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2018年12月4日火曜日

開かれなかった本3冊

用もないのに帰省。
用はなくとも、文太くんに会いたかった。
文太くんお気に入りのコースを、一緒に走りたかった。
あと、いろいろに疲弊していたのかもしれない。
(いろいろイコール飲みすぎ)
用はなかったので、思いつきで同級生ふたりに連絡して、朝ジョグをキメる。

ひとりは保育園からの、もうひとりは中学の同級生で、どちらもほとんど口をきいた覚えはない。
40歳の年におこなう厄年会なる行事で再会したときも、たしか口はきかなかった。なのに、それから数年後には一緒に走っているのだからおもしろい。

こんな遠い道のりを、よく9年間も歩いて通ったよねぇ、とか市民プールがなくなったんだよ、とかこの道は先月開通したんだ、とか話しながら、市内を端から端までゆっくり走る。


「信州に帰ってきたんだから、日本酒飲んでもらわないと」と、その晩は彼らのなじみのお店に連れていってもらう。
やっぱり信濃鶴でしょ、という同級生の顔を不思議なココロモチで見る。
あのコドモが酒の話ししてるよ、とおかしくなった。
連れていってもらったお店では、噺家さんが高座を終えて一杯やっていた。
訊くとこのお店ではよく落語会をおこなっているとのこと。
席亭は、小学校の同級生であった。

同級生ふたりと当時の打ちあけ話をして悶えていると、隣に座ったひとがなにやら話しかけてきた。同学年の、離れたクラスの男子であった。

なぜか信濃鶴でも七笑でも夜明け前でもない秋田の酒を空けて、中学の同級生の奥さまの運転で送ってもらう。

翌朝、淀んだ頭をかかえて文太くんと走りながら考えた。
いくら狭いこのまちでも、世の中狭すぎやしないか?
のんびりするつもりで帰省したのに、いつも以上に飲んでしまったではないか。
行きも帰りも、車中で読むつもりだった本は、開かれずじまい。

2018年11月13日火曜日

すべては笑われる景色

しばらく会えなくなるひとに会った。
互いに疲れていたので、薄いお酒に淡白なおつまみ。

「看板あげるから、つぎはあなたがやりなよ」

大切にしてきたお店を閉じる決断をしたそのひとが、笑いながら言う。
私にこの名前は荷が重いですよ、と大きく首を振った。

そのひとと私にとって、とても大切な名前がまた消える。
さみしくは思うけれど、生きていてくれればそれで大丈夫。
お店終わって体調崩すかもしれないけれど、風邪ひくくらいにしてね、とだけ念を押した。

別れぎわは、やはりくっだらない話しをして、いつものように別れた。
別の晩、ずっと行けなかったいつものお店へ登場。
「いちばんいいとこ入れといたよ」と板さんがお刺身を差しだす。
あんきもにしようかなぁ、と言うと「蒸したてだからおいしいよ」と大将。
「たい焼き、未亡人会のあのひとからもらったから一個あげる」と美人女将。

こんなに落ち着く場所がありながら、しばらく浮気をしていたなんて、口が裂けても言えない。
今度からは心を入れ替え・・・ようにも、浮気だったはずのあちらのお店にも、既に根を張ってしまった。
好きなお店が増えるのもナニだなぁ。
などと考えながら、勢いづいて「BAR GABGAB」へ。
腰を下ろすなり
「あれから、落ち着かれましたか」
バーテンさんが尋ねる。
なんのことかな、と首をかしげると
「あ、落ち着かれたんですね、それならよかったです」
あの、相方さん・・・ていうか、と言いづらそうにしているので、ああ、私たちのこと覚えていてくれたんだ、とうれしくなった。


ところかわって
ハロウィンが終わって、ブル親子は新たなおしゃれに挑戦していた。

2018年10月23日火曜日

雨に笑えば

傘屋の女房として、ビニール傘は買ってはならない、と固い意志を貫いてきた。
しかし、しとしとやわらかく舞う雨に朝から長時間濡れるのはたまらなく不快で、背に腹はかえられず、禁を破ってしまった。
「しとしとぼっちゃん」のすてきな傘が、家にあるというのに。
今日はこの傘をさしたかったなぁ。
好きな傘をがないと、雨を愉しむことができない。


仕事の電話がかかってきて、開口一番「雨ですねぇ 飲みに行きますか」と言われた。
時計を見たら14時過ぎ。
平日の14時に飲み始めている図を想像してみる。

う~ん
平日はやはり「After 6」を聴いてからでないと、その気になれない。
朝食が「おはよう商店」のものでなければ、その気になれないように。



そうそう
かわらばん「深川福々」秋号ができあがっております。
すご~く久しぶりに、コラムを担当しました。
記事に書いたお店の店主には、ある日突然お渡しして驚かそうと思っていたのに、ご近所のレコード屋さんのツイッターで知ってしまったそう。
SNS全盛の今、サプライズは難しい。

2018年9月26日水曜日

なにがあったのか

汗ばむ陽気の休日、お寺さんへ料理の手伝いに行った。

手の込んだ精進料理の下ごしらえは、実におもしろい。
ゆでた蓮の実の芽を取ったり、たくさんの野菜を切ったり、混ぜたり。
さといもの皮を剥いていたら、去年に続いてまた指を切ってしまった。
仕方なく、あちこちでつまみ食いしていたら、しっかり奥さまたちに見られていた。
翌日に千秋楽を控えたその日の話題は、大相撲。
奥さまたちのご贔屓は、ほぼ稀勢の里。
下ごしらえがほぼ済んだところで、みんなそろって休憩。
ちょっと一杯もいただいて、疲れがどっと出・・・るほどは働いていなかったが、おとなしい奥さまたちの口がほぐれてゆくのが、たのしかった。

翌朝は早い出発であるし、満腹であるし、さっさと帰って寝るべきだったが
わざわざいったん帰宅して「ニューねこ正」へ。

本場所中にだけやってくる京都のご婦人とは痛恨のニアミスだったが、ほうぼう刺に平目をちょこっと添えてくれた板さんに興奮。
美人女将から白鵬の優勝を聞かされ、優勝パレードに間に合うかな、と考えた。


翌日は、一点の曇りもない秋晴れ。
日ごろの行い、よくないんだけどなぁと友達に言うと
他にものすごい行いのいい人ばっかり来てるんだよ、と言われて納得。
初めて行く高原で、ウイスキーとビールのお祭り。
(「BAR GABGAB」にはビール、置いてないんですけどね)
とにかくお天気がよくて、マシンガントークの間にも、うっとり空を見上げたくらい。

まずはアブサンをチョイス。
みかんの香りのクラフトジンや、台湾のウイスキー、地元のウイスキー、濃くてとろりとしたビールなどなど、飲んだ端から太陽の光で蒸発!
柿にウイスキーが合うとは知らなかった。
最後に柿のヘタを乗っけたところで、バーテンダーの株が急上昇。
葉巻なんかもちょっと吸って、北方謙三の気分も味わった。
最初にちびっと舐めたアブサンは、やはり太陽のせいか軽くなっていた。

最寄駅からの送迎もおつまみも椅子も、なにもかも完璧にしてくれた友だちふたりは翌日は、別の場所でビールセミナーだという。
なんて勉強熱心なふたり!


そのまた翌日は、いろいろから逃げて、行きたかった場所へ。
いつもは飲んで食べて、海を見て、しんみりして帰るのが常になっていたが、毎回これでは芸がない。思いきってラン用品一式かついで出かけた。

昨日に続いてよいお天気の昼間、静かな海沿いの道を走るのは、それだけで気持ちがよかった。島まで行きたかったが暑くて断念して、途中でピーナッツプリンを食べて終了。
海の家を解体しているのを眺めながら海岸を歩いて、ちょうどいい時間のバスに飛び乗って帰宅。
あのパン屋さんにも、魚屋さんにも、喫茶店にも寄っていないなんて!
しんみりどころか、にやにやしながら帰るなんて!


さらに驚いたことに、この日を境に酒を飲んでいない。
友だちにもらった雷電のビールやひやおろしの誘惑をものともせず!

2018年9月20日木曜日

続・ハセガワさん

連日の飲酒に疲れたある日。
誰とも話したくないけれど、散らかった家に帰るのもいやで
「ぺろりレストラン」へ。
むかしから変わらない、落ち着く店内で
カウンターのはしっこに腰かける。

健康診断やマラソン大会が迫っており
アルコールはもちろん、食もひかえめにするべきなのだが
(そうでなくても年齢的に・・・)
軽くワインなど飲んでいるうちに、気分がのってきた。
ずっと欲しかった本を入手したので
それをていねいにめくりながら、ワインを啜る。
しばらくして本から顔をあげると
後ろのテーブルの、愉しげな声が聞こえた。


「ハセガワさんだよ、それは」
「そうそう、ハセガワさん、ハセガワさん」
「あの黒にんにくだって、ハセガワさんだったよ」


このお店でも「ハセガワさん」の噂をしているひとたちが!
しかし黒にんにくについては、身に覚えがない。

本を閉じて、耳をすましたが
それ以降「ハセガワさん」の話は出てこなかった。

2018年8月23日木曜日

つかのまの紅一点

いつものお店をのぞいたら、超のつくほどの満席。
仕方ないのでいったん帰宅して、返す刀で再登場。
相席でいいよね、とスリムママが通してくれたのは、
すっかりでき上がっている紳士たち三人のテーブル。

失礼します、と椅子を引くと
「オレもいま来たんだよ」
と向かいの紳士。
な~んだ
たまに隣り合わせて話すおじさんばかりじゃないの。
三人とも地元生まれ・地元育ちで
きれいな江戸弁を操る。
こないだ終わったばかりの祭りの話でしばし盛りあがった。
たいへんきれいな酒飲み紳士たちであった。
「おっ紅一点!」
と言うので辺りを見回すと
スリムママ以外は見事にオトコ客のみ。

こんな「紅」ですいません、と小さくなりながらも
となりのおじさんのウインナいためは、ちゃっかりいただいた。

2018年8月7日火曜日

テーブルのある暮らし

忙しくない週末のために
ていねいにつくる、ミートソース。
それだけで満たされていたのに
テーブルのない暮らしって、かなしいものなのね。

友だちが送ってくれた、めずらしい野菜。
バナナピーマンや、ピンキーとキラーズ(トマト)、大きいなす。
頭をひねってお料理して
ワインなぞ用意して
読みたい本もスタンバイ。
こんなにステキなラインナップなのに
テーブルのない暮らしって、かなしいものなのね。

日曜日に我が家にやってきた、お待ちかねのテーブル。
あの、オモシロがにじみ出ているお兄さんが、運んでくれたテーブル。
受け取ったあとに、着ていた服が後ろ前だったことに気付いたけれど
まあいいさ。

その晩は、いつものお店にも行かず
ぶらぶら散歩もせず
どすこいドリンクには目もくれず
そば屋で一杯、のお誘いも断り
いつもよりていねいに弁当をつくったりして
読みかけの本をめくりながら
ワインなぞかたむけて
バナナピーマンのマリネをつまむ。

たまにテーブルを撫でたりして
ほどほどに酔っぱらった。

2018年8月1日水曜日

夢で逢えたが

花火の日の両国は、
早い時間からそわそわしていた。
すでに焼かれた焼き鳥や焼きそばが山積みになり
鮎の塩焼は満員電車のように炭の中に林立、
きゅうりやビールはたくさんの氷で冷やされ
早くも浴衣でめかしこんでやってきたひとたちや
警備にあたる警官や警備員、町内会のひとたちで
たいへんにぎやかだった。
もちろん私も、焼きそばを昼食とした。


その夜は、なじみのお店でのんびり飲み、
テレビで花火大会が始まったのを確認して勘定を済ませた。
店主にいってらっしゃい、と声をかけられると
ちょっと見てすぐ帰るんだけどさ、となぜかみな
照れくさそうに言って縄のれんをくぐる。

人ごみをひょいひょい掻き分けて歩くうちに
なつかしい小路へ出た。
ここだけは、いつ来ても花火がよく見えたもので
今でもそうであることに安堵した。

何年か続けて、偶然同じ場所で一緒に花火を見ていた婦人。
来年もここでお会いしましょうね、というのが
いつものあいさつだった。
道が混む前にさっさと帰宅して、
いま見てきた花火の続きをテレビで見る。
ま、どっちでもいいんだけどさ、と
さっきのお店のお客さんたちのようにつぶやきながら
まずまず酔った。


その晩。
たまには夢にくらい出てきてよ、と思っていたひとが
夢に出てきたが
髪が真っ白になっており、相応に歳をとっていたのがおかしかった。

2017年10月5日木曜日

そんな夜もある

毎晩どこかで飲んでいるために
たまに「ハズレ」の夜もある。
やかましい客が、
あちこち席をうつったあげく隣にすわったり

はるか向こうの席で、うまそうに一服している客に
聞こえよがしに、嫌味を言う嫌煙家。
そんな夜は、さっさと退散するにかぎる。

反対側の席にいたふたりは、
きっと二軒めに行ったはず。
「ほら見て、まだこんな時間」
と、女性がささやいていたから。
帰り道
月を見上げて歩いていて
クルマにひかれそうになった。

危険だったけれど
我ながら
風流だ、
などと感心する。
川っぷちのベンチで、ひとやすみ。

このベンチでは毎朝、
仲のよいサラリーマンふたりが
一服して談笑している。

2017年9月19日火曜日

こんなところでも、気づかされる

友だちの展示を見に行って知り合った方の主催している
「おとなのデコぬりえ教室」に参加した。

プロの漫画家さん(今回は劇画)の描いた下絵に
ぬりえしてデコるなんて、なんだか楽しそう、と
軽い気持ちで寄せてもらったのだが
その下絵を描かれた漫画家さんとその奥さま
ふだん作品作りをされている方々などなど
プロ尽くしだけれど、なごやかな雰囲気の中
自分だけ必死に、色鉛筆を動かす。

かなしいことに
デコがまったく理解できずに、先生に仕上げてもらった。

おのれの乙女心が残量ゼロであることに気付かされ
激しく動揺しながら、大雨の中を帰宅。
こんなていたらくでは「サロン・ド・こけし」のマダムに
叱られてしまう!
女子力の高さナンバーワンである
「BAR GABGAB」白ママの姿をぬすみ見しながら
ひとまず、秘蔵のネイルを取り出した。


深紅のネイルを塗っただけでうっとりして
翌日、なぜか大掃除を始める。
本棚からベランダ、トイレにおふろまで。
すこし剥げてくすんだネイルを見ながら
やはり足は「ニューねこ正」へ。

「あら未亡人会の」

なんとこの日は、カウンターの半分が未亡人であった。
いつもきれいな未亡人たちを見て
思わず爪をかくした。

2017年9月12日火曜日

週末をひきずって酒を飲む日々

いろいろのイベントがあった週末。
平常心を保つために、朝ジョグを決めたが
どこをどう走ったのか記憶がなく、
カメラには
指が思い切り写りこんだ、さぎの写真が残されていた。


いただきものは
やはりその日が過ぎてから、いただくべきだろうと
第一イベントが終わった翌朝から
ぜいたくに、いただいている。
ひさしぶりのメロンなのに、
なんだかいつも見ている気がする、と思ったら!



次なるイベントは、初めての場所でのコンサート。
おのぼりさん状態で
わあわあ、口を開けてさわいでいたために
残されていた写真は、一枚のみであった。
見たことのない数のお花にも驚いたけれど
ファンからも、たくさんお花を贈られるということにも、驚いた。


おめあての彼
米つぶではなく、コーヒー豆くらいの大きさには、見えた。
うたごえハウス「ねんね」での、ミュージシャンとの距離に慣れていたので
あまりにステージが遠く感じたが
途中から遠近感がおかしくなって
コーヒー豆大なのに、目と口が見えるような気がした。

コンサート前、昼間からさんざん飲んで食べたのに
終わったらものすごい空腹を感じて
前かがみでよろよろ歩く。
ほうほうのていで飲んだ
ハートランドのおいしかったことよ。

さらに帰宅後、黒ラベルを追加。
気付けば当然、午前様。