつもの席で涙を流すような素直さがあったら、と後悔するも今は目先の寒天。いつもの席などあるはずもないこの喫茶店では春はいちごのケーキ、その他の季節は寒天と決めている。そして帰りにコーヒー豆を挽いてもらうのだ。ここのコーヒーは家で淹れてもすぐにこの喫茶店の様子がありありと浮かぶ独特な香り。
あとは海へ行ってパン屋さんでフンド氏のホットドッグを手に入れて帰るだけ。レンタサイクルを漕ぐ元気もなく日傘をさして海岸へ出ると、沖が緑色に光ってとてもきれいだった。
しばらく海岸を歩き雨に2度降られて、途中でいちじくを手に入れてさようなら。

パン屋さんがめずらしくお休みだったので「ニューねこ正」の焼鳥を持って帰ろうと思ったのに、フンド氏の父上の行きつけだった「おいてけ堀」の暖簾をくぐってしまった。
気分よ気分、といつもの肴で軽く飲る。誕生日のことさえ忘れて気分よく帰った翌日はいよいよ「ニューねこ正」へ。北海道のほやがあったのですかさずご指名。焼いた赤魚が来て堪えきれず枡酒にチェンジ。ソロ活動するようになって干物などの魚を自宅で焼かなくなった。魚は大好きなのにな、としみじみ味わう。
そういえば外のあれ、気付いてないでしょうと急に大将に言われて外のサンプルケースを見ると、はたしてそこにはなつかしのマッチが。ずっと前から飾っていたとのこと。知らなかった!
おみやの焼鳥とともに渡された焼いもが温かくてうれしかった。

とはいえ、美人女将と話していたのは「太陽にほえろ!」のことばかりだったのだけど。

2020年7月22日水曜日

どじょうも穴子もいない夜

土用のせいかここ最近どうにもうなぎ熱が高まっており、うなぎの串焼き屋さんへ急ぐ。どれだけ急いだかというと、徒歩帰宅を途中でやめて電車に飛び乗ったほどだ。
「くりから」や「めそ」の名を覚えたのは、むかしむかしフンド氏に連れていってもらった白木のカウンターのあのお店。当時はうなぎにまったく興味がなかったが佇まいは好きだった。
変わらない引き戸に手を掛けると、カウンターはいっぱいなのになぜか静かな雰囲気。メニューの短冊を見ると、うなぎの串焼きがすべて完売していた。
この暑いのに向かいの男性が柳川を食べている。柳川はどじょうだ。うなぎがないならどじょう、長ければなんでもよいという考え、嫌いじゃないぜ。
うなぎがなくて落胆したが、気を取り直して飲ることにした。
隣りの日焼けしたおじさんのところに運ばれてきた串カツもおいしそうだが、こちらのげそバターもなかなかどうして。

向かいの男性が大汗をかきかき柳川を食べているのを見るにつけ、うなぎ欲が首をもたげる。あの人が柳川で手を打ったなら私は「おいてけ堀」の穴子でいくか。どじょうがないなら穴子、長ければなんでもよいのだ。
お勘定を済ませた隣の日焼けしたおじさんがちょっといいですか、と声をひそめて近寄ってきた。さっきそちらに運ばれてきたの、あれはなんですか?と聞かれたのでああ、あれはげそバターです、と答えるとバターのいい香りがふわっと漂ってきたからさ、おいしかった?ああそう、今度食べてみるよと笑って出て行った。でもそちらの串カツもおいしそうで実はずっと見ていたんですよ、とは言わなくてよかった。

河岸をかえて「おいてけ堀」へ。
頼むものは決まっているので短冊も見ずにお願いすると、お兄さんの手が止まった。ごめんなさい、今日は穴子終わっちゃったんですよ、と申し訳なさそうに言われた。

別の日にまた来ればいいじゃないの、そもそも本当はうなぎ目当てだったでしょう、としめさばが慰めてくれた。

2020年7月1日水曜日

夏はイヤだよ イヤだよ夏は

ラン友に誘われて、何ヵ月ぶりかの日比谷ライド、そしてみんなで街ランへ。
全員お久しぶりねで、会えてうれしいのに名前が出てこない。
街ランなのに苦しくてたまらなかったのは肥えたせい。コーチに太ったなぁ、とズバリ言われて返す言葉もなし。
汗を流して、日比谷の路上でみんなと飲んですっきり帰ってきた翌日は、ダイエットのためにつつましく帰る途中で飲み友だちに誘われて「おいてけ堀」。
いつの間にか3人か4人で飲む間柄になったこの不思議なグループだが、この日は珍しくサシ飲み。翌日の博多出張で夜はうなぎを予定しているその友だちはそれはもう嬉しそうだった。強い風の吹きこむ店内はあまり見ない顔ばかりだった珍しい夜。

先日届いたCKBの新譜がとてもよくて、この夏はこれをヘビロテすることに決めた。
(残念ながら『両国のひと』ではない)
この曲にぴったりの出来事があれば文句なしだが、夏は暑いのでむつかしいことを考えたくない。そもそもなにかが起こるとも思えないし起きなくてよい。目下の関心事は、朝ソバをキメるタイミングがいつ来るかだ。

2020年6月9日火曜日

ホストクラブの楽しみかた

コロナがいよいよ深刻になる手前に会ったきりの友だちと長電話。
出るわ出るわ愚痴と不安。よく喋る。聞いてほしい話があったが聞き役に徹することにする。

話は行ったりきたりで結局コロナ。そして話はコロナからホストクラブに。先日久しぶりに電話で話したフンド氏の従兄弟ともホストクラブの話題になったが、互いに行ったことも行く予定もないのでその話はすぐに終わったことを言うと、私は若いころよく行ってたよ田舎のホストクラブ、との衝撃の言葉。
彼女とホストクラブがまったく結びつかず、よく行ってたってことは愉しかったの?何を話すものなの?と訊ねると、説教だよ、のひとこと。説教?ホストクラブで説教?

私にとってのホストクラブは「すべすべ温泉ねこぞの」と
「おいてけ堀」。
どちらもホストはねこや犬だが、すばらしく美しいホストたちが手厚いおもてなしをしてくれるのがたまらない。おさわりOKだから、たまにマウンティングされるのも許す。実生活でもマウントをとられてばかりだとねこや犬にもわかるのかなぁ、などと無駄にへこむのはやめて今宵もホストクラブへ行こう。

2020年6月4日木曜日

ハセガワさんはいなかった

前夜に観た映画がなんとも薄味だったので、翌晩は久しぶりに「おいてけ堀」へ登場。
そういえばしばらくソロ活動をしていなかった。たまには旅の本なぞ読みながら飲るか、と縄のれんをくぐるとそこには飲み仲間・常連さん・顔見知りの面々。必然的に相席となり、本は1ページもめくらずにぎやかな酒席となった。そういえばたいていこんな感じだったな、と数か月前までのことを思い出す。

ハセガワさんがあのときさ、と不意に隣のテーブルの会話が耳に飛び込んできた。
このお店でたまに耳にする「ハセガワさん」の仲間たちか。肝心のハセガワさんは今日もここにいないようだが、どうやら好人物のようで同じハセガワとして鼻が高い。

ハセガワさんが亡くなってもうじき15年か、とつぶやく声が聞こえた。そうか、ハセガワさんはもういないのか。こちらのハセガワは5年経ちました、と心の中でつぶやいた。

15年経っても話題の中心であるそのハセガワさんの人望たるや、大変なものだ。お目にかかってみたかったなぁ。

2020年5月13日水曜日

東京ヘリポート

起きるなり海を見に行くことに決めた休日。
暑くなりそうだぜ、と思っているうちにどんどん暑くなってきた中を走り出した。
数週間前に見たブラシの木はほぼ満開で花が重そう。私のカラダのようだ。
人っこひとり歩いていない道路を走ってお目当ての東京ヘリポートに到着。
霞んで見えなくてもその気になれば見える気がしないでもない房総半島は左前方か。静かで気持ちよいのでマスクを外してしばし海を眺めた。
歌でも歌っちゃおうかなぁなんて気分よく写真なぞ撮っていたが、あとで写真をよく見たら、日焼け中の殿方が!どうりで私を追い越して走っていった人がびっくりしていたわけだ。
二度ほどヘリコプターが飛び立つのを眺めたのちに帰路についた。

その晩は営業再開した「おいてけ堀」に全員集合。
みんな元気そうで、なによりここの再開を願っていた人たちと愉しい酒席をもつことができたのがうれしくて飲みすぎたのは当然のこと。

2020年4月16日木曜日

今宵またなにかに夢中になれば

この日は特に行きたい場所が思い浮かばず、百花園まで走ろうと家を出た。

早くも飽きてきたこの道、せめてもと一本ちがう路地を行くも気付けば歩いていた。以前はもっとつまらない河川敷などを毎週のように走っていたが、走ることのどこがそんなに楽しかったのか、熱しにくく醒めてしまった今となっては当時の自分が他人のよう。
たどりついた百花園は休園中。こうなったら意地でも庭園に行きたくなり、先日偶然知った野草園を目指して走りだした、いや歩きだした。
たどりついた野草園は休園日。しかし転んでもタダでは起きたくない。帰り道は料亭が立ち並ぶあたりや老舗の和菓子屋の精巧につくられたお菓子の牡丹などをほうほうと眺めて歩いた。勇ましくランナーの格好こそしているが、ただの散歩者であった。
今宵はなにを肴にしようかと冷蔵庫に頭を突っ込んでしばし思案。
ハンバーグが食べたくなって材料は用意したが急にやる気が失せた。あれほどていねいにつくった餃子も食べるのは今ではない気がして冷凍中。
こんなときは冷蔵庫の掃除に限る!とあれこれ取り出すうちに、今は休業しているいくつもの大好きな酒場のメニューが食べたくなって真似してみたら思いのほかおいしくできて創作意欲が増す。
おまけに読み始めた本の作者がなかなか好感の持てるおじさんでこちらも酒の肴にぴったり。
この晩もワインは一本空けてしまった。

2020年4月1日水曜日

歌ってる場合ですよ

熱しにくく醒めやすい性質でも継続できているものがあるとしたら、それは晩酌。
美味しいものがある好きな酒場で、もしくはいただきものや自分スペシャルなおつまみを肴に自宅で。

今は自宅でひとり晩酌するのは気が滅入るので、いつもの酒場をパトロールすることになる。つらい現実も人と話すことで少し気持ちが落ち着く。さらに帰宅後も軽く仕上げの一杯。酒量が増えた。
 このお店があるからこの街に住み続けている、そういうお店のすべてが今は苦しんでいる。
いざとなったらテイクアウトだけやるわよ、大丈夫、うちは美味しいから、とさりげなく言った「おいてけ堀」の女将は正しいし強い。
 いつものごとく前夜の酒で重々しく迎えた朝。プール道具の入ったバッグにつけたままのバッジをじっと見る。ずっと昔に帰り道で見つけた缶バッジだがやけに目につく。
髪を乾かしながら、やはりずっと昔に香港で見つけた木製のツボ押しからなぜか目が離せなくなる。壁に留めた小さなエプロンやキッチンにひっかけてある洋梨のようなマスコット、それと先日見せてもらっていたく感激した友だちのこけしコレクションも急に気になり、狭い家の中を確認して回る。ついに降臨したか神。

そういえば今日はあの曲の配信とMV公開日だ。
https://youtu.be/2HzD2DFMAvc
朝の忙しい時間だが少しだけRadikoを止めてMVを観る。
やけに印象に残る「Fresh!」の文字のおかげか、この親子のせいか、重々しい朝が少しだけ軽くなった。

2020年3月30日月曜日

酒と泪と総選挙と「現実」

愉しみにしていたというより心の支えにしていた「R31RHYMESTERクラシックス総選挙」は、興奮と爆笑と涙で夢から覚めたかのように終わった。

スタート時刻ちょうどに届いたずっしり重い箱は、一緒に観る(行く)はずだった幼なじみからだった。
始まったと同時に固まる画面にパニックになったが、この時間のために用意した白ワインを開けつつ箱の中身を確かめると、たくさんのおつまみに野菜に雷電ビール、そして備蓄できる食糧の数々とともにマスクと消毒スプレーが入っていた。ここで涙腺がゆるんだうえに膀胱が破裂しそうになり、早くお礼を言いたいのにあたふた。
終わったあとに怒濤のメッセージを送りつけ、ありがたいという気持ちより迷惑しか与えていないことに気付く。総選挙の夢を見ながらのうたた寝から目覚めて激しく反省。


前夜、わけあって勝どきからえんえん歩いて今週2度めの「おいてけ堀」へ汗だくで登場すると、そこにはようやく会えた仲良し社長・専務コンビ。
既にできあがっていた社長と専務はとにかく仲がよい。
関西出身のこのコンビの話しぶりは田辺聖子の小説に出てくる丼池の繊維会社(もしくは金物会社)のオフィスのよう。しっかりごちそうになってしまい、今度はどこそこへ行こやとお誘いいただいたが、果たして覚えていらっしゃるかどうか。


伸びすぎた髪を「サロン・ド・こけし」の姉妹店でカット&カラー。
髪が伸びすぎたから行ったはずだが、お店に着いてみるとそうでもない気がする。陽当たりのよい席で仕上げてもらいながら鏡を見ると、恐ろしい「現実」が光で飛んで見えず。いつも最後に撮ってもらう写真もステキ加工のため「現実」は写っていないが、帰りに寄ったデパートのお手洗いで「現実」を見ることになる。ヘアはばっちりなんだけど素材がねぇ。

2020年3月18日水曜日

飲ませてよもう少しだけ

この日のマラソン練習会は坂道練習で、いつもの赤坂ではなく六本木。どちらも坂道を上りきったところに学校がある。そういえば私の母校も坂の上にあって、3年間この坂を上ると大根脚になることから「大根坂」とよばれていたが、ここまでひどい坂ではなかった。

アフターで鯨飲するうちに、練習会を休む前のおのれの飲みっぷりを肌で思い出した。
あの頃は練習会の他に早朝も休日も走っていたし毎晩飲んだくれてはいなかった。今では練習会はサボるし早朝も休日も寝ているし酒量が増えたのみだ。

翌日は当然寝坊して東京駅までのショートカット徒歩通勤。駅のホームにあこがれのサンライズ出雲の回送電車が停車していたのでなめまわすように観察。いいなぁ、乗ってみたいなぁとコップが置かれた窓やハンガーを見てうっとり。
夜は未亡人友だちと約束していたいつもの酒場へ。
大テーブルで既に赤い顔をしていた未亡人友だちと会えなかった間の話をしているとお久しぶりねのプロ雀士登場。この酒場のホッピーはママがつくってくれるとても濃いものなので3杯までと決めているのだが、あれ、今夜はいくらでもイケちゃう、と調子に乗って正体不明に。
ずっとうしろ姿が見えていたスリムランナー青年がお会計で立ち上がったので手を振ると、愉しみにしていたウルトラマラソンがやはり中止になったとのこと。でもサンライズ出雲の旅はしてくるつもり、との言葉に今朝の光景がよみがえった。いいなぁ、愉しんできてください!と大声でさよなら。

前日に、酔った勢いでエントリーしたウルトラマラソンに道連れにしたラン友と、この大会も中止になっちゃったりしてね、と苦笑いしたことを思い出した。道連れにしようと目論んでいた別の友だちには高低差見た?こんなの無理だよ、と断られ、酔っていて見ていなかったとは言えず、また別のラン友には、コロナ募金にならないかなぁとさりげなく逃げられ、冷静に考えれば正気の沙汰ではないが酔っていたのだから仕方ない。

2020年2月20日木曜日

残念会はモンゴルのワインの香り

友だちとその会社のみなさん(初対面)との、ちょびランと残念会に参加。
この日のメンバーは私を入れて6名、そのうち4名が東京マラソンに当選しており来たる3月1日にむけて調整していたとのこと。この日も練習の一環で予定していたがまさかの残念会になってしまった。

私はといえば東京マラソンは落選で、しかも走るのは1ヶ月以上ぶり。ウェアもシューズも久しぶりだったが、友だちとその会社のみなさんとの夜の街ランは愉しかった。東京マラソンは来年におあずけになったためちょびランは5kmの予定だったが、終わってみればハイペースで7km走っていた。

一時話題だった例のシューズを履いている者は皆無で、そのかわり見たことのないかっこいいシューズを履いているひとがいた。もしや・・・
「あんよ」で入手したのではないか。


残念会はやはりとても愉しかった。
近所に住む友だちが持ってきてくれたモンゴルのワインが味わったことのない香りと味でワイン好きなメンバーのひとり曰く何にも似ていなくて、みんなでこっそり味わっていたらあっという間に消えてなくなった。嗅いでいないと忘れてしまうようなめずらしい香りだったので、空のワインボトルをもらった。これから毎晩香りを嗅ごうと思う。

来年の東京マラソン出場が約束されたメンバーから、なんとか当選してみんなで走ろうよ、という話に。
そろそろジョグを再開しようかな、と思ったがまずはそれより朝のヒロシ体操より早く起きて徒歩出勤・徒歩帰宅生活に戻そう、早朝ジョグ後に早朝ソバ・徒歩出勤をキメていた数か月前の自分が輝いて見えるなぁ、と濁った頭で考えながら少し遠い酒場から徒歩帰宅。

2020年1月19日日曜日

餃子づいてる

一区切りはついていないのに、このまま休日を終えるのもナニだなぁと今年初めましての酒場へ登場。
もしかしたら会うかもと思っていたランナーの方と明けましておめでとうございます、すっかり遠ざかっているマラソン話などして規程量を飲むも、隣の楽しそうなおじさんたち(といっても同年代)の話が面白くてもう一杯。大好きな餃子のお店の大将たちであった。
おさわりOKのかわいこちゃんを揉み倒してほろ酔いで帰宅するも、もう今夜は例のモノに触るのはやめといたほうが良さそうだ。